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第二章 手がかりを探しに
次なる魔法
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魔法の練習はほぼ毎日のように続いた。
見かねた魔女さんに「今日は休んだら?」と言われるが、目標のある姉妹はそれでも魔法を練習し続けた。そんな二人の成長は、魔女さんを驚かせる程のものだった。
ルルが使う火の魔法は顔ほどの大きさにまで膨らませる事が出来るようになり、それを三十メートル先にまで飛ばすことが出来るようになった。一方のナナは、ルルの火を倍以上の大きさにまで膨れ上がらせ、倍以上遠くに飛ばす事が出来るくらいに補助をすることが出来るようになった。
そんなある日の出来事。
「じゃあ二人とも、今日から新しい魔法を教えるわね」
魔女さんはそう言って見たことのある紙を二枚手に持ちながら、外で魔法を練習する姉妹の元に現れた。
「わーい! やったー! 新しい魔法!」
「どんな魔法かなっ……!」
姉妹は魔女さんが手に持つ紙に興味津々だ。そんな二人をなだめながら、魔女さんは紙を姉妹へと渡した。
そこに描かれていた魔法陣は、以前覚えたものよりも複雑で覚えるのが難しそうだった。
「また二人で違う魔法だけれど、使えるようになればきっと役に立つわよ」
うふふと笑って言う魔女さんに、二人は手を挙げて勝手に質問タイムを作り出す。
「えっと……じゃあルルからどうぞ?」
何の前触れもなく始まった質問タイムに、やや困り気味の魔女さん。
「今度は何の魔法ですか!」
「それは出来てからのお楽しみね」
「えー、じゃあ早く魔法陣覚えちゃうもん!」
ルルはそう言うと、無言で魔法陣を凝視し始めた。それを優しい口元で魔女さんが見届けると、次はナナの方に顔を向けて「次どうぞ」とナナを指名した。
「はい。またナナはお姉ちゃんの補助?」
「今回も補助系の魔法だけれど、お姉ちゃんだけに使う魔法じゃないわ」
「みんなに使えるのー?」
「そうよ。きっととても役に立つわ」
魔女さんが優しい声で言うと、ナナは表情を明るくさせて、ルルに少し遅れて魔法陣を覚えにかかった。
その様子をまたも優しい口元を浮かべながら見届けた魔女さんは、二人が魔法を覚える姿をジッと眺めている。
姉妹は時折、紙から視線を外して頭の中で魔法陣を思い浮かべては、また紙へと視線を戻す作業を続けていた。魔女さんはその光景を、立ったまま微笑ましそうに眺めている。
今回もすぐに魔法を取得するのだろうか……。魔法陣の難易度はどちらも同じくらいだが、ルルとナナのどちらが先に覚えるだろうか。魔法が出来た時、二人はどんな反応をするのだろう。魔女さんは心の中でそんなことを思いながら、口元をほころばせて姉妹を見守り続けた。
======
魔法陣の紙を渡されてから約三十分。姉妹の集中力はとてつもなかった。今回の魔法陣には苦戦しているようだが、決して諦めようとはせず、無言で紙に描かれた魔法陣とにらめっこを続けている。
ルルは「うー」と唸り声を上げながら魔法陣を覚えようとしているが、ナナは無言のままにジッと魔法陣を見続ける。その間も魔女さんは、その場から立ち去ろうとはせずに、姉妹の様子を眺め続けていた。
そして遂に、魔女さんの目の前でナナの手が上がった。
「あら、もう覚えたの?」
「うん、多分出来る」
この魔法は魔法使いでも取得するのが困難だ。なのにこの魔法を使えてしまえたら、もしかしたら姉妹はとんでもない集中力と魔力の持ち主だ。
もしかすると、私よりも……。
「やってみていい?」
「ええ、もちろんよ」
魔女さんの言葉を聞いたナナは、胸の前に手を伸ばして目をつぶった。するとナナの肩にかかる髪の毛がクラゲの触手のように揺れだし、水色の光を浮かべ始めた。
「うそ……」
もう出来てしまったというのか。私でも取得するのに半日は掛かった魔法なのに。
