スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第64話 それはまるで一夜の夢の様な再会 #2

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ここでリアベルは一度口を閉ざした。
眼を閉じて当時の事を思い浮かべ、そのまなじりからは一筋の涙が溢れ……
やがて再び開いたその瞳は、強い意志の光に彩られていた。

「私が最初に見た未来の断片、それは14歳になったカルアの死だった。そして私は絶望したの。だって、それは絶対に避けられない未来なんだって思ったから」

その時の絶望感が甦ったリアベルは言葉に詰まり、気持ちを落ち着けようと大きく息を吐いた。

「でもね、そうじゃなかった。次に私が視たのもやっぱり14歳になったカルアの死だったんだけど、でもそれは最初の断片とは少し違っていたの。それで私は考えた――もしかしたら未来に繋がる沢山のルートがあって、それによって違う未来を掴み取る事が出来るんじゃないかって。そうしたらね……まるで誰かが『そうだよ』って言ったみたいに、その断片に辿り着くまでのところどころのルートが視えるようになったの」

リアベルが紡ぐ、そのあまりに生々しい回想……それを聞くマリアベルとララベルもまた、その衝撃に飲まれて言葉を出せない。

「それから私は何度も何度も何度も何度も未来を見たわ。魔力が尽きるまでひたすら見続けて、魔力が回復したらまた尽きるまで。そうやって何千回、何万回って数のカルアの死を見続けた。――あれは辛かったな……気が狂っちゃうんじゃないかって思った。でもね……もし私が狂っちゃったら他の誰もカルアを助ける事は出来ないから……。だから私は――私が狂う事を許さなかった!」

辛そうな、しかし決意に満ちた表情。子を護る母の顔。

「私はあのひとと旅を続けながら、冷静に、ひたすら冷静に何度も何度も繰り返し視続けた。そしてヒトツメの街に辿り着いた時の事だったわ。とうとう私、14歳を超えた笑顔のカルアの姿を見付けたの」

その時の事を思い出したリアベルは涙と共に微笑を浮かべる。

「でね、ようやく辿り着いたそのルートではね、カルアが10歳になってすぐ……私が死んでたの。私は思ったわ。ああそうか、きっと私が生きてるからカルアが死ぬんだ――って」

「「……」」

「でもすぐに思い直した。そんなの嫌だって。そんなのつまらないって。だから次は私とカルアが一緒に笑顔を浮かべる、そんな未来を探す事にしたの」

表情を引き締めるリアベル。次なる戦いが始まる。

「カルアが生きる未来を見つけた理由――それがヒトツメの街に来た事なんじゃないかって思った私達は、ヒトツメの街に居を構える事にした。そして、そこからまた繰り返しが始った。私は未来を何度も何度も何度も何度も視て、でも何度視ても必ず私とカルアのどちらかが死んじゃうの。でも私は諦めなかった。諦めたくなかった。そしてある時思い付いたのよ。『もし私が死んだ事にして姿を隠したらどうなるんだろう』って」

「っ!? もしかしてそれが……?」

「ええお母様、それが唯一の正解ルートだったのよ。私はついに見つけた。とうとう辿り着いたの。そしてその未来の中で私がカルアに再会できる最初の日――それがカルアの14歳の誕生日、つまり今日だったのよ」

その言葉にマリアベルの涙腺はとうとう崩壊した。
とめどなく流れる涙を抑えきれず、そして娘達もそんな母の姿に涙ぐむ。
そんな時間が暫し流れ、やがてようやくマリアベルが口を開いた。
「じゃあ……じゃあこれでカルアは死ななくてすむんだね?」

だがリアベルの表情はすぐれない。そして重々しく口を開く――

「それが実はまだ終わってないの。まだカルアの危機は去っていない……もうあと数年続くの。あの子の父親の事を言えないのもその為。そしてその危機が完全に終わるまでの間、私がカルアに会えるのは年に一度、カルアの誕生日だけなんだって。だからね、だからねお母様……今日が終わったら私……次にカルアに会えるのは1年後になっちゃうの……」

リアベルはその場に泣き崩れた。

マリアベルとララベルはその小さな背中に歩み寄り、自分のぬくもりを送るかのように彼女にそっと手を添えた。愛する娘に――あるいは妹に。
そんな静かな時間が流れ、やがて――

「リアベル、あんたがこれまでどれだけ頑張ってきたかはよぉーっく分かったよ。なら今からあんたがやる事はただひとつだ。カルアのところに行って、これまでの4年間とこれからの1年間、その5年分の隙間を埋めてくるんだよ。もちろん、あんたとカルア両方の――ね」

優しい母親のその声にリアベルは小さく頷き……やがて今度こそ表情を明るくしてその場に立ち上がる!

「そうよね。こんなところで泣いてる場合じゃないわ。カルアが私を呼んでる――いいえ、私がカルアを求めているのよ! よし、泣くのはもう終わり! 待たせたわねカルア、今復活のお母さんがあなたに会いに行くわっ!!」

その声を置き土産にリアベルは【転移】、その場から姿を消した。その行き先は当然――
「だあっ!! 全くあの子は昔から極端なんだよ! ララベル、急いで追うよ! あの勢いで詰め寄られたら、またカルアがフリーズしかねないよっ!!」
「はい、お母様っ!!」



――あれ? えっと、僕一体……
「何だっけ、さっき信じられないような何かを見た気が……」

「――それは私ですっ!!」 ヒュンッ
「ひうっ!?」
「さあカルア、4年ぶりの母の胸に飛び込んできなさい。さあ! さあさあ!!」
「ぅあ、あ……」

「こぉーんの、バカ娘ぇっ!!!!」
ガンッッ!!
「痛ッ……お母様、痛い……」
「リアベルっ! あんたはそこで黙って待ってな! まずはあたしがカルアに説明するから、それまでは接触禁止! いや、5メートル以内への侵入は禁止だよ! 分かったね!?」
「そんな危険人物みたいに……私、お母さんなのに……」
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