4 / 29
けっこん【結婚】
しおりを挟むけっこん【結婚】(正式の)夫婦関係を結ぶこと。
肇様との縁談は瞬く間に進んだようです。私はいつも通り九条様に引っ張られては支度されて出かけ、その先で笑って頷いていました。顔合わせとかユイノウとか色々なことがありましたが、斎明寺家の皆様が全て万端に整えてくれたので何の問題もありませんでした。私は紗世様として篠花家へ嫁ぐらしいのですが、いつまで篠花家にいればいいのか誰も教えてくれません。紗世様の体調が良くなったら交代するのだとはわかっていましたが、それがいつになるのかはきっと誰もはっきりとはわからないのでしょう。祝言の準備が進む中、私はずっと紗世様の代わりをやり遂げて早く母の待つ長屋に帰りたいと考えていました。肇様とは見合いの後にも何度かお会いしました。ご両親が同席している時にはほとんど喋らないのに、話し相手が私だけになると虫の話をたくさんしていました。肇様は蝶が一等好きで、色々なところへ出かけて捕まえては標本にするそうです。誰も知らない蝶を見つけたこともあるのだと言っていました。肇様はとても早口で喋りますが、声がさらさらとしているのでとても聞きやすいのです。
言われた通りに支度されたり出かけたりしているうちに祝言の日になりました。この日から私は篠花紗世となりました。肇様との結婚が決まってから斎明寺家の皆様には色々なことを教えていただいたので、私は紗世様の代わりを終えるまでゆめゆめ立場を忘れないように過ごさねばならないといつになく緊張していました。当日はとても重たい着物を着せられて、今までで一番長い時間笑って頷いていました。ただ、旦那様が離れたところに座っていたので、たくさん失敗してしまいました。夜遅くまで続くようだった祝言から私は早めに退出させてもらいました。時間をかけて着た着物をまた時間をかけて脱ぎ、湯に浸からせてもらいました。浴室の中で手伝いをしてくれる女の人もいて、斎明寺家では自分のことは全部自分でしておりましたので、とても驚きました。お風呂から上がると私の部屋と聞いていたのとは別の部屋に案内されて肇様を待つように言われました。布団が二つ並べてある部屋で私は言われた通りに待っていました。部屋の隅に正座して待つ間、ラジオを聞きたいと思いましたが、たくさんある嫁入り道具のどこにしまわれているのかとんとわからないので、代わりに今日一日で聞いた言葉を始めから思い返していました。早朝から動き通しだったせいもあり座ったままうとうとしていたところで襖が開きました。肇様は部屋をきょろきょろと見回したあと、こちらを振り返って『どうしたんだ、そんなところに座って』と言って笑いました。お酒を飲んでいたからか目元が赤くなっていました。肇様が来たので眠ろうと思い布団ににじり寄ると、二つの布団のちょうど真ん中あたりで胡座をかいていた肇様が私の腕を掴んで引っ張りました。引っ張った勢いのまま仰向けに倒れ込んだ肇様の上に乗り上げてしまったので急いでどこうとしましたが、肇様が私の身体に腕を巻き付けて動けなくなってしまいました。肇様はごろりと身体を返して私に覆い被さると口と口をくっつけてきました。唇を食べられて、大きな手が乳房を掴みました。襦袢の合わせを開かれてようやくこの男の人は私を犯そうとしているのだと気が付きました。
0
あなたにおすすめの小説
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです
沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる