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第22章|アランの取引
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その夜、公爵邸の廊下はいつもより暗かった。
蝋燭の灯は揺れているのに、灯りが届かない場所がある。
影が、意図を持ってそこに立っているみたいに見える。
私は寝台の端に腰を下ろし、膝の上で手を重ねた。
指輪の青が、闇の中でも沈んで光る。
冷たい。
外せない。
外せないものが増えるほど、私は“妻”ではなく“管理される存在”になっていく気がした。
扉の外で、足音が止まる。
規則正しい歩幅。迷いのない音。
アラン公爵――と思ったのに、扉は開かない。
足音は、私の部屋の前を通り過ぎた。
止まらない。
ノックもしない。
振り返りもしない。
その事実だけで、胸が苦しくなる。
(……今夜も、別の寝所)
私はもう驚かなくなっている自分に気づき、さらに痛んだ。
慣れることは、諦めることに似ている。
ミナが入ってきて、静かに言った。
「奥様……公爵様は、今夜お出かけになります」
「……王宮?」
尋ねた声が、思ったより鋭くなってしまった。
私は慌てて微笑みを作ろうとしたが、頬が動かない。
ミナは目を伏せたまま頷く。
「王宮から、呼び出しが」
呼び出し。
また。
国王の命令、宰相の条件、近衛の監視。
王宮の指が、屋敷の隅々にまで伸びている。
私は喉の奥を押さえつけるように息を吸った。
(公爵様が行けば、また噂が増える)
“公爵は王宮の犬だ”
“妾を抱えたから、王宮に頭が上がらない”
“妻は国王のものだから、夫は従う”
あの女たちの舌が、勝手に動き出す未来が見える。
「……行かないで」
言いそうになって、口を閉じた。
言ってはいけない。
私は“公爵夫人”だ。
縋れば、噂が勝つ。
「奥様」
ミナがそっと私の肩にショールを掛ける。
その手が震えていた。
「大丈夫」
私は嘘を吐いた。
嘘を吐くのが、上手になりすぎた。
王宮の夜は、さらに冷たい。
アランは黒に近い外套を翻し、石畳を踏んだ。
近衛兵の槍が光り、扉が開く。
「公爵。こちらへ」
案内は丁寧だが、拒否を許さない。
それが王宮の礼儀だ。
通されたのは玉座の間ではない。
宰相府に近い、窓の少ない部屋。
蝋燭の光は低く、言葉が吸い込まれそうな暗さがある。
扉が閉まる。鍵の音。
そこにいたのは、宰相グレゴールだった。
机の向こうで、彼は書状を整えている。
頭を上げるのは、書類に目を通した後。
人を“案件”として見る目。
「公爵アラン・ド・ヴァルモン」
名前を呼ばれるだけで、胸の奥が硬くなる。
「呼び出しの理由は」
アランは礼をした。
礼は完璧だが、頭を下げすぎない。
英雄の矜持がそれを許さない。
宰相は笑わなかった。
笑わないまま、静かに言った。
「公爵夫人の件だ」
その一言で、アランの左手が僅かに動きかける。
癖を抑えるように、指先に力を入れた。
「……妻が何か」
宰相は机の引き出しから、薄い紙片を取り出した。
記号の並ぶ合図。
青石の指輪の内側と同じ筆致。
アランはそれを一目で“鎖”だと理解した。
「あなたの妻は、危険だ」
宰相の声は淡々としている。
淡々としているから、脅しではなく“事実”に聞こえる。
「危険なのは妻ではない。王宮だ」
アランは低く返した。
だが、宰相は眉一つ動かさない。
「その通り。だからこそ、あなたが必要だ」
必要。
必要という言葉は、王宮では“使う”と同義だ。
