105 / 278
第55話 カルア君対策会議って何ですか? #4
しおりを挟む
「……見当も付かないわね。気付かずに閉じ込められた時点で、こちらからはもう一切攻撃が出来ないんでしょう? だったらそうなる前に倒す他に手が無さそう」
「流石はクーラ君、適切な判断かと思います。ただ今のカルア君は、『パーティ全体で強くなって普通の冒険者として行動する』事を目的としているようですから、おそらくそのような戦闘方法は取らないでしょう。戦闘訓練は彼の意に沿う形で指導を進めて下さい」
「ええ、分かりました」
「今日のところは以上です。私は明日にでもマリアベル前校長の所に行き、彼の詳細情報を聞くつもりでいます。先ほどカルア君から少しだけ話を聞きましたが、それが彼の全てとは到底思えません。これまでの彼の言動から、どうも一部の魔法などは使用を禁止されているようですしね。ですが、そこで聞いた内容を全て皆さんにお話しする事はありません。現時点でも既に話せない内容がいくつかありますし。これは皆さんを信用するしないではなく皆さんの身の安全を守る為の措置ですから、くれぐれも誤解などしないように」
こうして「第一回カルア君対策会議」は閉会となった。
参加者が皆一様に浮かべているのは、緊張からの開放による弛緩の表情である。
ここで起きた事を知らぬ者からは穏やかな笑顔に見える事だろうが……
「――ああそうそう一つ言い忘れてた。さっき彼、僕のところで時空間魔法の【固定】と【復元】、それに【中回復】を覚えていったから。じゃあそういう事で」
最後の最後に追加で落とされた爆弾。だが――
カルアが難易度の高い複数の魔法を一度にあっさりと習得したというラーバルの言葉は、今の彼らに果たして届いたかどうか……
この間の突然ピノさんに通信が繋がっちゃった時の事を説明すると、ピノさんは楽しそうに笑ってくれた。
「ふふふ、それで授業中に私の顔が目の前に出てきてビックリしちゃったのね」
「そうだったんですよ。あの時は本当にびっくりしたなあ」
「でも通信具が反応しちゃうくらい私の事を考えてくれてたんでしょう? そう思うと、やっぱり私うれしいな。でももし戦ってる最中とかにうっかり繋がっちゃったら危険かも」
「ええ、そうなんです。相手からの通信だったら応答しなければいいだけなんだけど、間違えて掛けちゃった通信への応答だと止められないんですよね。だから、発信する時に制御しないと……」
「それなら、例えばブレスレットの魔石を触れながらじゃないと発信できないようにするとかは?」
「あ、それいいかも。さすがピノさん!」
「ふふっ、よかった」
「ああそうだ、さっき【固定】の魔法を覚えたんです。【ボックス】内の時間も止められるようになったから、通信具の改良と一緒にやっちゃいますね。そうしたらご飯とかいつでも作りたてのままだし、お肉とか野菜とかもずっと新鮮なままですよ!」
「わ、それってすっごく便利ね。だったらお鍋をたくさん作って、色んなお料理をいっぱい作って、いつでもどこでもお腹いっぱいご飯が食べられるようにしちゃおっか」
「やった!」
「ふふっ、楽しみね!」
「あ、そうだ。実は二日前に新しい魔法を開発しちゃったんです。ピノさんって氷魔法は使えます?」
「氷魔法? やれば普通に出来ると思うけど、使った事はないなあ。あ、目の前の人がいきなり寒そうな顔するのは時々見るけど」
「あははは、それは何となく心当たりあります……。それでその氷魔法って、実は錬成魔法の一部だったんですよ」
「えっ、そうなの?」
「そうなんです。それで氷魔法をちょっと変えてみたら、その逆の熱くする魔法が出来たんです。なので氷魔法は【冷却】に名前を変えて、新魔法の【加熱】と一緒に錬成魔法に登録しようってなったんです」
「凄い、編入して一か月ちょっとで新しい魔法を開発しちゃったの? あ、このタイミングでその話をするって事はもしかして……」
「はい、火魔法じゃなくって【加熱】を付与して鍋を作れば、【冷却】と合わせて簡単に温度調整出来る鍋が作れるかも。それに鍋の中で凍らせる事だって――」
「それってものすごーく役に立つ魔法じゃない。これでお料理の幅が広がるわね!!」
「そうそう、それで今日僕【固定】だけじゃなくって、【大回復】と【復元】も使えるようになったんです。もし怪我とか病気とかしたらすぐに治しますから、急いで呼んで下さいね!」
「ありがとう。でも【大回復】まで使えるなんて、本当に凄いね」
「あっそうだ、いっその事これもアクセサリーにしちゃおうかな。怪我したら自動で【回復】が発動したりとか……。あ、壊れた時用に自動【復元】とか付けるのもいいかも」
「――カルア君、過猶不及だからねっ」
こうしてカルアとピノ、久し振りのふたりきりの時間は過ぎていく。
「ああ、時間を反転したいなあ……」
▽▽▽▽▽▽
このお話が面白いと感じてくれた方、「いいね」をお願いします。
続きが気になる方、「お気に入り」登録はいかがですか。
作者に一言ツッコみたい方やモノ申したい方、「感想コメント」お気軽にどうぞ。
「流石はクーラ君、適切な判断かと思います。ただ今のカルア君は、『パーティ全体で強くなって普通の冒険者として行動する』事を目的としているようですから、おそらくそのような戦闘方法は取らないでしょう。戦闘訓練は彼の意に沿う形で指導を進めて下さい」
「ええ、分かりました」
「今日のところは以上です。私は明日にでもマリアベル前校長の所に行き、彼の詳細情報を聞くつもりでいます。先ほどカルア君から少しだけ話を聞きましたが、それが彼の全てとは到底思えません。これまでの彼の言動から、どうも一部の魔法などは使用を禁止されているようですしね。ですが、そこで聞いた内容を全て皆さんにお話しする事はありません。現時点でも既に話せない内容がいくつかありますし。これは皆さんを信用するしないではなく皆さんの身の安全を守る為の措置ですから、くれぐれも誤解などしないように」
こうして「第一回カルア君対策会議」は閉会となった。
参加者が皆一様に浮かべているのは、緊張からの開放による弛緩の表情である。
ここで起きた事を知らぬ者からは穏やかな笑顔に見える事だろうが……
「――ああそうそう一つ言い忘れてた。さっき彼、僕のところで時空間魔法の【固定】と【復元】、それに【中回復】を覚えていったから。じゃあそういう事で」
最後の最後に追加で落とされた爆弾。だが――
カルアが難易度の高い複数の魔法を一度にあっさりと習得したというラーバルの言葉は、今の彼らに果たして届いたかどうか……
この間の突然ピノさんに通信が繋がっちゃった時の事を説明すると、ピノさんは楽しそうに笑ってくれた。
「ふふふ、それで授業中に私の顔が目の前に出てきてビックリしちゃったのね」
「そうだったんですよ。あの時は本当にびっくりしたなあ」
「でも通信具が反応しちゃうくらい私の事を考えてくれてたんでしょう? そう思うと、やっぱり私うれしいな。でももし戦ってる最中とかにうっかり繋がっちゃったら危険かも」
「ええ、そうなんです。相手からの通信だったら応答しなければいいだけなんだけど、間違えて掛けちゃった通信への応答だと止められないんですよね。だから、発信する時に制御しないと……」
「それなら、例えばブレスレットの魔石を触れながらじゃないと発信できないようにするとかは?」
「あ、それいいかも。さすがピノさん!」
「ふふっ、よかった」
「ああそうだ、さっき【固定】の魔法を覚えたんです。【ボックス】内の時間も止められるようになったから、通信具の改良と一緒にやっちゃいますね。そうしたらご飯とかいつでも作りたてのままだし、お肉とか野菜とかもずっと新鮮なままですよ!」
「わ、それってすっごく便利ね。だったらお鍋をたくさん作って、色んなお料理をいっぱい作って、いつでもどこでもお腹いっぱいご飯が食べられるようにしちゃおっか」
「やった!」
「ふふっ、楽しみね!」
「あ、そうだ。実は二日前に新しい魔法を開発しちゃったんです。ピノさんって氷魔法は使えます?」
「氷魔法? やれば普通に出来ると思うけど、使った事はないなあ。あ、目の前の人がいきなり寒そうな顔するのは時々見るけど」
「あははは、それは何となく心当たりあります……。それでその氷魔法って、実は錬成魔法の一部だったんですよ」
「えっ、そうなの?」
「そうなんです。それで氷魔法をちょっと変えてみたら、その逆の熱くする魔法が出来たんです。なので氷魔法は【冷却】に名前を変えて、新魔法の【加熱】と一緒に錬成魔法に登録しようってなったんです」
「凄い、編入して一か月ちょっとで新しい魔法を開発しちゃったの? あ、このタイミングでその話をするって事はもしかして……」
「はい、火魔法じゃなくって【加熱】を付与して鍋を作れば、【冷却】と合わせて簡単に温度調整出来る鍋が作れるかも。それに鍋の中で凍らせる事だって――」
「それってものすごーく役に立つ魔法じゃない。これでお料理の幅が広がるわね!!」
「そうそう、それで今日僕【固定】だけじゃなくって、【大回復】と【復元】も使えるようになったんです。もし怪我とか病気とかしたらすぐに治しますから、急いで呼んで下さいね!」
「ありがとう。でも【大回復】まで使えるなんて、本当に凄いね」
「あっそうだ、いっその事これもアクセサリーにしちゃおうかな。怪我したら自動で【回復】が発動したりとか……。あ、壊れた時用に自動【復元】とか付けるのもいいかも」
「――カルア君、過猶不及だからねっ」
こうしてカルアとピノ、久し振りのふたりきりの時間は過ぎていく。
「ああ、時間を反転したいなあ……」
▽▽▽▽▽▽
このお話が面白いと感じてくれた方、「いいね」をお願いします。
続きが気になる方、「お気に入り」登録はいかがですか。
作者に一言ツッコみたい方やモノ申したい方、「感想コメント」お気軽にどうぞ。
61
あなたにおすすめの小説
一流冒険者トウマの道草旅譚
黒蓬
ファンタジー
主人公のトウマは世界の各地を旅しながら、旅先で依頼をこなす冒険者。
しかし、彼には旅先で気になるものを見つけると寄らずにはいられない道草癖があった。
そんな寄り道優先の自由気ままなトウマの旅は、今日も新たな出会いと波乱を連れてくる。
35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~
月神世一
ファンタジー
紹介文
「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」
そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。
失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。
「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」
手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。
電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。
さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!?
森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、
罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、
競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。
これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。
