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第15章「涙の告白」
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春の空はどこまでも晴れ渡っていた。
けれど、リリアナの胸は重く曇っていた。
学園の廊下を歩けば、またも耳に囁きが届く。
「ほら、また一人ね」
「昨日も男子と話してたんでしょう?」
「公爵様の婚約者のくせに、裏切りだわ」
噂は留まることを知らない。
自分では否定する間もなく、勝手に形を変えて広がっていく。
耐えるしかなかった。
でも――今日は、もう無理だった。
放課後。
馬車で帰ろうとしたところで、アルベルトに呼び止められた。
「来い」
短く冷たい声。
そのまま人気のない中庭へ連れて行かれる。
「……昼間のあの噂は何だ」
低い声が胸を突き刺す。
リリアナは必死に首を振った。
「違いますの……! わたくしは誰とも――」
「ではなぜ噂が絶えぬ。なぜ、俺以外の名とお前の名が並ぶ」
鋭い視線に、心臓が早鐘を打つ。
これ以上誤解されるくらいなら、もう隠せない。
「わたくしは……」
唇を震わせ、言葉を搾り出した。
「わたくしは、公爵様に相応しくないのです……!」
声が震え、目に涙が溢れる。
「没落しかけの男爵家の娘で、学園では皆に嫌われて……。
噂一つで簡単に“悪役”にされてしまう。
そんなわたくしが、公爵様の隣に立っていていいはずがないのです……!」
堰を切ったように言葉が零れ落ちた。
止められなかった。
孤独と恐怖、誤解と不安――すべてが涙と一緒に溢れていく。
「……誰も、わたくしを信じてくれないのです」
「リリアナ……」
アルベルトが一歩近づく。
その気配に、リリアナは思わず後ずさった。
「お願いです。……どうか、わたくしを解放してください。
公爵様の重荷になるのは、もう嫌なのです……!」
声は泣き声に変わり、頬を伝う雫が止まらない。
しばしの沈黙。
やがてアルベルトの手が伸び、彼女の腕を強く引き寄せた。
「……馬鹿者」
低い声が耳元で響く。
驚いて顔を上げた瞬間、彼の胸に抱き込まれていた。
「誰が、お前を重荷だと言った」
「え……?」
「俺は一度たりとも、そう思ったことはない」
冷たいはずの声が、今は熱を帯びていた。
「お前が泣いても、噂に傷ついても……俺の隣に立つのはお前だけだ」
強い言葉に、リリアナの涙が止まらなくなる。
胸に縋りつきながら、心の奥で小さく囁いた。
(信じたい……でも、信じてしまえば……破滅が)
矛盾する思いが胸を揺らし、涙となって頬を濡らす。
それでもアルベルトは彼女を抱き締めたまま、離そうとはしなかった。
「噂など俺が消す。お前が裏切ったなどと言わせはしない」
静かな宣言に、リリアナの胸は熱く震えた。
涙の告白は、彼女の心を少しだけ軽くした。
だが同時に――運命の糸をさらに絡め、逃れられない縁へと変えていった。
けれど、リリアナの胸は重く曇っていた。
学園の廊下を歩けば、またも耳に囁きが届く。
「ほら、また一人ね」
「昨日も男子と話してたんでしょう?」
「公爵様の婚約者のくせに、裏切りだわ」
噂は留まることを知らない。
自分では否定する間もなく、勝手に形を変えて広がっていく。
耐えるしかなかった。
でも――今日は、もう無理だった。
放課後。
馬車で帰ろうとしたところで、アルベルトに呼び止められた。
「来い」
短く冷たい声。
そのまま人気のない中庭へ連れて行かれる。
「……昼間のあの噂は何だ」
低い声が胸を突き刺す。
リリアナは必死に首を振った。
「違いますの……! わたくしは誰とも――」
「ではなぜ噂が絶えぬ。なぜ、俺以外の名とお前の名が並ぶ」
鋭い視線に、心臓が早鐘を打つ。
これ以上誤解されるくらいなら、もう隠せない。
「わたくしは……」
唇を震わせ、言葉を搾り出した。
「わたくしは、公爵様に相応しくないのです……!」
声が震え、目に涙が溢れる。
「没落しかけの男爵家の娘で、学園では皆に嫌われて……。
噂一つで簡単に“悪役”にされてしまう。
そんなわたくしが、公爵様の隣に立っていていいはずがないのです……!」
堰を切ったように言葉が零れ落ちた。
止められなかった。
孤独と恐怖、誤解と不安――すべてが涙と一緒に溢れていく。
「……誰も、わたくしを信じてくれないのです」
「リリアナ……」
アルベルトが一歩近づく。
その気配に、リリアナは思わず後ずさった。
「お願いです。……どうか、わたくしを解放してください。
公爵様の重荷になるのは、もう嫌なのです……!」
声は泣き声に変わり、頬を伝う雫が止まらない。
しばしの沈黙。
やがてアルベルトの手が伸び、彼女の腕を強く引き寄せた。
「……馬鹿者」
低い声が耳元で響く。
驚いて顔を上げた瞬間、彼の胸に抱き込まれていた。
「誰が、お前を重荷だと言った」
「え……?」
「俺は一度たりとも、そう思ったことはない」
冷たいはずの声が、今は熱を帯びていた。
「お前が泣いても、噂に傷ついても……俺の隣に立つのはお前だけだ」
強い言葉に、リリアナの涙が止まらなくなる。
胸に縋りつきながら、心の奥で小さく囁いた。
(信じたい……でも、信じてしまえば……破滅が)
矛盾する思いが胸を揺らし、涙となって頬を濡らす。
それでもアルベルトは彼女を抱き締めたまま、離そうとはしなかった。
「噂など俺が消す。お前が裏切ったなどと言わせはしない」
静かな宣言に、リリアナの胸は熱く震えた。
涙の告白は、彼女の心を少しだけ軽くした。
だが同時に――運命の糸をさらに絡め、逃れられない縁へと変えていった。
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