宰相は紙片を机に置いた。
「公爵。あなたは妻を守りたいか」
アランの喉が僅かに動く。
守りたい。
守りたいからこそ、触れられない。
守りたいからこそ、冷たくする。
矛盾が喉に詰まっている。
「……当然だ」
宰相は頷いた。
「なら、条件がある」
条件。
その言葉が出た時点で、アランは悟っていた。
これは“相談”ではない。取引だ。人質の取引。
宰相の声が落ちる。
「あなたの自由を差し出せ」
自由。
遠征の裁量。
王宮での発言権。
社交界での主導権。
何より――“妻の真実を知る権利”。
宰相は続けた。
「あなたは今後、王宮の命令を拒まない。
近衛の介入に異議を唱えない。
公爵夫人の行動は、王宮が定めた範囲に収める」
“妻の行動を、王宮が定める”。
その屈辱に、アランの奥歯が軋んだ。
けれど怒鳴れない。
怒鳴った瞬間、彼女が消える。
宰相はまるで優しさのような声色で言う。
「あなたが従えば、彼女は守られる。
あなたが逆らえば――彼女は“自然に”消える」
自然に。
毒が脳裏を過ぎる。
偶然の倒れる、偶然の病。
王宮の“自然”は人が作る。
アランの左手が強く押さえられた。
古傷が疼くのではない。
過去の悔しさが疼く。
(また、守れないのか)
守れなかった過去。
王命に逆らえず、誰かを失った痛み。
それが今、妻の形で目の前にある。
「……拒否権は」
アランが問うと、宰相は冷たく答えた。
「ない」
一言で終わる。
王宮の会話は短いほど残酷だ。
アランは呼吸を整えた。
整えないと、感情が溢れて剣になる。
剣になれば、彼女が死ぬ。
「……分かった」
その声は低い。
降伏ではない。
取引成立の合図だ。
宰相は淡々と頷く。
「賢明だ、公爵」
そして、さらに釘を刺す。
「公爵夫人に、真実を探らせるな。
夫婦で秘密を共有すれば、隙になる。
彼女には“何も知らない妻”でいてもらえ」
アランの胸が、痛む。
何も知らない妻。
それは、彼女が一番苦しむ形だ。
でも、苦しませなければ守れない。
(守るために、壊す)
矛盾が、喉を焼いた。
宰相は最後に言った。
「あなたは英雄だ。英雄は泣くな」
アランの目が細くなる。
泣けない。
泣けば、王宮が勝つ。
彼は礼をして、部屋を出た。
廊下の冷たさが、夜より冷たい。
公爵邸へ戻る馬車の中、アランは窓の外を見ていた。
王都の灯りが流れる。
どれも温かそうなのに、自分の胸は冷たい。
(……妻を守る代わりに、俺の自由を差し出した)
自由を差し出しただけではない。
妻の笑顔を見る自由も、触れる自由も、言葉を交わす自由も。
自分の手で、自分の心を縛った。
それでも――守る。
そう決めた瞬間だけ、左手の疼きが静まった気がした。
私は寝台の上で、気配を感じて目を開けた。
扉は開かない。
足音が廊下の端で止まり――また動き出す。
アランが帰ってきた。
帰ってきたのに、ここへは来ない。
私は枕に頬を寄せ、息を止めた。
泣きたくない。泣けない。
泣けば、また噂が勝つ気がする。
(……公爵様は、王宮に何を差し出したの)
知らない。
知れない。
知れば、死ぬのかもしれない。
ただひとつ分かるのは、距離だけが増えていくこと。
同じ屋敷で、同じ夜を過ごしているのに、遠くなる。
私は小さく呟いた。
「……私が、いなければ」
言ってしまった瞬間、胸が痛くて息が詰まった。
でも、それが本音だった。
“気の毒な公爵”という噂の中心に、私がいる。
その事実が、私を静かに追い詰める。
私は青石の指輪を握りしめ、目を閉じた。
その夜、アランは自由を差し出して、私を守った。
