1 / 5
第一話 呪われた世界
しおりを挟む
第一話 呪われた世界
かつて何もない無そのものだった万物から、全ての創造主である『原初の神』が生まれた。
『原初の神』は何もない無に灯りを灯したことで、そこから大きな木が芽吹き、全てを誕生させていった。
『原初の神』は世界の次に、そこに住まう命を創造した。
硬い鱗、鋭い爪と牙、畏怖の象徴そのものである角、そして大空を羽ばたく翼を持つ『竜族』を。
森羅万象に存在する自然界から生まれた自然の子供である『精霊族』を。
過酷な環境を生き抜き、野生の勘が研ぎ澄まされた狩人である『獣族』を。
死後の霊魂を天国へと運ぶ、聖なる光の化身である『天使族』を。
誰よりも弱いが、皆で力を合わせることで栄光の文明を築く『人族』を。
そして、光の世界を統べる全ての種族の頂点に君臨する超高次存在『神族』を。
『原初の神』は自身の創作物である命達に、無条件の博愛を注いでいた。
命達が住みやすい様に天気を変えて豊作にしたり、命達に力強く生きやすくするために自身の加護を与えて、死後の霊魂に労いを与えるための理想郷である天国を創造して、命達に安寧と平和を与えた。
しかし、『原初の神』の純粋な愛情を、生命は、世界は、受け入れなかった。
神族を筆頭とした生命たちは、『原初の神』に与えられた力を自身の力だと奢って、『原初の神』に変わろうとしていた。力を使いすぎて、弱体化していた『原初の神』を殺すために、全種族を巻き込んだ大宴会を開いた。自身の創作物たちからもらった贈り物に『原初の神』は喜んだ。そして『原初の神』に毒が入った酒を渡し、そして毒にやられて、種族たちの思惑通りとなった。
『原初の神』は怒りと悲しみ、憎悪に震えながら血を吐き、皮膚が腐食していき、生き地獄を味わっていた。種族たちはその姿を見て嘲笑い、死が目と鼻の先まで近づいた時に、『原初の神』は怒りに満ちた表情でこう言った。
「お前たちは、私の怒りと憎悪によって、私が味わう苦痛を超える地獄を迎え滅びる。覚えていろ、今の至福の時を、私がそれを絶望の深淵へと突き落とし、貴様らを滅ぼしてくれる………………!!!!」
『原初の神』は死に際に、誰かの幸せにするためではなく、誰かを地獄へと叩き落とすために、自身の魂と亡骸を贄に最後の創造を行った。
世界を燃やし焦がし尽くす“火”を
全ての人と大地を水の底に沈めて清める“水”を
竜巻となりすべてを吹き飛ばす“風”を
地割れを起こして人を奈落の底へと落とす“地”を
破滅の光で全てを溶かし天へと召し上げる“聖”を
万物の恐怖そのものの悪夢へと突き落とし“闇”を
星の命を根こそぎ吸い上げて枯らす“生命”を
そして、この世の全てを造り出して、壊し尽くす”混沌“を。
『原初の神』の死後に世界へとかけた八つの呪いは、全種族を何度も壊滅させていった。
どうにか怒りを鎮めてもらうためにあらゆる手を尽くしたが、八つの大厄災は無慈悲に全てを蹂躙していった。立ち向かおうとしても、その圧倒的な力によってねじ伏せられて、何度も世界を滅ぼし再生させた。もはやこの世界は、『原初の神』の怒りを買った、呪われた世界へと堕ちてしまった。
これは、もう何度目かの世界に住まう種族たちが、自分自身の罪へと立ち向かう、残酷で美しい記録である。
かつて何もない無そのものだった万物から、全ての創造主である『原初の神』が生まれた。
『原初の神』は何もない無に灯りを灯したことで、そこから大きな木が芽吹き、全てを誕生させていった。
『原初の神』は世界の次に、そこに住まう命を創造した。
硬い鱗、鋭い爪と牙、畏怖の象徴そのものである角、そして大空を羽ばたく翼を持つ『竜族』を。
森羅万象に存在する自然界から生まれた自然の子供である『精霊族』を。
過酷な環境を生き抜き、野生の勘が研ぎ澄まされた狩人である『獣族』を。
死後の霊魂を天国へと運ぶ、聖なる光の化身である『天使族』を。
誰よりも弱いが、皆で力を合わせることで栄光の文明を築く『人族』を。
そして、光の世界を統べる全ての種族の頂点に君臨する超高次存在『神族』を。
『原初の神』は自身の創作物である命達に、無条件の博愛を注いでいた。
命達が住みやすい様に天気を変えて豊作にしたり、命達に力強く生きやすくするために自身の加護を与えて、死後の霊魂に労いを与えるための理想郷である天国を創造して、命達に安寧と平和を与えた。
しかし、『原初の神』の純粋な愛情を、生命は、世界は、受け入れなかった。
神族を筆頭とした生命たちは、『原初の神』に与えられた力を自身の力だと奢って、『原初の神』に変わろうとしていた。力を使いすぎて、弱体化していた『原初の神』を殺すために、全種族を巻き込んだ大宴会を開いた。自身の創作物たちからもらった贈り物に『原初の神』は喜んだ。そして『原初の神』に毒が入った酒を渡し、そして毒にやられて、種族たちの思惑通りとなった。
『原初の神』は怒りと悲しみ、憎悪に震えながら血を吐き、皮膚が腐食していき、生き地獄を味わっていた。種族たちはその姿を見て嘲笑い、死が目と鼻の先まで近づいた時に、『原初の神』は怒りに満ちた表情でこう言った。
「お前たちは、私の怒りと憎悪によって、私が味わう苦痛を超える地獄を迎え滅びる。覚えていろ、今の至福の時を、私がそれを絶望の深淵へと突き落とし、貴様らを滅ぼしてくれる………………!!!!」
『原初の神』は死に際に、誰かの幸せにするためではなく、誰かを地獄へと叩き落とすために、自身の魂と亡骸を贄に最後の創造を行った。
世界を燃やし焦がし尽くす“火”を
全ての人と大地を水の底に沈めて清める“水”を
竜巻となりすべてを吹き飛ばす“風”を
地割れを起こして人を奈落の底へと落とす“地”を
破滅の光で全てを溶かし天へと召し上げる“聖”を
万物の恐怖そのものの悪夢へと突き落とし“闇”を
星の命を根こそぎ吸い上げて枯らす“生命”を
そして、この世の全てを造り出して、壊し尽くす”混沌“を。
『原初の神』の死後に世界へとかけた八つの呪いは、全種族を何度も壊滅させていった。
どうにか怒りを鎮めてもらうためにあらゆる手を尽くしたが、八つの大厄災は無慈悲に全てを蹂躙していった。立ち向かおうとしても、その圧倒的な力によってねじ伏せられて、何度も世界を滅ぼし再生させた。もはやこの世界は、『原初の神』の怒りを買った、呪われた世界へと堕ちてしまった。
これは、もう何度目かの世界に住まう種族たちが、自分自身の罪へと立ち向かう、残酷で美しい記録である。
0
あなたにおすすめの小説
二度目の勇者は救わない
銀猫
ファンタジー
異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。
しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。
それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。
復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?
昔なろうで投稿していたものになります。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる