似紫の境界線

柏木あきら

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願い

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そっと真一の指が身体を弄り始めたので柳の体に緊張が走る。背中から移動してきたその手はゆっくりと、パジャマの中にするりと入ってきて直接肌に触れてきた。冷たいその感触に、柳は思わず声を上げる。
「冷たっ……」
身をよじる柳の頰にキスしながら、手のひらを使って胸の突起を転がしていく。そしてもう片方の手は柳の中心目がけて伸びていく。
「あっ……」
下着の上からチョン、とそれをつつくと柳の体がビクッと揺れた。
「いい加減に、しろ……」
「やめませんよ、俺は柳さんと一つになりたい。もう我慢出来ない」
それは真一の最後の願いだった。だんだんと大きくなっていく柳自身。柳とて、嫌ではないはずだ。
「ねぇ、一緒になろう?」

チュクチュクと、水をかき混ぜるような音が部屋に響く。その音と一緒に微かに響くのは、甘い声。
「あ……あっ……」
露わになった柳自身を口に含んで、真一はワザと音が響くように上下に動かす。口でたっぷりと愛してやると、どんどん反応してくるのが愛しくて真一はそれをしゃぶりながら、指でその下にある膨らみを転がしてやる。
「もう……、や……ああ」
裸体の柳は大きく首を振りながら、その快楽に流されまいとする。この状況にまだ羞恥心があるようだ。それでも真一は緩めるどころか、執拗に舐め回していく。
「気持ちいいでしょ?一回、イキますか」
先っぽを舌でつつきながら、手で中心を扱くと柳の声は一層大きくなっていく。
「あ、ああッ、だめ……、イクッ……!!」
そう言うと、身体を大きく仰け反らして、真一の目の前で、白濁したモノが勢いよく飛び出していった。
ハアハア、と柳は手で顔を覆いながら息をついている。その様子を見ながら真一は柳に覆い被さるような体制で顔を見た。
「気持ちよかった?」
「……っ」
顔を覆っている手をゆっくりのけて、真一は恍惚とした柳の顔をうっとりと眺める。
この表情を知りたかった。そしてこの表情を与えたのが自分だという、征服感。
耳たぶにキスをしながら、囁く。
「もっと、気持ちよくなろ」
そう言うと身体を一旦退けて、柳の両脚を持つ。ぱか、と左右に広げた。
「な、何す……!!」
あまりの格好に、思わず柳が抗議の声を上げたが、真一はそれを気にもせずそこにゆっくりとローションを垂らす。そして自分の指をゆっくりと入れていく。
「ひゃ……、ちょっと、それ無理っ」
「大丈夫だから、ね。柳さん、お願い」
そう言ってきた真一に、柳がまた抗議しようと顔を見たとき……
真一の瞳から、涙が溢れていた。
「おまえ……」
「お願いだから……、俺が柳さんと繋がったって証拠を、感じさせて」
今だけは泉じゃなくて、雛野真一として繋がって欲しい。
ポタポタと落ちる涙。その涙を、柳が指で優しく拭った。
「……いいよ、そんなに泣くな。俺だって」
真一の涙を指で拭きながら、柳は微笑んだ。
「ずっとお前が欲しかったんだ」

それから先はまるで獣のように、お互いを求め合った。何度もキスをして、何度も舐め合った。
真一が柳のナカに入ったとき、柳は必死に真一の身体に抱きついた。背中に爪をたてられて跡がついても柳の中を蹂躙していく。
「あ、あっ……、気持ち、いい……」
いつの間にか痛みがなくなり快楽の波に飲まれて、柳はもう声を抑えない。
「もっと、奥、入れるよ」
柳の腰を持ち、真一は自分のソレを思い切り突いた。
「あ、あああっ!」
勢いよく突かれる度に、大きく仰反る。パンパンと打ち付ける音と、柳の嬌声がリンクする。
「ンンッ、あっあっ、……いぃ……!」
ギュッと真一の身体を抱きしめる柳。
「柳さ、ん…俺も、限界……、イク、よ」
「ああッ!」
一際強く腰を突き上げて、そのまま、真一が柳の中で果てる。柳もまた一緒に二度めの絶頂を迎えた。
「柳、さん……」
抱きしめた愛しい人からの返事はない。柳は疲れ果ててぐったりしていた。

最中も、終わった後も名前を呼ばれなかった。
泉とも、真一とも。
それは幸か不幸か。ただ今は、結ばれたことに幸せを感じていたい。
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