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第41話 シャーロットとラルフ
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「ラルフ様!」
「……シャーロットか」
過労で倒れたマリアンヌを部屋まで運び、テディに後を託したラルフが廊下を歩いていると、物陰からシャーロットが飛び出してきた。
ラルフは顔色を変えずに足を止めると、シャーロットに向き合う。
「マリアンヌが薬を持って帰った。シェリルはもう大丈夫だ」
「…………聞きましたわ」
シャーロットは悔しそうに扇子を握り締め、歯を食いしばっている。
マリアンヌにうまく躱されていたが、一方的に勝負をふっかけていたシャーロットのことだ、負けたと勝手に悔しがっているのだろう。シャーロットがマリアンヌより先に薬を手に入れようと躍起になっていたことをラルフは知っている。
それが純粋にシェリルのためであれば素直に礼も言えるのだが、そうではないことが明白なだけに複雑な思いである。
「……五日もの間、ほとんど睡眠も取らずに泳ぎ通していたとお聞きしました。悔しいですが、負けを認めますわ」
意固地なシャーロットが敗北宣言をしたことに、ラルフは驚いた。
「なんだ、珍しく素直じゃないか」
「ふんっ!認めたくはありませんわ!認めたくはありませんけれど……この五日間のラルフ様を見れば、認めるしかないではありませんか」
気丈に振る舞いつつも、シャーロットの言葉尻は小さくなっていく。
「毎日あの方を心配して港に行かれていたでしょう?ラルフ様の目には、心配の色だけでなく信頼や慈愛の色も満ちておりましたわ。決して私には向けられない……そんな力強い瞳」
「シャーロット、俺は……」
「言わないでください!その先は……」
悲しげに眉尻を下げるシャーロットは、いつになく意気消沈としている。
ラルフが長年伝え続けてきた断りの言葉を制し、シャーロットは俯いてしまう。その表情は見えないが、僅かに肩が震えている。
最近では会うたびに猪突猛進にラルフにアプローチを仕掛けてくるシャーロットであるが、幼い頃はそうではなかった。
カミラの遠縁であり、ラルフとしても遠い親族には違いはなく、幼い頃は一緒に中庭を走り回っては遊んでいた。ラルフにとってはもう一人の手のかかる妹のような存在であったのだが、いつしかシャーロットの想いは歪み、執着心を増していった。
「ふふ、私はどこから間違ってしまったのでしょうね。ラルフ様の心を傾けられないことは、もうずっと前から分かっていたのに。認められなくて、認めたくなくて、やけになっていたのかもしれません」
「……」
「ラルフ様は、あの方――マリアンヌ様のことをどう思っていらっしゃるのですか?」
縋るようなシャーロットの瞳には、もうマリアンヌへの侮蔑の色は滲んでいない。
ラルフは僅かに微笑むと、ポンっとシャーロットの頭を撫でた。――幼い頃にそうしていたように。
「まだ本人に伝えていないことをここで口にはできない」
「……分かりましたわ」
ラルフの答えが全てを語っていた。
シャーロットは悲しげに微笑むと、静かにお辞儀をしてラルフの前から立ち去った。
去り際、吊り目がちな瞳から一筋の涙が流れ落ちた。
◇◇◇
「うぅん……」
マリアンヌが目を覚ましたのは、シェリルに薬を届けて三日後のことだった。
「起きたか」
「ん……あら、ラルフ様。ごきげんよう」
未だぼんやりする頭と視界で、声の主を辿ると、こちらの顔を覗き込むようにしてベッドの淵にラルフが腰掛けていた。
目を覚ましたマリアンヌに、ホッと息を吐いたラルフは腕を伸ばすと、手の甲でその頬を撫でた。
「……って、ラルフ様!?」
一呼吸遅れて飛び起きたマリアンヌは、布団を抱き抱えるようにしてベッドの上で後ずさった。
(な、なななんで??テディはどこに行ったの!?)
あわあわ戸惑うマリアンヌを見ておかしそうに肩を震わせていたラルフは、徐に立ち上がると部屋を出て行ってしまった。そしてすぐに軽食をカートに乗せたテディを連れて戻ってきた。テディはマリアンヌの目覚めを確認すると、嬉しそうに尻尾を振り、マリアンヌの表情筋を緩めさせた。
「とにかく食え。三日も寝ていたし、どうせ泳いでいる間もろくな食事をしていなかったのだろう」
「う……ありがたく頂戴いたしますわ」
確かにラルフの言う通り、リェン国を出てから夢中で泳いでいたので食事を摂った記憶がない。
マリアンヌはソファに腰を下ろすと、テディに礼を言って食事の用意を整えてもらった。食事が済んだら呼びにいくとラルフに言われたテディは、少し名残惜しそうに部屋を後にした。
マリアンヌがお腹を満たしている間、ラルフはマリアンヌの対面に座って長い足を組みながら、シェリルが目を覚まして回復傾向にあることを語って聞かせた。
「まぁっ、よかったですわ。あとでお見舞いに行かなくちゃ」
「ふっ、見舞われる側ではなくて、か?」
三日間気絶するように眠り続けたマリアンヌであるが、しっかり寝て食事も取ったのですっかり元気になっていた。
「ええ!私はもう大丈夫ですわ。あ、シェリルに会ったら海にも行かなくてはなりませんわ。海賊たちのその後についてどうなったのか確認しないと……」
「は?ちょっと待て、今、海賊と言ったか?」
独り言のつもりで呟いた言葉は、ラルフの耳にしっかりと届いていたらしい。ピクピクと魅力的な耳が反応している。
素敵なお耳といえば、マリアンヌは何か重要なことを忘れているような気がするが、まずはラルフの質問に答えねばなるまい。
「え?ええ、船は私が沈めたので、海賊たちは一人残らず捕縛されたとは思うのですが、彼らは獣人のようでしたし、罰を与えるには少々厄介そうで……」
「はぁ!?マリアンヌが!?海賊の船を!?どういうことだ!!」
指を顎に当ててなんでもないように語るマリアンヌに対し、ラルフは焦りと驚きのあまり目を剥いている。
そういえば海賊のことには触れていなかったと、マリアンヌは内心あちゃーと額を押さえた。
「海賊が姿を消したらしいと報告は受けていたが……まさかマリアンヌが関与していたとは……おい、一から十まで包み隠さず全て話せ」
「ええと……怒らないで聞いてくださいね?」
ラルフの勢いに押されたマリアンヌは、両手を前に出してラルフを宥めつつ、帰路で海賊に捕まったこと、守護獣を呼び出して彼らを撃退したこと、魚人の保安部隊に身柄を引き渡したことを語った。
話が進むにつれて、ラルフは分かりやすく眉間に皺を寄せていった。
「……無茶をしすぎだ。ハァァ」
話を全て聞き終えたラルフは、頭を垂らすと深く深くため息をついた。
そして、キッと鋭い目つきでマリアンヌを睨みつけた。
蛇に睨まれたカエルの如く縮み上がったマリアンヌの隣に素早く移動したラルフは、仏頂面をしたままマリアンヌの腕を掴んで自身に向かって強く引いた。
「きゃ!?」
「……本当に、無事でよかった」
吐息と共に、あまりにも近い距離で囁かれた言葉に、マリアンヌの思考は停止した。
それどころか、ぎゅっと力強く抱きしめられているため、息が止まりそうである。
バクバクと、どちらの鼓動かわからないほど心臓が暴れている。
ラルフはマリアンヌを解放するつもりはないらしく、ぎゅうぎゅうと抱きしめる力を強める。
(ど、どうしよう……恥ずかしすぎて頭が熱い…………んん?)
ラルフの肩に顔を埋めていたマリアンヌであったが、酸素を求めて僅かに顔を浮かせた時、とあるものが視界を掠めた。
「ああああああっ!!!?」
それはふわりふわりとマリアンヌを誘惑するように左右に揺れており、思わずうっとりと目で追っていたマリアンヌは、とても重要なことを思い出したのであった。
「……シャーロットか」
過労で倒れたマリアンヌを部屋まで運び、テディに後を託したラルフが廊下を歩いていると、物陰からシャーロットが飛び出してきた。
ラルフは顔色を変えずに足を止めると、シャーロットに向き合う。
「マリアンヌが薬を持って帰った。シェリルはもう大丈夫だ」
「…………聞きましたわ」
シャーロットは悔しそうに扇子を握り締め、歯を食いしばっている。
マリアンヌにうまく躱されていたが、一方的に勝負をふっかけていたシャーロットのことだ、負けたと勝手に悔しがっているのだろう。シャーロットがマリアンヌより先に薬を手に入れようと躍起になっていたことをラルフは知っている。
それが純粋にシェリルのためであれば素直に礼も言えるのだが、そうではないことが明白なだけに複雑な思いである。
「……五日もの間、ほとんど睡眠も取らずに泳ぎ通していたとお聞きしました。悔しいですが、負けを認めますわ」
意固地なシャーロットが敗北宣言をしたことに、ラルフは驚いた。
「なんだ、珍しく素直じゃないか」
「ふんっ!認めたくはありませんわ!認めたくはありませんけれど……この五日間のラルフ様を見れば、認めるしかないではありませんか」
気丈に振る舞いつつも、シャーロットの言葉尻は小さくなっていく。
「毎日あの方を心配して港に行かれていたでしょう?ラルフ様の目には、心配の色だけでなく信頼や慈愛の色も満ちておりましたわ。決して私には向けられない……そんな力強い瞳」
「シャーロット、俺は……」
「言わないでください!その先は……」
