私とラジオみたいな人

あおかりむん

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けっこん【結婚】

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けっこん【結婚】(正式の)夫婦関係を結ぶこと。



 肇様との縁談は瞬く間に進んだようです。私はいつも通り九条様に引っ張られては支度されて出かけ、その先で笑って頷いていました。顔合わせとかユイノウとか色々なことがありましたが、斎明寺家の皆様が全て万端に整えてくれたので何の問題もありませんでした。私は紗世様として篠花家へ嫁ぐらしいのですが、いつまで篠花家にいればいいのか誰も教えてくれません。紗世様の体調が良くなったら交代するのだとはわかっていましたが、それがいつになるのかはきっと誰もはっきりとはわからないのでしょう。祝言の準備が進む中、私はずっと紗世様の代わりをやり遂げて早く母の待つ長屋に帰りたいと考えていました。肇様とは見合いの後にも何度かお会いしました。ご両親が同席している時にはほとんど喋らないのに、話し相手が私だけになると虫の話をたくさんしていました。肇様は蝶が一等好きで、色々なところへ出かけて捕まえては標本にするそうです。誰も知らない蝶を見つけたこともあるのだと言っていました。肇様はとても早口で喋りますが、声がさらさらとしているのでとても聞きやすいのです。
 言われた通りに支度されたり出かけたりしているうちに祝言の日になりました。この日から私は篠花紗世となりました。肇様との結婚が決まってから斎明寺家の皆様には色々なことを教えていただいたので、私は紗世様の代わりを終えるまでゆめゆめ立場を忘れないように過ごさねばならないといつになく緊張していました。当日はとても重たい着物を着せられて、今までで一番長い時間笑って頷いていました。ただ、旦那様が離れたところに座っていたので、たくさん失敗してしまいました。夜遅くまで続くようだった祝言から私は早めに退出させてもらいました。時間をかけて着た着物をまた時間をかけて脱ぎ、湯に浸からせてもらいました。浴室の中で手伝いをしてくれる女の人もいて、斎明寺家では自分のことは全部自分でしておりましたので、とても驚きました。お風呂から上がると私の部屋と聞いていたのとは別の部屋に案内されて肇様を待つように言われました。布団が二つ並べてある部屋で私は言われた通りに待っていました。部屋の隅に正座して待つ間、ラジオを聞きたいと思いましたが、たくさんある嫁入り道具のどこにしまわれているのかとんとわからないので、代わりに今日一日で聞いた言葉を始めから思い返していました。早朝から動き通しだったせいもあり座ったままうとうとしていたところで襖が開きました。肇様は部屋をきょろきょろと見回したあと、こちらを振り返って『どうしたんだ、そんなところに座って』と言って笑いました。お酒を飲んでいたからか目元が赤くなっていました。肇様が来たので眠ろうと思い布団ににじり寄ると、二つの布団のちょうど真ん中あたりで胡座をかいていた肇様が私の腕を掴んで引っ張りました。引っ張った勢いのまま仰向けに倒れ込んだ肇様の上に乗り上げてしまったので急いでどこうとしましたが、肇様が私の身体に腕を巻き付けて動けなくなってしまいました。肇様はごろりと身体を返して私に覆い被さると口と口をくっつけてきました。唇を食べられて、大きな手が乳房を掴みました。襦袢の合わせを開かれてようやくこの男の人は私を犯そうとしているのだと気が付きました。




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