女性一人読み台本

親指が痛いの

この前親指を怪我したの。
ちょっと紙で引っ掻けただけだったのに、
思っていたより血が止まらなくて、痛くて、
こんな痛さで泣ける年じゃないけど
この鈍い痛みで色々なことを思い出しちゃって
少しだけ泣きそうになった。

誰かを傷つけたこと、
その事をあとになって気づいたこと、
体はなんともなくても、心はなんとなくだるくなって

誰かに傷つけられたこと
その事を必死に隠したこと、
どうしても素直になれなくて

誰かに押しつけられたこと
自分を守ったこと、
ああ、親指がいたいの。

日常には何も支障がなくて
これぐらいはかわいそうでもなくて
そんなことを考えている自分が
親指の傷はいつか治るのかな