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壱:集会
壱の五:集会/総会開始
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メイン会場は3階にあった。地下や屋外の駐車場から事前に計算されたルートを通ってメイン会場のホールへとたどり着くことになる。これも全て、集会の気密性を守り、警察の介入を防ぐためである。
急ぎ、メイン会場へとたどり着けば、そこではすでに全ての重要人物が集まっていたところである。
『メイン担当各員報告』
俺が会場のメイン会場の警備に担当に問いかけて返答を求める
『メイン1、異常なし』
『メイン2、異常ありません』
『メイン3、一部来賓が苛立ち始めてます。接待のコンパニオンになだめさせてます』
クソっ、榊原のバカのせいで進行が遅れ始めている。接待役のコンパニオンは部外から雇った女性たちだが、俺達のような裏の事情に通じた口の固い連中を集めている。俺は指示を出す。
『対応したコンパニオンの氏名と所属を確かめておけ。後で割増報酬を出す』
『了解』
これも必要な処置だ。俺たちの不手際とトラブルで、余計な手間をかけているのだ。それに見合った対価を払うのは当然のことだ。
それ以外の部下からは特に目立った異常の報告はない。会場の監視カメラ映像を経由してチェックすれば全ての参加者が席についている。あの榊原も、氷室のオジキもだ。
会場はパーティースタイル。赤いテーブルクロスがかけられた丸テーブルが並んでいる。そして、各々のテーブルには関連性が近い者同士で事前に指定された席が割り振られている。力関係の縮図とも言えるその席次順は天龍のオヤジが最新の注意を払いながら決めた物。一喜一憂しながら参加の来賓たちが席についている。
とりあえず入場はこれでクリアだ。
俺は天龍のオヤジに告げる。
『総括、入場完了。異常なしです』
『ご苦労。そのまま会場警備を続行』
『了解』
ねぎらいの声が帰ってくる。総会が始まれば会場警備は一段落つくことになる。ある案件を除いて――
――入場Bルートの場外誘導役、連絡不通――
――先程、氷室のオジキに耳打ちされた件だ。今は木原の連絡待ちだろう。
天龍のオヤジには氷室のオジキから耳打ちされているはずだ。これが何を引き起こすのか、オヤジもオジキも思案しているだろう。
だが、それまでざわついていた空気が一気にシンとなる。会場の一番大きな扉が開いたのだ。
――緋色会現総長『石黒史成』――
ステルスヤクザとしての巨大闇社会組織である緋色会の実質的トップを担っている人物だ。60過ぎの高齢だがまだまだ才知は衰えていない。
濃紺の英国製スーツに身を包んだその体躯は今なお180位の背丈がある。6人ほどの護衛役の黒服に囲まれながら、会場の中へと足を踏み入れた。その瞬間、だが言うとなく会場に居た全員が一斉に起立した。さらにわずかな間を置いて全員同時に挨拶が切られた。
「ご苦労さまです!」
一糸乱れぬ挨拶の文言、そしてそののちに全員が石黒総長へと頭を下げる。下げないのは総長お付きの護衛役と、総会運営の会場警備担当だけだ。俺は会場警備の全てを見守る者として、礼儀を尽くさないことが唯一認められているのだ。
石黒総長が護衛役に守られて会場の上座の一番目立つ席へと誘導される。そして石黒総長が席につく間、誰も一言も発することなく頭を下げ続けるのだ。
――ザッ!――
石黒総長が革張りの席に腰を下ろす。それと同時に全員が頭を上げる。然る後に序列の順に席についていく。全員が着席したところで司会役から宣言がされるのだ。
「それではこれより、定例総会を開始いたします! いずれに置かれましても私語は慎みますようお願い申し上げます」
異論は出ない。沈黙が守られたままだ。
「それでは総長よりご挨拶を賜ります!」
そして定例総会は始まった――
急ぎ、メイン会場へとたどり着けば、そこではすでに全ての重要人物が集まっていたところである。
『メイン担当各員報告』
俺が会場のメイン会場の警備に担当に問いかけて返答を求める
『メイン1、異常なし』
『メイン2、異常ありません』
『メイン3、一部来賓が苛立ち始めてます。接待のコンパニオンになだめさせてます』
クソっ、榊原のバカのせいで進行が遅れ始めている。接待役のコンパニオンは部外から雇った女性たちだが、俺達のような裏の事情に通じた口の固い連中を集めている。俺は指示を出す。
『対応したコンパニオンの氏名と所属を確かめておけ。後で割増報酬を出す』
『了解』
これも必要な処置だ。俺たちの不手際とトラブルで、余計な手間をかけているのだ。それに見合った対価を払うのは当然のことだ。
それ以外の部下からは特に目立った異常の報告はない。会場の監視カメラ映像を経由してチェックすれば全ての参加者が席についている。あの榊原も、氷室のオジキもだ。
会場はパーティースタイル。赤いテーブルクロスがかけられた丸テーブルが並んでいる。そして、各々のテーブルには関連性が近い者同士で事前に指定された席が割り振られている。力関係の縮図とも言えるその席次順は天龍のオヤジが最新の注意を払いながら決めた物。一喜一憂しながら参加の来賓たちが席についている。
とりあえず入場はこれでクリアだ。
俺は天龍のオヤジに告げる。
『総括、入場完了。異常なしです』
『ご苦労。そのまま会場警備を続行』
『了解』
ねぎらいの声が帰ってくる。総会が始まれば会場警備は一段落つくことになる。ある案件を除いて――
――入場Bルートの場外誘導役、連絡不通――
――先程、氷室のオジキに耳打ちされた件だ。今は木原の連絡待ちだろう。
天龍のオヤジには氷室のオジキから耳打ちされているはずだ。これが何を引き起こすのか、オヤジもオジキも思案しているだろう。
だが、それまでざわついていた空気が一気にシンとなる。会場の一番大きな扉が開いたのだ。
――緋色会現総長『石黒史成』――
ステルスヤクザとしての巨大闇社会組織である緋色会の実質的トップを担っている人物だ。60過ぎの高齢だがまだまだ才知は衰えていない。
濃紺の英国製スーツに身を包んだその体躯は今なお180位の背丈がある。6人ほどの護衛役の黒服に囲まれながら、会場の中へと足を踏み入れた。その瞬間、だが言うとなく会場に居た全員が一斉に起立した。さらにわずかな間を置いて全員同時に挨拶が切られた。
「ご苦労さまです!」
一糸乱れぬ挨拶の文言、そしてそののちに全員が石黒総長へと頭を下げる。下げないのは総長お付きの護衛役と、総会運営の会場警備担当だけだ。俺は会場警備の全てを見守る者として、礼儀を尽くさないことが唯一認められているのだ。
石黒総長が護衛役に守られて会場の上座の一番目立つ席へと誘導される。そして石黒総長が席につく間、誰も一言も発することなく頭を下げ続けるのだ。
――ザッ!――
石黒総長が革張りの席に腰を下ろす。それと同時に全員が頭を上げる。然る後に序列の順に席についていく。全員が着席したところで司会役から宣言がされるのだ。
「それではこれより、定例総会を開始いたします! いずれに置かれましても私語は慎みますようお願い申し上げます」
異論は出ない。沈黙が守られたままだ。
「それでは総長よりご挨拶を賜ります!」
そして定例総会は始まった――
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