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化粧の融けるとき
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今日僕は故郷へ帰る。そんな朝、君の化粧を待っている。普段よりも一層濃いアイシャドウを描いているようだ。そもそも化粧なんかしなくても十分なのに。
これから一緒に駅まで向かう。一昨日雪が降って2cmばかり積もったが、今歩道はベチャベチャだ。辺りに色が戻り初めていることに君は気づいただろうか。僕は黒いキャリーを持っている。君は白地の傘を持っている。
駅に着き窓口で切符を買う。君は改札前で待っている。「釧路まで、片道で」自分の息が弾んでいることに気がついた。振り向くと君の背中が見えた。
改札の前で互いに向き合う。目があったとき「あぁそうか、」と僕は思う。君は「さみしい」と言った。僕は何を言っただろうか、覚えていない。君は何を聞いたのだろうか。
車窓から望む山々はまだまだ雪化粧であったが、麓の木々はもう春を受け入れている。あぁ春はいつ頃になるだろう。雪融けの音に耳を澄まなさければ。
雪が世界に還るとき、会いたい。
これから一緒に駅まで向かう。一昨日雪が降って2cmばかり積もったが、今歩道はベチャベチャだ。辺りに色が戻り初めていることに君は気づいただろうか。僕は黒いキャリーを持っている。君は白地の傘を持っている。
駅に着き窓口で切符を買う。君は改札前で待っている。「釧路まで、片道で」自分の息が弾んでいることに気がついた。振り向くと君の背中が見えた。
改札の前で互いに向き合う。目があったとき「あぁそうか、」と僕は思う。君は「さみしい」と言った。僕は何を言っただろうか、覚えていない。君は何を聞いたのだろうか。
車窓から望む山々はまだまだ雪化粧であったが、麓の木々はもう春を受け入れている。あぁ春はいつ頃になるだろう。雪融けの音に耳を澄まなさければ。
雪が世界に還るとき、会いたい。
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◆◇◆◇◆◇◆
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