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私の毎日
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「へぇ……それでレラは家事をしているのか。偉いね」
ニコッと笑った美青年ーーーもといライリーは、デートと称してオシャレなカフェに私を連れ込み、ケーキを勧めた。
どうやら彼も人を口車に乗せるのが上手いようで、私はすっかり身の上話を暴露してしまった。
(※レラは純粋培養です。チョロイです)
どれを頼めば良いのか分からない、と言うと、ライリーは適当に紅茶とケーキのセットを頼んだ。チラッと見えたメニュー表の価格はジャガイモいくつ分かな……と現実逃避している間に、小綺麗なウェイトレスが食事を運んできた。
「う、うわぁぁ!」
運ばれてきたのは生クリームたっぷりのショートケーキ。ベリー系の実がふんだんにあしらわれている。紅茶はアールグレイで、いつもダージリンばかり飲んでいる私には新鮮な味だった。
ケーキを一口食べると、口の中でふわっと甘みが広がり、とても幸せな気持ちになった。
ふとライリーの方を見ると、こちらをニコニコと見つめているだけで、ケーキを食べていない……というか、頼んでいない。アイスティーだけのようだ。(寒いのに!)
「ライリーは、ケーキ食べないの?」
「え?いや、そんな気分じゃないというか…………毎日食べてたら飽きるよ」
最後の方はボソッと言ったので聞こえなかったが、すらりとした体型のライリーを見て、「もっと太くならなきゃ!」とケーキを大きめに切り分けて、彼に差し出した。
「はい、あーん」
「ぅええ!?ちょ、レラ!?」
「ほら、早く!」
ライリーは顔を赤らめながら、しぶしぶ私の手からケーキを食べた。
「ね、美味しいでしょ?」
ニコッと微笑みかけると、彼は深くため息をついた。
「……ったく、そんなこと僕以外にするなよ?」
「??今ライリーにしたのが初めてだったわ」
「!!ーーーそうか」
なんだかライリーはニヤニヤしてる。
ちょっと気持ち悪いな、と心の中で悪態をつきながら、残りのケーキを胃に収めた。
お話しながら日用品の買い物を済ませ、そろそろ屋敷に戻らねばという時間になった。
「ライリー、私もう帰らなきゃ」
「そっか……また会えるかな」
ライリーは不安げに瞳を揺らして私に問いかけたので、ふふっと笑ってしまった。
「大袈裟ね!1週間に1回はここへ来ているわ」
「!!そうか、ならまた会おう!」
「ええ、じゃあね」
ブンブンと大きく腕を振るライリーに小さく手を振り返し、屋敷へ戻った。
ーーーーーーーーーーーー
(sideライリー)
僕は今日天使に出会った。
え、いる訳ないって?僕もそう思ってたよ。でも、彼女に……レラに会うとその考えはきっと覆される。
王太子教育と称して父である国王の仕事を手伝わされているのだが、もう1ヶ月近くも城に缶詰めなのでいい加減逃げてきたのだ。ああ、分かってるよ。こんなことする奴が王太子なのかってね。息抜きしたらすぐ戻るよ……
平民に見えるような服に着替えてから、王族しか知らない城の抜け道を使って城下に出た。市場はとても賑わっていて、僕の正体に気付く者はいない。
ぶらぶらと取り留めもなく市場を見て回っていると、ある装飾品店の前でイヤリングを見ている少女に目が留まった。
陽の光に当たるとキラキラと輝くプラチナブロンドの髪に、アメジストをそのまま埋め込んだような澄んだ紫色の瞳。気付くと俺はその少女に話し掛けていた……
どうにかして引き留めようと、今町娘たちに人気のカフェに連れ込んだ。『当店自慢の』と冠してあればハズレはないだろう、とケーキセットを適当に頼んだ。
平民だからケーキをあまり食べられないのだろうと思っていたが、話を聞くうちに彼女は子爵令嬢だということがわかり、なにかワケありだと直感した。
ーーーーーなるほど、父の後妻母娘にコキ使われているといった感じか。反りが合わなくて家庭内冷戦、というのはよく小耳に挟むが、ここまで酷いのは初めてだ。
「君はそんな扱いを受けて、悲しくないのかい?」
単純な疑問だった。でも彼女は
「確かに悲しいわ。だけど、私の亡くなった本当の母が言っていたの。どんなに辛いことがあっても笑顔を忘れない、ってね」
と微笑みながら言った。
僕は、その笑顔が本当に綺麗だと思った。
帰り際、週に1度は市場に来るとの情報を得たので、つい舞い上がって手を振って見送ってしまった。小さく手を振り返したレラはとても可愛いかった。
帰城して父に「何があったんだ?」と言われるくらいニヤニヤしながら執務をしていると、ある重大なミスに気がついたーーーーーーレラのラストネームを聞いていなかったのだ。
次に会った時聞けば良いか、と自分に言い聞かせたが、その後レラに会うことはなかった。
ニコッと笑った美青年ーーーもといライリーは、デートと称してオシャレなカフェに私を連れ込み、ケーキを勧めた。
どうやら彼も人を口車に乗せるのが上手いようで、私はすっかり身の上話を暴露してしまった。
(※レラは純粋培養です。チョロイです)
どれを頼めば良いのか分からない、と言うと、ライリーは適当に紅茶とケーキのセットを頼んだ。チラッと見えたメニュー表の価格はジャガイモいくつ分かな……と現実逃避している間に、小綺麗なウェイトレスが食事を運んできた。
「う、うわぁぁ!」
運ばれてきたのは生クリームたっぷりのショートケーキ。ベリー系の実がふんだんにあしらわれている。紅茶はアールグレイで、いつもダージリンばかり飲んでいる私には新鮮な味だった。
ケーキを一口食べると、口の中でふわっと甘みが広がり、とても幸せな気持ちになった。
ふとライリーの方を見ると、こちらをニコニコと見つめているだけで、ケーキを食べていない……というか、頼んでいない。アイスティーだけのようだ。(寒いのに!)
