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第四章 洞窟の中には
姉妹の切り札
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頭の中で魔法陣を描き終えたと同時、姉妹の手から眩い光が溢れ出す。
「この小娘ども……! おかしな魔法なんか使いおって!」
その言葉が聞こえたと同時に、姉妹は目蓋を開いた。するとそこには、たいまつの火に照らされた鬼のような形相をした魔法使いさんが、ずんずんと力強く歩み寄って来る姿があった。
それだけでも焦るというのに、光を放っていたはずの手からは何事もなかったかのように光が消えていた。
「え、魔法失敗したの……?」
「嘘だ嘘だ! ちゃんと光ったもん!」
そんな姉妹の言葉とは裏腹に、魔法使いさんは胸元からナイフのような物を取り出し、檻の扉に手を掛けた。
「お、お、お姉ちゃん……どうしよう……」
「どうって……どうしようもないよ……」
姉妹は身を寄せ合い、魔法使いさんから距離を取ろうと檻の端へと移動した。
その時のことだ。先程までルルとナナの居た床にはピンク色の魔法陣が出現した。そこから明るい光が浮かび出したかと思うと、床からは黒い布の様な物がニュルニュルと出現した。
「なに、あれ?」
恐らく魔法が成功したのだろう。しかし、その黒い物体の正体が分からない。
姉妹は戸惑いながらも抱き合っていると、魔法使いさんの顔がみるみる内に青くなっていく。
「しょ、召喚魔法……だと……」
魔法使いさんは青い顔のまま床に尻もちを着くと、その黒い物体を見上げた。それと同時、黒い物体がゆっくりとこちらを向き、その正体が露わとなる。
「「魔女さん!!」」
そこには家に居たはずの魔女さんの姿があった。暗闇に慣れた目は、優しく微笑んでいる魔女さんの口元を捉えている。
「あらあらまあまあ、こんな暗い場所に閉じ込められて可哀想に」
数時間ぶりに聞いた魔女さんの声はとても安心するもので、姉妹は安堵の涙を目尻に浮かべた。
「魔女さあああああん!」「怖かったよおおおお」
ルルとナナは慌てるようにして魔女さんの足元へと抱き着いた。そんな姉妹を魔女さんは包むように抱き寄せると、頭を優しく撫でてくれた。
「よく魔法陣を覚えていたわね。やっぱり頭が良いのかしら」
「だってだって魔女さんが覚えてって言うんだもん! だから覚えてたんだよ!」
「そうだよ。魔女さんがピンチの時に使いなさいって言うから使ったの」
いつもの調子で足に抱き着きながら声を上げる姉妹を見て、魔女さんは「うふふ」と小さく笑った。
「ねえねえ! この魔法って何だったの? 魔女さんを呼べるの?」
「そうよ。召喚魔法って言ってね、私をいつでも呼ぶことが出来るわ」
「へー! すごーい!」「そんな魔法があったんだー」
姉妹の関心めいた声が耳に届くと、魔女さんは真剣な顔つきで尻もちを着く魔法使いさんの方を見た。
「それで? 今はそのピンチの時なのね?」
「うん、あそこに居る人に閉じ込められちゃったの」
「そうだったのね。何で閉じ込められたのかは分かる?」
「えっと、私たちがいらないことに気がついちゃったからって言ってた気がする」
「いらないことって?」
「うーんと……あの人がドラゴンを魔法で生み出して、そのためにわざわざ檻を作ったことを――」
「それ以上は喋るな!」
ルルの声を遮るようにして、魔法使いさんの怒鳴り声が放たれた。姉妹はその声に体をピクリとさせると、これ以上は口を開く勇気が無くなってしまった。そんな姉妹の頭を魔女さんの手が優しく撫でる。
「そうだったのね」
「うん……私たち悪いことしたのかな?」
「ナナが余計なこと言ったから……」
「いや、あの人は悪い人よ」
魔女さんの声は真剣だった。普段は明るい声しか発さなかった魔女さんが、今はいつもより低い声を出している。
あまり耳慣れない声を聞いた姉妹は、二人揃って魔女さんの顔を見上げた。
「悪い人だって分かるの?」
「えぇ、分かるわよ」
「なんで分かるの?」
「うふふ、そんなことは簡単よ」
魔女さんはそこまで言うと、ルルとナナを足から離れるように合図をした。
素直に従ったルルとナナは、魔女さんの足から離れる。
「ちょっと離れていなさい」
魔女さんの真剣な声を聞き、姉妹は手を繋ぎながらゆっくりと檻の端まで移動した。
それを見届けた魔女さんは、尻もちを着く魔法使いさんの元へと歩みを寄せる。
しかし魔法使いさんは魔法の張られた檻の外に居るので、これ以上は近づいても手が届かない――そう思われたのだが。
「――っ!」
魔女さんは腕を振りかぶり柵の間へと手を伸ばすと、パリンとガラスの割れる音を立てながら檻に張られていた魔法が消え去った。
魔女さんはその勢いのまま、扉の前で尻もちを着いていた魔法使いさんの胸ぐらを掴んで無理やりに立たせたかと思えば、額が触れ合ってしまうくらいの距離まで顔を引き寄せた。
魔法使いさんは魔女さんの手を掴んで逃げようとするが、胸ぐらから手が離れる気配は全くない。
そして何よりも姉妹が息を飲んだのは、魔女さんの口元が不気味に吊り上がり、怒りの表情を現していたのだ。