……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!
極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――
銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」
世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。
魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。
彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。
一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。
構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。
彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。
「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」
暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。
管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。
これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。
※アルファポリスで先行で公開されます。
異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない
葉泪秋
ファンタジー
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー)
ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。
神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。
そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。
ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。
早く穏やかに暮らしたい。
俺は今日も、規格外に育った野菜を手、皆の姿を眺めている。
【毎日18:00更新】
※表紙画像はAIを使用しています
中年オジが異世界で第二の人生をクラフトしてみた
Mr.Six
ファンタジー
仕事に疲れ、酒に溺れた主人公……。フラフラとした足取りで橋を進むと足を滑らしてしまい、川にそのままドボン。気が付くとそこは、ゲームのように広大な大地が広がる世界だった。
訳も分からなかったが、視界に現れたゲームのようなステータス画面、そして、クエストと書かれた文章……。
「夢かもしれないし、有給消化だとおもって、この世界を楽しむか!」
そう開き直り、この世界を探求することに――
平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。
そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。
カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。
やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。
魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。
これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。
エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。
第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。
旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。
ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載
転生したみたいなので異世界生活を楽しみます
さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。
誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。
感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
不死王はスローライフを希望します
小狐丸
ファンタジー
気がついたら、暗い森の中に居た男。
深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。
そこで俺は気がつく。
「俺って透けてないか?」
そう、男はゴーストになっていた。
最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。
その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。
設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる