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第一章 政略結婚

番外編② 賭けに負けたフランツの罰ゲーム 後編

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夜会も終わり、カレンと一緒に自室に戻る。

「うふふ。さあて、フランツ様。罰ゲームのお時間ですよ~!」

「嬉しそうに言うな。楽しそうに言うな」

一応突っ込んでおいた。意味はないと思うが。

「だって嬉しいし、楽しみなんですもの!今日はどちらにしましょうかねぇ?」

私達がやる罰ゲームとは「相手になりきって(服装や口調まで)相手への愛を語る」というのと「自分の良いところや好きなところを相手が満足するまで語る」というものの二種類だ。
一つ目はまだいい。女装は嫌だがカレンへの愛ならいくらでも語れる。問題は二つ目だ。これが本当に恥ずかしい…!当然、何て事ない顔でやるが。だが、カレンもそれが分かっているため私の態度によってはこちらになる。

今日は恐らく…

「では今日は~、相手になりきって……ではなく自分の良いところや好きな所にしましょう!」

くっ!期待させておいてやはりそうか…

「ちなみにもう一つの方と変えるのは?」

「ダメです!」

チッ

「あ、舌打ちが聞こえた気がするわ。気のせいかしら?」

「気のせいだ!」

「そうですね。気のせいですわ。私は優しいので気のせいですわ」

セーフ…

「では早速、語ってくださいまし!」

ああ…本当に最悪だ…

「まず…顔が良い。誰もが認める程の美形で髪色や瞳の色も合わさり、いかにも物語にでてくる王子という感じだろう。それから美声で仕事が早くて頭も良く剣の腕も良く…」

…恥ずかしくなってきた…最初は自慢気に言えるが段々恥ずかしくなってくるのがこの罰ゲームだ…

「ふふっ。もういいですよ、フランツ様。顔が首まで真っ赤ですし段々無心になってきてません?面白かったですわよ」

「…」

「フランツ様~大丈夫ですか~?」

「本当に最悪だ…恥ずかしすぎて終わってる…!」

よりによってカレンに聞かれるとは…まあカレンと賭けをしたのだから当然と言えば当然だが。

…今更ではあるが、恥ずかしいものは恥ずかしい。自分が優れているのは分かるがそれを自分で語るのは違うだろう…?顔が真っ赤だなんて、恥ずかしすぎて死ねる…

「大丈夫ですよ?全部事実でしたし、やっぱり何度やっても面白いですねこの罰ゲームは。普段のフランツ様って余裕そうですから、尚更見ていて楽しいです」

声を弾ませるな……

「そうか。私はもう疲れた…。次は絶対に負けたくない…」

「そうですか。頑張ってくださいな、フランツ様。お疲れでしたら私はもう失礼しますね。とても楽しかったですわ」

「そうか…私は精神が削られたが…。おやすみ、カレン」

「おやすみなさいませ、フランツ様」

バタンッ!

…いつも思うがこの挨拶、夫婦みたいで少しむず痒いな…

…私は恥ずかしい思いをしたが、カレンが楽しかったならまあ良いだろう…?
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