スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第33話 とてもよく切れる剣が出来ました #3

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「さて、と。魔石は地下室から持ってきたし、それじゃあ早速マイケルさんからもらったインゴットと混合していこうかな。まずはインゴット――あれ? そういえばこれって何の金属だろう? さっきの剣の色とも鉄だけ分離した時の色とも違うし……もしかして剣にするのにいい感じの【混合】とかしてあるのかな? うん、きっとそうだね。よし、じゃあ【融解】してっと」

うん、いい感じにドロドロ。

「魔石は……剣の1割――の半分くらい入れてみようかな。じゃあこちらも【融解】……でこの金属に【混合】っと。魔力の通りは――うん、少し通る感じかな。じゃあもう少し魔石を追加して――今度は1割になるくらいで、と。さて、魔力は――おっ、さっきよりも通りが良くなったかも」

こんな感じで少しずつ魔石の量を増やしていったけど、2割を超えた辺りから上手く【混合】出来なくなってきた。何だか抵抗されるみたいな感触――これって嫌がられてる? って事は2割くらいまでにしておくのがいいのかな。

「よし、じゃあ魔石だけ【分離】してから2割分だけをもう一度【混合】。よし、念のため魔力の通りを……うんいいね、ちゃんと通る。じゃあこのままさっきの剣と同じ大きさと形に整えて……よし【凝固】」

完成したブレードが僕の目の前に浮いている、のだけど、これって――
「ちょっと透明がかった神秘的な色の……金属のようだけどそうじゃないようも見える……ってこれ凄くカッコイイんじゃない!?」

うん、いいと思う!
取り敢えずさっきの剣から柄を取り外してこっちへと付けてみると――おおっ!
この神秘的な感じ、魔剣っていうよりまるで『聖剣』みたい!
ブレードの色がすっごく綺麗で……あ、柄はボロいけど。

「あとは付与か……僕が付与するんだから当然時空間魔法だよね。それとも錬成とか? って錬成を付与?」

錬成って付与出来るのかな?
出来るとすると……【融解】とか付与して打ち合った相手の剣を溶かしちゃったり?
うわ、それって悪役っぽい! 錬成は無し無し、時空間魔法に決定!

「時空間魔法で剣と相性がいいっていうと……やっぱり一番はアレだよね、モリスさんの得意技【空間ずらし】」

でもそのままじゃなくてちょっとアレンジした方がいいかな。空間を切断するのは刃先だけにして、剣の側面には結界と同じように空間の断面をコーティングするとか。
うん、これならきっと魔力を通した時に鋭さと硬さが増してくれるはず。
あっそうそう、魔力を通せるように柄やグリップも忘れずに魔石で加工しなきゃ。
「形とイメージはこれでよし! 後は付与あるのみ、だね」

って事でいよいよ付与。
剣を額の前に掲げるようにして――
「君は何でも切り裂く最強の魔剣だよ。さあ、僕の魔力を受け入れてみて。分かる? 君の刃先は空間を切り裂き、その側面は全てを防ぐ最強の盾となるんだ。最強になった気分はどう? これで僕と君は最高のパートナーさ。だからね、僕以外の魔力は絶対に受け入れちゃ駄目だよ。いいかい、約束だよ」

言葉と魔力を流し終えると剣は光を発し、そして元に戻る。うん、どうやら受け入れてくれたみたいだ。
だから……
ちょっとだけ、切れ味を試してみたいな。
試し斬りは何で……折角だから普段は絶対剣で斬ったりしない物とか……ああそうだ、薪で試してみようかな。

裏の薪割り場で原木を縦に置いて、僕は剣を振った。
その剣は何の抵抗もなく――って、空振りしちゃった? うわぁ、しばらく剣を振ってなかったからって、これは恥ずかしいよ!
ってワタワタしてたら、薪の上半分がずるずると滑り落ちて――

よかったぁ、ちゃんと切れてた! ビックリしたなあ。
で、薪の下半分はさっきまでと変わらず何事もなかったみたいに薪割り場の台の上に立ったまま。
って事は――
「これってなかなかいい切れ味じゃない?」



