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4月10日(月)
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可愛らしいミツバチにデザインされたハーネスリュックを背負った映美が、だいぶ葉桜気味になってきた元茨木川緑地をせっせと歩いている。つかまり立ちをし始めた頃も、頭ごっつん防止のミツバチリュックを背負わせてたけど、上の子よりこの子の方が黄色は似合うかも。
急に走り出すこともなく、新しくなった中条図書館でも静かに大人しくしてたけど、静かなお利口さんだからこそ、黄色とかオレンジが似合うコーデを着せたくなる。もうしばらくは亜衣のお下がりな日もあるだろうけど、この子用の衣類も買いたいな。また今度、大きめのアウトレットまで車を出してもらおう。
グズることもなく、しっかり自分の足で長時間歩いてくれている。先に図書館でちょっと休憩したとはいえ、少し足を伸ばして久しぶりにラッキードーナッツでお昼兼用のお土産を買い、大人の足でもそれなりの運動量になる一本道を道なりに歩いて、そろそろ終わりが見えてくる。次の交差点を渡れば、そこから先は児童公園になる。
亜衣はあまり見せることがない、驚異のスタミナと集中力で田中橋の交差点まで歩いてしまった。立ち止まったところで、彼女に水筒を差し出す。彼女は両手でしっかり水筒を持ち、吸い口から水を飲んだ。そろそろトイレが気になる頃だけど、中央図書館はお休みだし、道は逸れるけど、キリン堂のトイレを借りようかな。
映美の手をしっかり握って、前後の安全を十分に確かめてから信号を渡る。左手に折れて、正面にAmazonの建屋を見ながら、ちょっぴり交通量の多い歩道を真っ直ぐ進む。広さがあるおかげで、前からも後ろからも時々自転車がやってくる。そのまま児童公園の中を歩いた方が安全なんだけど、仕方ない。
ちょっぴりドキドキしながら、小さな手をしっかり握って、亜衣がいない間に映美と二人だけで出歩けるのも、あと二年ぐらいだもんね。二年なんてあっという間な気もするけど、子育てしながらの日々はそれなりに長く感じる。
今月中に、亜衣のお誕生日会も待っている。先日の映美のお誕生日もしっかりやったから、それなりにしっかりやってあげないと。
細心の注意を払いながら、次の交差点までたどり着く。信号を渡った先のファミリーマートに、あまり車が停まっていない。コンビニのトイレっていう選択肢もあったっけ。途中でセブンイレブンも見かけたのに、すっかり頭の中から選択肢が消えていた。
お昼時にはちょっと早いおかげで、店内にも人はそんなに多くない。
お店の前まで行き、往来の邪魔にならないところで映美に目線を合わせる。
「おしっこする?」
彼女は首を振る。「お尻、気持ち悪くない?」と尋ねても、彼女は首を振る。そっか、私が気を揉み過ぎたか。このまま目の前の大通りを歩いて、さっさと家に辿り着いた方が良かったか。
「もうちょっと歩ける?」
映美は首を縦に振った。「じゃあ、行こっか」と彼女の手を引いて、広めの歩道へ出た。「休館日」の札が下がった中央図書館の駐車場の前を通り、Amazonの文字を右前に見ながら真っ直ぐ進む。そろそろ帽子が要る季節。どんな帽子にしようか考えながら、二人でのんびり家を目指した。
急に走り出すこともなく、新しくなった中条図書館でも静かに大人しくしてたけど、静かなお利口さんだからこそ、黄色とかオレンジが似合うコーデを着せたくなる。もうしばらくは亜衣のお下がりな日もあるだろうけど、この子用の衣類も買いたいな。また今度、大きめのアウトレットまで車を出してもらおう。
グズることもなく、しっかり自分の足で長時間歩いてくれている。先に図書館でちょっと休憩したとはいえ、少し足を伸ばして久しぶりにラッキードーナッツでお昼兼用のお土産を買い、大人の足でもそれなりの運動量になる一本道を道なりに歩いて、そろそろ終わりが見えてくる。次の交差点を渡れば、そこから先は児童公園になる。
亜衣はあまり見せることがない、驚異のスタミナと集中力で田中橋の交差点まで歩いてしまった。立ち止まったところで、彼女に水筒を差し出す。彼女は両手でしっかり水筒を持ち、吸い口から水を飲んだ。そろそろトイレが気になる頃だけど、中央図書館はお休みだし、道は逸れるけど、キリン堂のトイレを借りようかな。
映美の手をしっかり握って、前後の安全を十分に確かめてから信号を渡る。左手に折れて、正面にAmazonの建屋を見ながら、ちょっぴり交通量の多い歩道を真っ直ぐ進む。広さがあるおかげで、前からも後ろからも時々自転車がやってくる。そのまま児童公園の中を歩いた方が安全なんだけど、仕方ない。
ちょっぴりドキドキしながら、小さな手をしっかり握って、亜衣がいない間に映美と二人だけで出歩けるのも、あと二年ぐらいだもんね。二年なんてあっという間な気もするけど、子育てしながらの日々はそれなりに長く感じる。
今月中に、亜衣のお誕生日会も待っている。先日の映美のお誕生日もしっかりやったから、それなりにしっかりやってあげないと。
細心の注意を払いながら、次の交差点までたどり着く。信号を渡った先のファミリーマートに、あまり車が停まっていない。コンビニのトイレっていう選択肢もあったっけ。途中でセブンイレブンも見かけたのに、すっかり頭の中から選択肢が消えていた。
お昼時にはちょっと早いおかげで、店内にも人はそんなに多くない。
お店の前まで行き、往来の邪魔にならないところで映美に目線を合わせる。
「おしっこする?」
彼女は首を振る。「お尻、気持ち悪くない?」と尋ねても、彼女は首を振る。そっか、私が気を揉み過ぎたか。このまま目の前の大通りを歩いて、さっさと家に辿り着いた方が良かったか。
「もうちょっと歩ける?」
映美は首を縦に振った。「じゃあ、行こっか」と彼女の手を引いて、広めの歩道へ出た。「休館日」の札が下がった中央図書館の駐車場の前を通り、Amazonの文字を右前に見ながら真っ直ぐ進む。そろそろ帽子が要る季節。どんな帽子にしようか考えながら、二人でのんびり家を目指した。
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