スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第55話 カルア君対策会議って何ですか? #4

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「……見当も付かないわね。気付かずに閉じ込められた時点で、こちらからはもう一切攻撃が出来ないんでしょう? だったらそうなる前に倒す他に手が無さそう」

「流石はクーラ君、適切な判断かと思います。ただ今のカルア君は、『パーティ全体で強くなって普通の冒険者として行動する』事を目的としているようですから、おそらくそのような戦闘方法は取らないでしょう。戦闘訓練は彼の意に沿う形で指導を進めて下さい」
「ええ、分かりました」

「今日のところは以上です。私は明日にでもマリアベル前校長の所に行き、彼の詳細情報を聞くつもりでいます。先ほどカルア君から少しだけ話を聞きましたが、それが彼の全てとは到底思えません。これまでの彼の言動から、どうも一部の魔法などは使用を禁止されているようですしね。ですが、そこで聞いた内容を全て皆さんにお話しする事はありません。現時点でも既に話せない内容がいくつかありますし。これは皆さんを信用するしないではなく皆さんの身の安全を守る為の措置ですから、くれぐれも誤解などしないように」

こうして「第一回カルア君対策会議」は閉会となった。
参加者が皆一様に浮かべているのは、緊張からの開放による弛緩の表情である。
ここで起きた事を知らぬ者からは穏やかな笑顔に見える事だろうが……

「――ああそうそう一つ言い忘れてた。さっき彼、僕のところで時空間魔法の【固定】と【復元】、それに【】を覚えていったから。じゃあそういう事で」

最後の最後に追加で落とされた爆弾。だが――
カルアが難易度の高い複数の魔法を一度にあっさりと習得したというラーバルの言葉は、今の彼らに果たして届いたかどうか……



この間の突然ピノさんに通信が繋がっちゃった時の事を説明すると、ピノさんは楽しそうに笑ってくれた。
「ふふふ、それで授業中に私の顔が目の前に出てきてビックリしちゃったのね」
「そうだったんですよ。あの時は本当にびっくりしたなあ」
「でも通信具が反応しちゃうくらい私の事を考えてくれてたんでしょう? そう思うと、やっぱり私うれしいな。でももし戦ってる最中とかにうっかり繋がっちゃったら危険かも」

「ええ、そうなんです。相手からの通信だったら応答しなければいいだけなんだけど、間違えて掛けちゃった通信への応答だと止められないんですよね。だから、発信する時に制御しないと……」
「それなら、例えばブレスレットの魔石を触れながらじゃないと発信できないようにするとかは?」
「あ、それいいかも。さすがピノさん!」
「ふふっ、よかった」

「ああそうだ、さっき【固定】の魔法を覚えたんです。【ボックス】内の時間も止められるようになったから、通信具の改良と一緒にやっちゃいますね。そうしたらご飯とかいつでも作りたてのままだし、お肉とか野菜とかもずっと新鮮なままですよ!」
「わ、それってすっごく便利ね。だったらお鍋をたくさん作って、色んなお料理をいっぱい作って、いつでもどこでもお腹いっぱいご飯が食べられるようにしちゃおっか」
「やった!」
「ふふっ、楽しみね!」

「あ、そうだ。実は二日前に新しい魔法を開発しちゃったんです。ピノさんって氷魔法は使えます?」
「氷魔法? やれば普通に出来ると思うけど、使った事はないなあ。あ、目の前の人がいきなり寒そうな顔するのは時々見るけど」

「あははは、それは何となく心当たりあります……。それでその氷魔法って、実は錬成魔法の一部だったんですよ」
「えっ、そうなの?」
「そうなんです。それで氷魔法をちょっと変えてみたら、その逆の熱くする魔法が出来たんです。なので氷魔法は【冷却】に名前を変えて、新魔法の【加熱】と一緒に錬成魔法に登録しようってなったんです」

「凄い、編入して一か月ちょっとで新しい魔法を開発しちゃったの? あ、このタイミングでその話をするって事はもしかして……」
「はい、火魔法じゃなくって【加熱】を付与して鍋を作れば、【冷却】と合わせて簡単に温度調整出来る鍋が作れるかも。それに鍋の中で凍らせる事だって――」
「それってものすごーく役に立つ魔法じゃない。これでお料理の幅が広がるわね!!」

「そうそう、それで今日僕【固定】だけじゃなくって、【大回復】と【復元】も使えるようになったんです。もし怪我とか病気とかしたらすぐに治しますから、急いで呼んで下さいね!」
「ありがとう。でも【大回復】まで使えるなんて、本当に凄いね」

「あっそうだ、いっその事これもアクセサリーにしちゃおうかな。怪我したら自動で【回復】が発動したりとか……。あ、壊れた時用に自動【復元】とか付けるのもいいかも」
「――カルア君、過猶不及やりすぎ注意だからねっ」



こうしてカルアとピノ、久し振りのふたりきりの時間は過ぎていく。
「ああ、時間を反転したいなあ……」



▽▽▽▽▽▽
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