王都某所。
キュピキュピキュピーーン☆「!!??」
「……ああ、これはもう完全に駄目なやつだ……でも今の僕にはとても見に行く勇気もその後処理する気力も無いし……。仕方がない、今日のところは警告だけしておくとしようか」
そしてとうとう作業の手を止めた。気付かぬ振りの限界を越えたから。



僕の眼の前にふっと便箋が現れた。
あれ? これって昼間見たのと同じ便箋――って事はモリスさんからの手紙……?
おそるおそる便箋を開くと――

◇◇◇◇◇◇
やあカルア君、モリスだよ。
何だか僕の『想定外センサー』がさっきから激しく反応しててさ。
初めはまあ勘違いだろうと思ってたんだけど、あまりに何度も繰り返すものだからさ、もしかしたら君がまた何か想定外をやらかしたんじゃないかって心配になってね。

いや心当たりが無いんならいいんだ、単なる僕の勘違いだったって事だからね。それが一番望ましいってのが正直なところさ。
でもね、残念ながらとてもそうは思えないんだよね。だからさ、僕は君がさっきから何かやってると仮定した上で言うよ?

いいかい、君がさっきからやってる『ソレ』、人前に出す前に必ずブラック氏に相談する事。

いいかい? くれぐれもだよ。くれぐれも。本当にくれぐれもだからね。
◇◇◇◇◇◇

…………。
ホントは僕だって薄々気付いてはいたんだよ?
だって魔剣ってほら、伝説のアイテムだし。
主人公ヒーローだって『竜の巣』に取りに行ってたし!
はぁぁ……
モリスさんの言う通り、明日ギルマスに見てもらうしかないかぁ。

「カルアくーーん、カレヱライスが出来ましたよぉー」
ピノさんの呼ぶ声!
いつの間にか結構時間が経っていたみたい。よし、考えるのは全部後にしよっと。
「はぁーい、すぐ行きまーす」



食堂の扉を開けた瞬間――
うわっ! 何これもの凄くいい香り!
今まで嗅いだ事がない香り。
全く味の想像がつかない香り。
でも猛烈に食欲を刺激する香り。

もう我慢できないよ!
「さあカルア君、どうぞ召し上がれ」
「いただきまーす!!」

スプーンで掬って一口――
っ衝撃!!

次に我を取り戻した時には、眼の前の皿が空っぽになっていた。
「ふふふ、おかわり沢山ありますよ」

そして…………
何回おかわりしたかは覚えてない。



「ピノさん、この『カレヱライス』って凄いです。初めて食べましたけど――どうしよう、言葉で言い表せないくらい美味しいんです。でも何故美味しいのか、何がどうなって美味しいのか全く分からないんです。何ですかこれ? 魔法みたいな料理です!!」

「ふふっ気に入ってくれてよかった。これって、沢山の種類のスパイスを程よいバランスでブレンドするの。だから初めて食べたカルア君ならそういう感想になっちゃうよね。だって食べた事が無いもの同士を組み合わせたんだもの。どう? 味と香りと旨味が口の中で爆発したみたいだったでしょう?」

「本っ当に最っ高でした。これだったら毎日でも食べたいです!」
「うーん、流石に毎日は飽きると思うな。でもそんなに気に入ってくれたのなら、これからも時々作るわね」
「やったあ!! ありがとうございますピノさん!」

これからもまた食べられるんだ!

「じゃあそろそろ片付けるね。そういえば剣はどうだった?」
「ええ、いいのが出来たと思います。ただ……」
「何かあったの?」
「出来上がったところでモリスさんから手紙が来て、『誰かに見せる前にギルマスに相談する事』って」

「ああ、きっと何かやっちゃったのね」
「あはははは……」
自覚あります。だって一応魔剣――だと思うから……

「じゃあ明日ギルマスに見せましょうか。ギルマスに頼まれてた胃薬も渡さなきゃだから私も同席するね。早速その場で必要になりそうだし……頑張れギルマス!」



▽▽▽▽▽▽
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