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【番外編】シンジと城南
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腐れ縁だった友人、スナオと共同経営で定食屋を出した。
凸凹コンビだと周りから言われるほど性格は逆なのに、なぜか息はピッタリで。そんな彼に彼氏ができた。今まで彼女だったのに。
俺はいつのまにか止めていたタバコを再び吸うようになった。別に寂しいわけじゃない。
「寂しいくせに」
常連客の男、城南さんはニヤニヤと笑いながら言う。スナオと彼氏…城南さんの同僚でもある小畑さん…の馴れ初めを知る城南さんは何かと俺を『失恋した友人』に仕立てたいらしい。
麻婆豆腐をテーブルに置き俺はため息をついた。
「そう言う城南さんこそ寂しいんでしょ、同僚を取られて」
城南さんの前の席に座り、スプーンを手にした。
寂しくなんかないし、失恋なんてしていない。なのに何故俺はこの男と一緒に夕食を食べているんだろう。
「はいはい、そう言うことにしてやるから、食べようぜ」
大きな口を開けて、城南さんは麻婆豆腐を食べる。口に入れた麻婆豆腐は思いの外、辛くて涙が出そうだ。
てか、涙が溢れてきた。メガネを取り、涙を拭う間も城南さんはニヤニヤして見ている。
「ほら泣いてんじゃん」
「これは違うから!」
「まあまあ、俺が慰めてやっから、な」
「はあ?慰めって何だよ!」
悲しくない、人恋しくなんかない。
なのにどうして城南さんのキスが無性に暖かくて泣きそうになるんだろう。
「ん…」
ああ分かった。やっぱり城南さんも人恋しいんだ。
じゃあ仕方がない。俺も付き合ってやるか。
「いらっしゃいませ。今日は何にされますか?」
俺が注文を取ろうとすると、二人はメニューも見ずに告げる。
「チキン南蛮定食!」
「酢豚定食な」
恋人のいる厨房をチラチラ見る小畑さんに視線を向けていたら、城南さんに小声で言われた。
「こらこら。妬かないの。夜、たくさんキスしてやっから。あと俺、前の黒縁メガネの方が好きだなー」
うるさい、お節介なやつめ。
【了】
凸凹コンビだと周りから言われるほど性格は逆なのに、なぜか息はピッタリで。そんな彼に彼氏ができた。今まで彼女だったのに。
俺はいつのまにか止めていたタバコを再び吸うようになった。別に寂しいわけじゃない。
「寂しいくせに」
常連客の男、城南さんはニヤニヤと笑いながら言う。スナオと彼氏…城南さんの同僚でもある小畑さん…の馴れ初めを知る城南さんは何かと俺を『失恋した友人』に仕立てたいらしい。
麻婆豆腐をテーブルに置き俺はため息をついた。
「そう言う城南さんこそ寂しいんでしょ、同僚を取られて」
城南さんの前の席に座り、スプーンを手にした。
寂しくなんかないし、失恋なんてしていない。なのに何故俺はこの男と一緒に夕食を食べているんだろう。
「はいはい、そう言うことにしてやるから、食べようぜ」
大きな口を開けて、城南さんは麻婆豆腐を食べる。口に入れた麻婆豆腐は思いの外、辛くて涙が出そうだ。
てか、涙が溢れてきた。メガネを取り、涙を拭う間も城南さんはニヤニヤして見ている。
「ほら泣いてんじゃん」
「これは違うから!」
「まあまあ、俺が慰めてやっから、な」
「はあ?慰めって何だよ!」
悲しくない、人恋しくなんかない。
なのにどうして城南さんのキスが無性に暖かくて泣きそうになるんだろう。
「ん…」
ああ分かった。やっぱり城南さんも人恋しいんだ。
じゃあ仕方がない。俺も付き合ってやるか。
「いらっしゃいませ。今日は何にされますか?」
俺が注文を取ろうとすると、二人はメニューも見ずに告げる。
「チキン南蛮定食!」
「酢豚定食な」
恋人のいる厨房をチラチラ見る小畑さんに視線を向けていたら、城南さんに小声で言われた。
「こらこら。妬かないの。夜、たくさんキスしてやっから。あと俺、前の黒縁メガネの方が好きだなー」
うるさい、お節介なやつめ。
【了】
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