ブラザーフッド:インテリヤクザと三下ヤクザの洒落にならない話 【全話執筆完了!毎日更新中!】

美風慶伍

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幕間4:脱出行

幕間4-7:脱出行/― 蜂 ―

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「後悔するぜ!?」

 俺は叫ぶ。なんの迷いもなしに。そしてつぎの瞬間――
 
「そんなに死にたきゃ勝手に死ねぇ!!」

――俺の叫びとともに、俺の顔面の蜂の巣から一斉にインセクトドローンの蜂共が大量に飛び出していったのである。

――ウォォォォォォオオン――

 総毛立つような耳障りで不快な羽音を響かせながら、金色色こんじきいろに光る蜂たちが芝生広場一面に広がった。無論、敵に攻撃の隙は与えない。
 
「――バズィング! ビー!――」

 俺が発した音声コマンドに呼応して数百のすべての人工蜂どもが一斉に羽音を立てた。だがただの羽音をじゃあねえ。
 
――ブブゥゥン……ブブブブブウォオン――

 羽音と羽音がからみあいながらさらなる響きを奏でていく。それは響きと言うより〝地響き〟だ。
 そして、それは音響共鳴と言う効果を伴いながら――
 
「がっ?」
「ぐうぅっ!」
「な、なんだこれは!」

 前列の10人が一斉に頭を抱えた。最新ハイテクのプロテクター装備なんか何の意味もない。共振振動によりヘルメット内の頭蓋骨を直接に揺さぶりをかける。それが俺の得意技の一つ【バズィング・ビー】だ。
 
――ガシャッ!――

 数人がCZスコーピオンを取り落とし、そのまま倒れていく。10人並んだうちの中央の6人だ。まともに共振振動を食らったのだ。死んだかどうかは知らねぇ。まぁ、生きてても1ヶ月はひどい頭痛にやれるがな。
 だが両サイドと後列にまだ生き残りがいる。だったら露払いの追い打ちと行こうか。
 お誂え向けに共振振動をこらえるために俺の方へと集中する余裕を無くしている。ならば――
 
「――ミサイル・ビー!――」
 
 生き残りの14人へと30匹ほどの蜂を一気に突進させる。超小型のホーミングミサイルのように。蜂の中には微量ながら高反応の金属水素爆薬が仕込まれている。蜂一匹で一人を殺るのには十分な威力を持つ。
 
――キュゥゥィィィィイイィン――

 緩やかなカーブを描いて30匹ほどの蜂がミサイルのように高速で飛んでいく。そしてそれは先程の共振振動で立ちすくんでいた連中へとなだれ込むように命中していくのだ。
 
――ボォォオオン!――
――キュボッ!――
――ドォオン!――

 超小型の蜂型のドローンが高速飛行と自爆機能を連動させることで足跡の誘導ミサイルになるのだ。1対多数の乱戦ではめちゃくちゃ効果的な攻撃であることは言わなくても判るはずだ。蜂は敵の頭部へと命中すると即座に爆発する。爆風でふっとばされるほどの衝撃波が生まれ、武装警官たちをさらにこと切れさせていくのだ。
 
「スコア7人追加ってとこか。でもまだ立ってんのな」

 前列の残り4人はミサイル・ビーの餌食となった。後列は3人がぶっ倒れた。6人足す7人で13人、残りは7人だ。

「ちっ! しぶてーな」

 苛立ち混じりに吐き捨てれば、俺の視界の中では白いシルエットのあいつらはまだ攻撃の意思を失くしてなかった。
 
『くそっ! 撃て!』

 リーダー役らしきやつが必死に叫んでる。両手で抱えたマシンガンのM240E6を改めて俺へと向けようとしている。だが――
 
「――ボンバー・ビー――」

――おれは新たなるトリガーとなる言葉を叫んだ。つぎの瞬間――

――ドオォォン!――

 生き残りの7人の延髄部のあたりで爆発が起きた。頚椎部の急所での炸裂に耐えられるものはない。
 マシンガンが地面へと落ちる。所有者が力尽きたためだ。そして音もなく地面へと崩れ落ちていく。

 6+7+7

 これで合計20人――全員始末完了だ。俺は死屍累々と居並ぶ負け犬たちに向けてこうつぶやく。
 
「お前らプロテクター装備で全身くまなく守ったつもりなんだろうけどよ。案外、そう言うのって隙間だらけなんだぜ? 襟元から蜂一匹くらいだったら割と簡単に侵入できるしな」

 見れば見事にプロテクタースーツの首の後が吹っ飛んでいる。蜂がプロテクターの内側に見事に入り込んだ結果だった。
 
「ま、相手が悪かったと思って諦めな」

 俺のそのつぶやきを聞いているものは誰も居なかった。骨を拾うつもりもない。始末完了ってやつだ。
 
「行くか、おっさんが心配だ」

 俺は身を翻して歩き出す。月明かりの下で白い鎧が白骨の躯のように累々と転がるばかりである。
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