悲しげに眉尻を下げるシャーロットは、いつになく意気消沈としている。
ラルフが長年伝え続けてきた断りの言葉を制し、シャーロットは俯いてしまう。その表情は見えないが、僅かに肩が震えている。
最近では会うたびに猪突猛進にラルフにアプローチを仕掛けてくるシャーロットであるが、幼い頃はそうではなかった。
カミラの遠縁であり、ラルフとしても遠い親族には違いはなく、幼い頃は一緒に中庭を走り回っては遊んでいた。ラルフにとってはもう一人の手のかかる妹のような存在であったのだが、いつしかシャーロットの想いは歪み、執着心を増していった。
「ふふ、私はどこから間違ってしまったのでしょうね。ラルフ様の心を傾けられないことは、もうずっと前から分かっていたのに。認められなくて、認めたくなくて、やけになっていたのかもしれません」
「……」
「ラルフ様は、あの方――マリアンヌ様のことをどう思っていらっしゃるのですか?」
縋るようなシャーロットの瞳には、もうマリアンヌへの侮蔑の色は滲んでいない。
ラルフは僅かに微笑むと、ポンっとシャーロットの頭を撫でた。――幼い頃にそうしていたように。
「まだ本人に伝えていないことをここで口にはできない」
「……分かりましたわ」
ラルフの答えが全てを語っていた。
シャーロットは悲しげに微笑むと、静かにお辞儀をしてラルフの前から立ち去った。
去り際、吊り目がちな瞳から一筋の涙が流れ落ちた。
◇◇◇
「うぅん……」
マリアンヌが目を覚ましたのは、シェリルに薬を届けて三日後のことだった。
「起きたか」
「ん……あら、ラルフ様。ごきげんよう」
未だぼんやりする頭と視界で、声の主を辿ると、こちらの顔を覗き込むようにしてベッドの淵にラルフが腰掛けていた。
目を覚ましたマリアンヌに、ホッと息を吐いたラルフは腕を伸ばすと、手の甲でその頬を撫でた。
「……って、ラルフ様!?」
一呼吸遅れて飛び起きたマリアンヌは、布団を抱き抱えるようにしてベッドの上で後ずさった。
(な、なななんで??テディはどこに行ったの!?)
あわあわ戸惑うマリアンヌを見ておかしそうに肩を震わせていたラルフは、徐に立ち上がると部屋を出て行ってしまった。そしてすぐに軽食をカートに乗せたテディを連れて戻ってきた。テディはマリアンヌの目覚めを確認すると、嬉しそうに尻尾を振り、マリアンヌの表情筋を緩めさせた。
「とにかく食え。三日も寝ていたし、どうせ泳いでいる間もろくな食事をしていなかったのだろう」
「う……ありがたく頂戴いたしますわ」
確かにラルフの言う通り、リェン国を出てから夢中で泳いでいたので食事を摂った記憶がない。
マリアンヌはソファに腰を下ろすと、テディに礼を言って食事の用意を整えてもらった。食事が済んだら呼びにいくとラルフに言われたテディは、少し名残惜しそうに部屋を後にした。
マリアンヌがお腹を満たしている間、ラルフはマリアンヌの対面に座って長い足を組みながら、シェリルが目を覚まして回復傾向にあることを語って聞かせた。
「まぁっ、よかったですわ。あとでお見舞いに行かなくちゃ」
「ふっ、見舞われる側ではなくて、か?」
三日間気絶するように眠り続けたマリアンヌであるが、しっかり寝て食事も取ったのですっかり元気になっていた。
「ええ!私はもう大丈夫ですわ。あ、シェリルに会ったら海にも行かなくてはなりませんわ。海賊たちのその後についてどうなったのか確認しないと……」
「は?ちょっと待て、今、海賊と言ったか?」
独り言のつもりで呟いた言葉は、ラルフの耳にしっかりと届いていたらしい。ピクピクと魅力的な耳が反応している。
素敵なお耳といえば、マリアンヌは何か重要なことを忘れているような気がするが、まずはラルフの質問に答えねばなるまい。
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そういえば海賊のことには触れていなかったと、マリアンヌは内心あちゃーと額を押さえた。
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「ええと……怒らないで聞いてくださいね?」
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話が進むにつれて、ラルフは分かりやすく眉間に皺を寄せていった。
「……無茶をしすぎだ。ハァァ」
話を全て聞き終えたラルフは、頭を垂らすと深く深くため息をついた。
そして、キッと鋭い目つきでマリアンヌを睨みつけた。
蛇に睨まれたカエルの如く縮み上がったマリアンヌの隣に素早く移動したラルフは、仏頂面をしたままマリアンヌの腕を掴んで自身に向かって強く引いた。
「きゃ!?」
「……本当に、無事でよかった」
吐息と共に、あまりにも近い距離で囁かれた言葉に、マリアンヌの思考は停止した。
それどころか、ぎゅっと力強く抱きしめられているため、息が止まりそうである。
バクバクと、どちらの鼓動かわからないほど心臓が暴れている。
ラルフはマリアンヌを解放するつもりはないらしく、ぎゅうぎゅうと抱きしめる力を強める。
(ど、どうしよう……恥ずかしすぎて頭が熱い…………んん?)
ラルフの肩に顔を埋めていたマリアンヌであったが、酸素を求めて僅かに顔を浮かせた時、とあるものが視界を掠めた。
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