魔法使いさんよりも背の高い魔女さんが見下ろすようにして牙を見せると、怒りが浸透しきった声を紡いだ。
「私だけじゃ気が済まずに私の大事なルルとナナも檻に閉じ込めたらしいじゃねぇか。このエセ魔法使いが」
「この小娘ども……! おかしな魔法なんか使いおって!」
その言葉が聞こえたと同時に、姉妹は目蓋を開いた。するとそこには、たいまつの火に照らされた鬼のような形相をした魔法使いさんが、ずんずんと力強く歩み寄って来る姿があった。
それだけでも焦るというのに、光を放っていたはずの手からは何事もなかったかのように光が消えていた。
「え、魔法失敗したの……?」
「嘘だ嘘だ! ちゃんと光ったもん!」
そんな姉妹の言葉とは裏腹に、魔法使いさんは胸元からナイフのような物を取り出し、檻の扉に手を掛けた。
「お、お、お姉ちゃん……どうしよう……」
「どうって……どうしようもないよ……」
姉妹は身を寄せ合い、魔法使いさんから距離を取ろうと檻の端へと移動した。
その時のことだ。先程までルルとナナの居た床にはピンク色の魔法陣が出現した。そこから明るい光が浮かび出したかと思うと、床からは黒い布の様な物がニュルニュルと出現した。
「なに、あれ?」
恐らく魔法が成功したのだろう。しかし、その黒い物体の正体が分からない。
姉妹は戸惑いながらも抱き合っていると、魔法使いさんの顔がみるみる内に青くなっていく。
「しょ、召喚魔法……だと……」
魔法使いさんは青い顔のまま床に尻もちを着くと、その黒い物体を見上げた。それと同時、黒い物体がゆっくりとこちらを向き、その正体が露わとなる。
「「魔女さん!!」」
そこには家に居たはずの魔女さんの姿があった。暗闇に慣れた目は、優しく微笑んでいる魔女さんの口元を捉えている。
「あらあらまあまあ、こんな暗い場所に閉じ込められて可哀想に」
数時間ぶりに聞いた魔女さんの声はとても安心するもので、姉妹は安堵の涙を目尻に浮かべた。
「魔女さあああああん!」「怖かったよおおおお」
ルルとナナは慌てるようにして魔女さんの足元へと抱き着いた。そんな姉妹を魔女さんは包むように抱き寄せると、頭を優しく撫でてくれた。
「よく魔法陣を覚えていたわね。やっぱり頭が良いのかしら」
「だってだって魔女さんが覚えてって言うんだもん! だから覚えてたんだよ!」
「そうだよ。魔女さんがピンチの時に使いなさいって言うから使ったの」
いつもの調子で足に抱き着きながら声を上げる姉妹を見て、魔女さんは「うふふ」と小さく笑った。
「ねえねえ! この魔法って何だったの? 魔女さんを呼べるの?」
「そうよ。召喚魔法って言ってね、私をいつでも呼ぶことが出来るわ」
「へー! すごーい!」「そんな魔法があったんだー」
姉妹の関心めいた声が耳に届くと、魔女さんは真剣な顔つきで尻もちを着く魔法使いさんの方を見た。
「それで? 今はそのピンチの時なのね?」
「うん、あそこに居る人に閉じ込められちゃったの」
「そうだったのね。何で閉じ込められたのかは分かる?」
「えっと、私たちがいらないことに気がついちゃったからって言ってた気がする」
「いらないことって?」
「うーんと……あの人がドラゴンを魔法で生み出して、そのためにわざわざ檻を作ったことを――」
「それ以上は喋るな!」
ルルの声を遮るようにして、魔法使いさんの怒鳴り声が放たれた。姉妹はその声に体をピクリとさせると、これ以上は口を開く勇気が無くなってしまった。そんな姉妹の頭を魔女さんの手が優しく撫でる。
「そうだったのね」
「うん……私たち悪いことしたのかな?」
「ナナが余計なこと言ったから……」
「いや、あの人は悪い人よ」
魔女さんの声は真剣だった。普段は明るい声しか発さなかった魔女さんが、今はいつもより低い声を出している。
あまり耳慣れない声を聞いた姉妹は、二人揃って魔女さんの顔を見上げた。
「悪い人だって分かるの?」
「えぇ、分かるわよ」
「なんで分かるの?」
「うふふ、そんなことは簡単よ」
魔女さんはそこまで言うと、ルルとナナを足から離れるように合図をした。
素直に従ったルルとナナは、魔女さんの足から離れる。
「ちょっと離れていなさい」
魔女さんの真剣な声を聞き、姉妹は手を繋ぎながらゆっくりと檻の端まで移動した。
それを見届けた魔女さんは、尻もちを着く魔法使いさんの元へと歩みを寄せる。
しかし魔法使いさんは魔法の張られた檻の外に居るので、これ以上は近づいても手が届かない――そう思われたのだが。
「――っ!」
魔女さんは腕を振りかぶり柵の間へと手を伸ばすと、パリンとガラスの割れる音を立てながら檻に張られていた魔法が消え去った。
魔女さんはその勢いのまま、扉の前で尻もちを着いていた魔法使いさんの胸ぐらを掴んで無理やりに立たせたかと思えば、額が触れ合ってしまうくらいの距離まで顔を引き寄せた。
魔法使いさんは魔女さんの手を掴んで逃げようとするが、胸ぐらから手が離れる気配は全くない。
そして何よりも姉妹が息を飲んだのは、魔女さんの口元が不気味に吊り上がり、怒りの表情を現していたのだ。
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