私は何も知らず、ただ“拒絶された妻”として、心を削った。
守りと誤解の距離が、また一歩――広がった。
蝋燭の灯は揺れているのに、灯りが届かない場所がある。
影が、意図を持ってそこに立っているみたいに見える。
私は寝台の端に腰を下ろし、膝の上で手を重ねた。
指輪の青が、闇の中でも沈んで光る。
冷たい。
外せない。
外せないものが増えるほど、私は“妻”ではなく“管理される存在”になっていく気がした。
扉の外で、足音が止まる。
規則正しい歩幅。迷いのない音。
アラン公爵――と思ったのに、扉は開かない。
足音は、私の部屋の前を通り過ぎた。
止まらない。
ノックもしない。
振り返りもしない。
その事実だけで、胸が苦しくなる。
(……今夜も、別の寝所)
私はもう驚かなくなっている自分に気づき、さらに痛んだ。
慣れることは、諦めることに似ている。
ミナが入ってきて、静かに言った。
「奥様……公爵様は、今夜お出かけになります」
「……王宮?」
尋ねた声が、思ったより鋭くなってしまった。
私は慌てて微笑みを作ろうとしたが、頬が動かない。
ミナは目を伏せたまま頷く。
「王宮から、呼び出しが」
呼び出し。
また。
国王の命令、宰相の条件、近衛の監視。
王宮の指が、屋敷の隅々にまで伸びている。
私は喉の奥を押さえつけるように息を吸った。
(公爵様が行けば、また噂が増える)
“公爵は王宮の犬だ”
“妾を抱えたから、王宮に頭が上がらない”
“妻は国王のものだから、夫は従う”
あの女たちの舌が、勝手に動き出す未来が見える。
「……行かないで」
言いそうになって、口を閉じた。
言ってはいけない。
私は“公爵夫人”だ。
縋れば、噂が勝つ。
「奥様」
ミナがそっと私の肩にショールを掛ける。
その手が震えていた。
「大丈夫」
私は嘘を吐いた。
嘘を吐くのが、上手になりすぎた。
王宮の夜は、さらに冷たい。
アランは黒に近い外套を翻し、石畳を踏んだ。
近衛兵の槍が光り、扉が開く。
「公爵。こちらへ」
案内は丁寧だが、拒否を許さない。
それが王宮の礼儀だ。
通されたのは玉座の間ではない。
宰相府に近い、窓の少ない部屋。
蝋燭の光は低く、言葉が吸い込まれそうな暗さがある。
扉が閉まる。鍵の音。
そこにいたのは、宰相グレゴールだった。
机の向こうで、彼は書状を整えている。
頭を上げるのは、書類に目を通した後。
人を“案件”として見る目。
「公爵アラン・ド・ヴァルモン」
名前を呼ばれるだけで、胸の奥が硬くなる。
「呼び出しの理由は」
アランは礼をした。
礼は完璧だが、頭を下げすぎない。
英雄の矜持がそれを許さない。
宰相は笑わなかった。
笑わないまま、静かに言った。
「公爵夫人の件だ」
その一言で、アランの左手が僅かに動きかける。
癖を抑えるように、指先に力を入れた。
「……妻が何か」
宰相は机の引き出しから、薄い紙片を取り出した。
記号の並ぶ合図。
青石の指輪の内側と同じ筆致。
アランはそれを一目で“鎖”だと理解した。
「あなたの妻は、危険だ」
宰相の声は淡々としている。
淡々としているから、脅しではなく“事実”に聞こえる。
「危険なのは妻ではない。王宮だ」
アランは低く返した。
だが、宰相は眉一つ動かさない。
「その通り。だからこそ、あなたが必要だ」
必要。
必要という言葉は、王宮では“使う”と同義だ。
宰相は紙片を机に置いた。
「公爵。あなたは妻を守りたいか」
アランの喉が僅かに動く。
守りたい。
守りたいからこそ、触れられない。
守りたいからこそ、冷たくする。
矛盾が喉に詰まっている。
「……当然だ」
