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寤寐思服(ごびしふく)
言葉の代わりに
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冬が近づいてきた。
僕は幸いなことに野球の推薦で高校受験をせずとも進路が決定した。バンドのメンバーはさほど高校受験に苦労していないのか、はたまた諦めているのか不明だったが10月、11月と月に4、5回くらいは集まって練習していた。初めこそ当時流行っていたレベッカやBOØWYの曲をコピーしていたが、どうせやるならとオリジナル曲を作って演るようになった。
ある練習の帰りに、小谷の家に寄ってそれぞれの好きな人のことを話していた。
「小野くんはクリスマスとかに三好さんに何かプレゼントするの?」
「そりゃしたいけど、それって……好きだって言うんと一緒やん。小谷くんは?中村さんに何かするん?」
「うん……してちゃんと伝えたいなって思ってる」
「そっか! 何するん?」
「今ね……曲作ってるんだ」
「曲! 凄いやん!!」
「まだ完成してないけど、聴く?」
「うん、あっ! でもやめとく。聴きたいけど、それは中村さんに先に聴いてもらわんと」
それよりも僕はクリスマスに曲をプレゼントして告白しようとしている小谷がとんでもなく凄いやつに思えた。
「伝わるといいね」
帰宅後、もし僕が今彼女に何か贈るとしたら。そして、それをこの想いの代わりとするなら何をするだろう?と考えてみたが、小谷のように曲を作ってなんて高尚なことはできそうにない。
(何かできること……何か……できること)
そして思い付いたこと。
好きな人に、今一番好きな歌をカセットに録音して贈って気持ちを伝えようと。
(ただ……それがなぜ杉山清貴&オメガトライブだったか(笑)。確かに好きではあったが、もうちょい他に何かあったやろ!と今は笑い話にできますが、当時はそれなりに真剣だった)
そしてクリスマスが過ぎ、お正月を迎えました。小谷君からの年賀状に「あれは渡せませんでした」と筆ペンで(笑)。
ちなみに僕の杉山清貴&オメガトライブのカセットはこの時点ではまだ僕の手元にあり、後に小谷と顔を見合わせ笑ったのでした。
僕は幸いなことに野球の推薦で高校受験をせずとも進路が決定した。バンドのメンバーはさほど高校受験に苦労していないのか、はたまた諦めているのか不明だったが10月、11月と月に4、5回くらいは集まって練習していた。初めこそ当時流行っていたレベッカやBOØWYの曲をコピーしていたが、どうせやるならとオリジナル曲を作って演るようになった。
ある練習の帰りに、小谷の家に寄ってそれぞれの好きな人のことを話していた。
「小野くんはクリスマスとかに三好さんに何かプレゼントするの?」
「そりゃしたいけど、それって……好きだって言うんと一緒やん。小谷くんは?中村さんに何かするん?」
「うん……してちゃんと伝えたいなって思ってる」
「そっか! 何するん?」
「今ね……曲作ってるんだ」
「曲! 凄いやん!!」
「まだ完成してないけど、聴く?」
「うん、あっ! でもやめとく。聴きたいけど、それは中村さんに先に聴いてもらわんと」
それよりも僕はクリスマスに曲をプレゼントして告白しようとしている小谷がとんでもなく凄いやつに思えた。
「伝わるといいね」
帰宅後、もし僕が今彼女に何か贈るとしたら。そして、それをこの想いの代わりとするなら何をするだろう?と考えてみたが、小谷のように曲を作ってなんて高尚なことはできそうにない。
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そして思い付いたこと。
好きな人に、今一番好きな歌をカセットに録音して贈って気持ちを伝えようと。
(ただ……それがなぜ杉山清貴&オメガトライブだったか(笑)。確かに好きではあったが、もうちょい他に何かあったやろ!と今は笑い話にできますが、当時はそれなりに真剣だった)
そしてクリスマスが過ぎ、お正月を迎えました。小谷君からの年賀状に「あれは渡せませんでした」と筆ペンで(笑)。
ちなみに僕の杉山清貴&オメガトライブのカセットはこの時点ではまだ僕の手元にあり、後に小谷と顔を見合わせ笑ったのでした。
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