そう思考を巡らせていた刹那、ナナの手の平からは水色の光がまばゆく輝き始めた。
前に覚えた魔法よりも光が強いことに驚いて集中力が切れてしまったようで、段々と光が消えていった。
「はぁはぁ……なにこれ……すごく疲れる」
魔力を沢山使ってしまったナナは、息を切らしながら自分の手の平を見て驚いている。
「思いきり魔法を放っちゃったもんね、これからは魔力を調整する練習もしないと」
「うん、わかった」
魔女さんがそう言って微笑むと、ナナは小さく頷いて顔を上げた。
「ねえ、これって何の魔法?」
強い光は現れたが、特に何も起こらなかったことに疑問を浮かべている。
すると魔女さんは、口角を吊り上げながらナナの目線の高さにしゃがみ込んだ。
「これは怪我を治す魔法でね、前にも教えたかもしれないけれど『治癒魔法』と言われるものよ」
魔女さんがそれを言い終わると、ナナの顔が今までに無い程にまで明るくなった。
ナナの中では、魔女さんに体中のアザを治して貰ったことを鮮明に覚えていて、あの日の思い出が特別なものとなっている。だからいつか治癒魔法を覚えてみたいと思っていたのだが、こんなに早くに取得出来るとは思ってもいなかったのだ。
「やったやった……! ナナ、治癒魔法覚えちゃった」
ナナは魔女さんの手を掴んで、ぴょんぴょんと跳ねながら興奮の色を隠せないでいる。魔女さんはそんなナナの頭を優しく撫で、「良かったわね」と頬を緩めた、その時。
「はいはいはい! 私も覚えた!」
元気よく手を上げるルル。ナナよりは少しだけ遅かったが、それでも充分に早い取得だ。本当にこの姉妹は、天才の血が流れているのかもしれない。
「ルルも早いわね、早速やってみてくれる?」
「うん! 分かった!」
ルルは元気よく返事を返すと、胸の前に手の平を突き出して目を閉じた。するとルルの体の周りでは、バチバチと音を立て始めた。
「うぇぇ……怖い……」
その音に驚かされたナナが、急ぎ足で魔女さんの背中の後ろに隠れる。しかし魔女さんが動じる様子はなく、しゃがんだままルルの様子を見守っている。
そして遂には、ルルは体の周りにスパークのようなものを纏い始める。
「えぇ……電気……?」
「そうよ、電気というよりはカミナリね」
魔女さんはそう言うと何かを察して、ナナの耳を両手で塞いだ。その瞬間、耳を塞いでいても聞こえる爆音と共に、ルルの目の前には無数の雷が降り注ぎ、地面に沢山の穴を開けた。
間近で雷を見たナナは口をポカンと開けているが、一番驚いたのは本人だろう。自分で開けた穴を見ながら、尻もちを着いている。
「はぁはぁ……え、これ私がやったの?」
肩で息をしながら魔女さんに確認するルル。
「ええそうよ。大成功ね」
魔女さんはそう言って立ち上がる。ルルは未だに驚きを隠しきれない様子で、口をアワアワとさせている。
「お姉ちゃんすごい……」
いつの間にか魔女さんと手を繋いでいたナナが、人差し指を咥えながら言った。
それを聞いたルルは嬉しそうに微笑むと、「えへへ」と照れたように指で頬を掻いている。
「二人とも凄いわ……私でも時間が掛かったのに……」
「そうなの? 魔女さんなのに?」「そうなのー?」
「ええ本当よ? 一日では覚えられたけれど、あなた達よりも時間が掛かったわ」
そう言う魔女さんの声色は、嘘を吐いているようには見えなかった。だから、フツフツと嬉しさが込み上げてきて、姉妹は頬を緩ませた。
もしかしたら、私たちも勉強をすれば魔女さんの様に沢山の魔法を使えるのかもしれない。
そんな遥か未来に想像を膨らませていると、魔女さんが指を鳴らした。ボンッと小さな破裂音とともに、魔女さんの手には新しい魔法陣の描かれた紙が出現した。
「じゃあそんなあなた達に……」
魔女さんはそう言うと、姉妹へ一枚の紙を手渡した。紙を受け取った姉妹が描かれた魔法陣を覗くと、覚えられるのかが不安になる程に複雑な魔法陣が描かれていた。
「時間を掛けてもいいから、この魔法陣を二人で覚えて頂戴? でもこの魔法はピンチの時にしか使ってはダメよ?」