宰相は頷いた。
「なら、条件がある」
条件。
その言葉が出た時点で、アランは悟っていた。
これは“相談”ではない。取引だ。人質の取引。
宰相の声が落ちる。
「あなたの自由を差し出せ」
自由。
遠征の裁量。
王宮での発言権。
社交界での主導権。
何より――“妻の真実を知る権利”。
宰相は続けた。
「あなたは今後、王宮の命令を拒まない。
近衛の介入に異議を唱えない。
公爵夫人の行動は、王宮が定めた範囲に収める」
“妻の行動を、王宮が定める”。
その屈辱に、アランの奥歯が軋んだ。
けれど怒鳴れない。
怒鳴った瞬間、彼女が消える。
宰相はまるで優しさのような声色で言う。
「あなたが従えば、彼女は守られる。
あなたが逆らえば――彼女は“自然に”消える」
自然に。
毒が脳裏を過ぎる。
偶然の倒れる、偶然の病。
王宮の“自然”は人が作る。
アランの左手が強く押さえられた。
古傷が疼くのではない。
過去の悔しさが疼く。
(また、守れないのか)
守れなかった過去。
王命に逆らえず、誰かを失った痛み。
それが今、妻の形で目の前にある。
「……拒否権は」
アランが問うと、宰相は冷たく答えた。
「ない」
一言で終わる。
王宮の会話は短いほど残酷だ。
アランは呼吸を整えた。
整えないと、感情が溢れて剣になる。
剣になれば、彼女が死ぬ。
「……分かった」
その声は低い。
降伏ではない。
取引成立の合図だ。
宰相は淡々と頷く。
「賢明だ、公爵」
そして、さらに釘を刺す。
「公爵夫人に、真実を探らせるな。
夫婦で秘密を共有すれば、隙になる。
彼女には“何も知らない妻”でいてもらえ」
アランの胸が、痛む。
何も知らない妻。
それは、彼女が一番苦しむ形だ。
でも、苦しませなければ守れない。
(守るために、壊す)
矛盾が、喉を焼いた。
宰相は最後に言った。
「あなたは英雄だ。英雄は泣くな」
アランの目が細くなる。
泣けない。
泣けば、王宮が勝つ。
彼は礼をして、部屋を出た。
廊下の冷たさが、夜より冷たい。
公爵邸へ戻る馬車の中、アランは窓の外を見ていた。
王都の灯りが流れる。
どれも温かそうなのに、自分の胸は冷たい。
(……妻を守る代わりに、俺の自由を差し出した)
自由を差し出しただけではない。
妻の笑顔を見る自由も、触れる自由も、言葉を交わす自由も。
自分の手で、自分の心を縛った。
それでも――守る。
そう決めた瞬間だけ、左手の疼きが静まった気がした。
私は寝台の上で、気配を感じて目を開けた。
扉は開かない。
足音が廊下の端で止まり――また動き出す。
アランが帰ってきた。
帰ってきたのに、ここへは来ない。
私は枕に頬を寄せ、息を止めた。
泣きたくない。泣けない。
泣けば、また噂が勝つ気がする。
(……公爵様は、王宮に何を差し出したの)
知らない。
知れない。
知れば、死ぬのかもしれない。
ただひとつ分かるのは、距離だけが増えていくこと。
同じ屋敷で、同じ夜を過ごしているのに、遠くなる。
私は小さく呟いた。
「……私が、いなければ」
言ってしまった瞬間、胸が痛くて息が詰まった。
でも、それが本音だった。
“気の毒な公爵”という噂の中心に、私がいる。
その事実が、私を静かに追い詰める。
私は青石の指輪を握りしめ、目を閉じた。
その夜、アランは自由を差し出して、私を守った。
私は何も知らず、ただ“拒絶された妻”として、心を削った。
守りと誤解の距離が、また一歩――広がった。
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