「ライリーは、ケーキ食べないの?」
「え?いや、そんな気分じゃないというか…………毎日食べてたら飽きるよ」
最後の方はボソッと言ったので聞こえなかったが、すらりとした体型のライリーを見て、「もっと太くならなきゃ!」とケーキを大きめに切り分けて、彼に差し出した。
「はい、あーん」
「ぅええ!?ちょ、レラ!?」
「ほら、早く!」
ライリーは顔を赤らめながら、しぶしぶ私の手からケーキを食べた。
「ね、美味しいでしょ?」
ニコッと微笑みかけると、彼は深くため息をついた。
「……ったく、そんなこと僕以外にするなよ?」
「??今ライリーにしたのが初めてだったわ」
「!!ーーーそうか」
なんだかライリーはニヤニヤしてる。
ちょっと気持ち悪いな、と心の中で悪態をつきながら、残りのケーキを胃に収めた。
お話しながら日用品の買い物を済ませ、そろそろ屋敷に戻らねばという時間になった。
「ライリー、私もう帰らなきゃ」
「そっか……また会えるかな」
ライリーは不安げに瞳を揺らして私に問いかけたので、ふふっと笑ってしまった。
「大袈裟ね!1週間に1回はここへ来ているわ」
「!!そうか、ならまた会おう!」
「ええ、じゃあね」
ブンブンと大きく腕を振るライリーに小さく手を振り返し、屋敷へ戻った。
ーーーーーーーーーーーー
(sideライリー)
僕は今日天使に出会った。
え、いる訳ないって?僕もそう思ってたよ。でも、彼女に……レラに会うとその考えはきっと覆される。
王太子教育と称して父である国王の仕事を手伝わされているのだが、もう1ヶ月近くも城に缶詰めなのでいい加減逃げてきたのだ。ああ、分かってるよ。こんなことする奴が王太子なのかってね。息抜きしたらすぐ戻るよ……
平民に見えるような服に着替えてから、王族しか知らない城の抜け道を使って城下に出た。市場はとても賑わっていて、僕の正体に気付く者はいない。
ぶらぶらと取り留めもなく市場を見て回っていると、ある装飾品店の前でイヤリングを見ている少女に目が留まった。
陽の光に当たるとキラキラと輝くプラチナブロンドの髪に、アメジストをそのまま埋め込んだような澄んだ紫色の瞳。気付くと俺はその少女に話し掛けていた……
どうにかして引き留めようと、今町娘たちに人気のカフェに連れ込んだ。『当店自慢の』と冠してあればハズレはないだろう、とケーキセットを適当に頼んだ。
平民だからケーキをあまり食べられないのだろうと思っていたが、話を聞くうちに彼女は子爵令嬢だということがわかり、なにかワケありだと直感した。
ーーーーーなるほど、父の後妻母娘にコキ使われているといった感じか。反りが合わなくて家庭内冷戦、というのはよく小耳に挟むが、ここまで酷いのは初めてだ。
「君はそんな扱いを受けて、悲しくないのかい?」
単純な疑問だった。でも彼女は
「確かに悲しいわ。だけど、私の亡くなった本当の母が言っていたの。どんなに辛いことがあっても笑顔を忘れない、ってね」
と微笑みながら言った。
僕は、その笑顔が本当に綺麗だと思った。
帰り際、週に1度は市場に来るとの情報を得たので、つい舞い上がって手を振って見送ってしまった。小さく手を振り返したレラはとても可愛いかった。
帰城して父に「何があったんだ?」と言われるくらいニヤニヤしながら執務をしていると、ある重大なミスに気がついたーーーーーーレラのラストネームを聞いていなかったのだ。
次に会った時聞けば良いか、と自分に言い聞かせたが、その後レラに会うことはなかった。
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