魔女さんの真剣な口調に喉仏を上下させたルルとナナは、ピンチになる時なんて来るのだろうかと顔を合わせた。
見かねた魔女さんに「今日は休んだら?」と言われるが、目標のある姉妹はそれでも魔法を練習し続けた。そんな二人の成長は、魔女さんを驚かせる程のものだった。
ルルが使う火の魔法は顔ほどの大きさにまで膨らませる事が出来るようになり、それを三十メートル先にまで飛ばすことが出来るようになった。一方のナナは、ルルの火を倍以上の大きさにまで膨れ上がらせ、倍以上遠くに飛ばす事が出来るくらいに補助をすることが出来るようになった。
そんなある日の出来事。
「じゃあ二人とも、今日から新しい魔法を教えるわね」
魔女さんはそう言って見たことのある紙を二枚手に持ちながら、外で魔法を練習する姉妹の元に現れた。
「わーい! やったー! 新しい魔法!」
「どんな魔法かなっ……!」
姉妹は魔女さんが手に持つ紙に興味津々だ。そんな二人をなだめながら、魔女さんは紙を姉妹へと渡した。
そこに描かれていた魔法陣は、以前覚えたものよりも複雑で覚えるのが難しそうだった。
「また二人で違う魔法だけれど、使えるようになればきっと役に立つわよ」
うふふと笑って言う魔女さんに、二人は手を挙げて勝手に質問タイムを作り出す。
「えっと……じゃあルルからどうぞ?」
何の前触れもなく始まった質問タイムに、やや困り気味の魔女さん。
「今度は何の魔法ですか!」
「それは出来てからのお楽しみね」
「えー、じゃあ早く魔法陣覚えちゃうもん!」
ルルはそう言うと、無言で魔法陣を凝視し始めた。それを優しい口元で魔女さんが見届けると、次はナナの方に顔を向けて「次どうぞ」とナナを指名した。
「はい。またナナはお姉ちゃんの補助?」
「今回も補助系の魔法だけれど、お姉ちゃんだけに使う魔法じゃないわ」
「みんなに使えるのー?」
「そうよ。きっととても役に立つわ」
魔女さんが優しい声で言うと、ナナは表情を明るくさせて、ルルに少し遅れて魔法陣を覚えにかかった。
その様子をまたも優しい口元を浮かべながら見届けた魔女さんは、二人が魔法を覚える姿をジッと眺めている。
姉妹は時折、紙から視線を外して頭の中で魔法陣を思い浮かべては、また紙へと視線を戻す作業を続けていた。魔女さんはその光景を、立ったまま微笑ましそうに眺めている。
今回もすぐに魔法を取得するのだろうか……。魔法陣の難易度はどちらも同じくらいだが、ルルとナナのどちらが先に覚えるだろうか。魔法が出来た時、二人はどんな反応をするのだろう。魔女さんは心の中でそんなことを思いながら、口元をほころばせて姉妹を見守り続けた。
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魔法陣の紙を渡されてから約三十分。姉妹の集中力はとてつもなかった。今回の魔法陣には苦戦しているようだが、決して諦めようとはせず、無言で紙に描かれた魔法陣とにらめっこを続けている。
ルルは「うー」と唸り声を上げながら魔法陣を覚えようとしているが、ナナは無言のままにジッと魔法陣を見続ける。その間も魔女さんは、その場から立ち去ろうとはせずに、姉妹の様子を眺め続けていた。
そして遂に、魔女さんの目の前でナナの手が上がった。
「あら、もう覚えたの?」
「うん、多分出来る」
この魔法は魔法使いでも取得するのが困難だ。なのにこの魔法を使えてしまえたら、もしかしたら姉妹はとんでもない集中力と魔力の持ち主だ。
もしかすると、私よりも……。
「やってみていい?」
「ええ、もちろんよ」
魔女さんの言葉を聞いたナナは、胸の前に手を伸ばして目をつぶった。するとナナの肩にかかる髪の毛がクラゲの触手のように揺れだし、水色の光を浮かべ始めた。
「うそ……」
もう出来てしまったというのか。私でも取得するのに半日は掛かった魔法なのに。
そう思考を巡らせていた刹那、ナナの手の平からは水色の光がまばゆく輝き始めた。
前に覚えた魔法よりも光が強いことに驚いて集中力が切れてしまったようで、段々と光が消えていった。
