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第一章 転生

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「わたしはね、王様がすごい怒ってるってみんなが怖がってたから様子を見に来たの!」
「あ……怖がらせちゃってたー?ごめんねってみんなに言っておいてくれる?」
「分かった!」

 素直に頷いてまたどこかに行っちゃった。俺がみんなを怖がらせてどうするのー?しっかりしないとダメだよねぇ俺ー。

「……俺が考えてた面白そうなこと。あれも調査に役立ったらいいんだけどねぇ」

 はぁ、とひとつ溜め息をつく。今は何か別のことを考えないと怒りが爆発してしまいそう。そういえば精霊殺しによる呪いの犯人はどの種族なのかな?人族かエルフ族か魔族か……今回は違うけど精霊の仕業ってこともあるよねぇ。まあどの種族が相手だったとしても絶対復讐するしその時に戦うことになっても負けない自信はある。精霊を殺したぐらいだから弱くはないはずだけど、どの種族だったとしても俺の強さと比べること自体がおかしいからねー。それくらい精霊王の力は規格外なんだよ。

「ノーム、ウンディーネ、サラマンダー、シルフ」
「ナギサ様ぁ?な……に…っ」
「なん……や、やべぇな」

 今後の方針について話すために丁度集まっていたはずの四人を呼んだんだけど解散した後だったのか別々の場所からきたね。それにすごい顔が強張ってるんだけどー……俺、まだ怒ってるように見えるかなぁ?ウンディーネはシルフの、ノームはサラマンダーの背中に隠れたんだけど。

「こここっ、こっ、こっ……怖いっ…」

 ニワトリ?この世界にいたっけ?

「ナギサ様……その、お怒りですか?」
「そう見えるかなぁ?」

 恐る恐るといった風にシルフが聞いてきた。怒っているのがバレないようにしてるつもりなんだけどなー。

「表情はいつも通りだが雰囲気が尖ってるぜ!下手に突けば刺し殺されそうなくらいな!」
「そっかー。でも気にしなくていいよー」

 サラマンダーはさぁ、よく本人にそんなこと言えるよね。そういうのは胸の内に秘めておくことじゃないのかなー?シルフが怖いもの知らずとか何とか言ってるよー?

「大事な話があるんだ。とりあえず座ってよ」
「大事な話ってぇ?」
「今日君たちが集まって話していたことと関係があるんだけどねー?……精霊が殺された。呪いとなった。中位以下の精霊でその中でも力は弱い方。心当たりはない?」
「呪い……ナギサ様、心当たりがございます。風の中位以下の精霊でしばらく姿を見ていない精霊がいます。心配していたのですが…ご確認いただけますか?」

 どの精霊にも『核』というものがある。大精霊は自分と同じ属性の精霊たちの核を一部管理する仕事がある。精霊は生まれると生きることに支障がない程度に自分の核を分けることになってる。その一部を大精霊が管理することで今回のように呪いで殺された場合には個人を特定することが出来るようになっているんだよ。

「見せて。……一致してるね」

 アルフォンスくんに掛けられた呪いの元となる精霊と核が同じだった。精霊王の俺しか特定は出来ないんだけど、同じ精霊の核なのが確認できた。

 中位精霊以下…というのは面倒なので下位精霊ということで。
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