「はぁはぁ……なにこれ……すごく疲れる」
魔力を沢山使ってしまったナナは、息を切らしながら自分の手の平を見て驚いている。
「思いきり魔法を放っちゃったもんね、これからは魔力を調整する練習もしないと」
「うん、わかった」
魔女さんがそう言って微笑むと、ナナは小さく頷いて顔を上げた。
「ねえ、これって何の魔法?」
強い光は現れたが、特に何も起こらなかったことに疑問を浮かべている。
すると魔女さんは、口角を吊り上げながらナナの目線の高さにしゃがみ込んだ。
「これは怪我を治す魔法でね、前にも教えたかもしれないけれど『治癒魔法』と言われるものよ」
魔女さんがそれを言い終わると、ナナの顔が今までに無い程にまで明るくなった。
ナナの中では、魔女さんに体中のアザを治して貰ったことを鮮明に覚えていて、あの日の思い出が特別なものとなっている。だからいつか治癒魔法を覚えてみたいと思っていたのだが、こんなに早くに取得出来るとは思ってもいなかったのだ。
「やったやった……! ナナ、治癒魔法覚えちゃった」
ナナは魔女さんの手を掴んで、ぴょんぴょんと跳ねながら興奮の色を隠せないでいる。魔女さんはそんなナナの頭を優しく撫で、「良かったわね」と頬を緩めた、その時。
「はいはいはい! 私も覚えた!」
元気よく手を上げるルル。ナナよりは少しだけ遅かったが、それでも充分に早い取得だ。本当にこの姉妹は、天才の血が流れているのかもしれない。
「ルルも早いわね、早速やってみてくれる?」
「うん! 分かった!」
ルルは元気よく返事を返すと、胸の前に手の平を突き出して目を閉じた。するとルルの体の周りでは、バチバチと音を立て始めた。
「うぇぇ……怖い……」
その音に驚かされたナナが、急ぎ足で魔女さんの背中の後ろに隠れる。しかし魔女さんが動じる様子はなく、しゃがんだままルルの様子を見守っている。
そして遂には、ルルは体の周りにスパークのようなものを纏い始める。
「えぇ……電気……?」
「そうよ、電気というよりはカミナリね」
魔女さんはそう言うと何かを察して、ナナの耳を両手で塞いだ。その瞬間、耳を塞いでいても聞こえる爆音と共に、ルルの目の前には無数の雷が降り注ぎ、地面に沢山の穴を開けた。
間近で雷を見たナナは口をポカンと開けているが、一番驚いたのは本人だろう。自分で開けた穴を見ながら、尻もちを着いている。
「はぁはぁ……え、これ私がやったの?」
肩で息をしながら魔女さんに確認するルル。
「ええそうよ。大成功ね」
魔女さんはそう言って立ち上がる。ルルは未だに驚きを隠しきれない様子で、口をアワアワとさせている。
「お姉ちゃんすごい……」
いつの間にか魔女さんと手を繋いでいたナナが、人差し指を咥えながら言った。
それを聞いたルルは嬉しそうに微笑むと、「えへへ」と照れたように指で頬を掻いている。
「二人とも凄いわ……私でも時間が掛かったのに……」
「そうなの? 魔女さんなのに?」「そうなのー?」
「ええ本当よ? 一日では覚えられたけれど、あなた達よりも時間が掛かったわ」
そう言う魔女さんの声色は、嘘を吐いているようには見えなかった。だから、フツフツと嬉しさが込み上げてきて、姉妹は頬を緩ませた。
もしかしたら、私たちも勉強をすれば魔女さんの様に沢山の魔法を使えるのかもしれない。
そんな遥か未来に想像を膨らませていると、魔女さんが指を鳴らした。ボンッと小さな破裂音とともに、魔女さんの手には新しい魔法陣の描かれた紙が出現した。
「じゃあそんなあなた達に……」
魔女さんはそう言うと、姉妹へ一枚の紙を手渡した。紙を受け取った姉妹が描かれた魔法陣を覗くと、覚えられるのかが不安になる程に複雑な魔法陣が描かれていた。
「時間を掛けてもいいから、この魔法陣を二人で覚えて頂戴? でもこの魔法はピンチの時にしか使ってはダメよ?」
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