6 / 7
私の毎日
5
しおりを挟む
「へぇ……それでレラは家事をしているのか。偉いね」
ニコッと笑った美青年ーーーもといライリーは、デートと称してオシャレなカフェに私を連れ込み、ケーキを勧めた。
どうやら彼も人を口車に乗せるのが上手いようで、私はすっかり身の上話を暴露してしまった。
(※レラは純粋培養です。チョロイです)
どれを頼めば良いのか分からない、と言うと、ライリーは適当に紅茶とケーキのセットを頼んだ。チラッと見えたメニュー表の価格はジャガイモいくつ分かな……と現実逃避している間に、小綺麗なウェイトレスが食事を運んできた。
「う、うわぁぁ!」
運ばれてきたのは生クリームたっぷりのショートケーキ。ベリー系の実がふんだんにあしらわれている。紅茶はアールグレイで、いつもダージリンばかり飲んでいる私には新鮮な味だった。
ケーキを一口食べると、口の中でふわっと甘みが広がり、とても幸せな気持ちになった。
ふとライリーの方を見ると、こちらをニコニコと見つめているだけで、ケーキを食べていない……というか、頼んでいない。アイスティーだけのようだ。(寒いのに!)
「ライリーは、ケーキ食べないの?」
「え?いや、そんな気分じゃないというか…………毎日食べてたら飽きるよ」
最後の方はボソッと言ったので聞こえなかったが、すらりとした体型のライリーを見て、「もっと太くならなきゃ!」とケーキを大きめに切り分けて、彼に差し出した。
「はい、あーん」
「ぅええ!?ちょ、レラ!?」
「ほら、早く!」
ライリーは顔を赤らめながら、しぶしぶ私の手からケーキを食べた。
「ね、美味しいでしょ?」
ニコッと微笑みかけると、彼は深くため息をついた。
「……ったく、そんなこと僕以外にするなよ?」
「??今ライリーにしたのが初めてだったわ」
「!!ーーーそうか」
なんだかライリーはニヤニヤしてる。
ちょっと気持ち悪いな、と心の中で悪態をつきながら、残りのケーキを胃に収めた。
お話しながら日用品の買い物を済ませ、そろそろ屋敷に戻らねばという時間になった。
「ライリー、私もう帰らなきゃ」
「そっか……また会えるかな」
ライリーは不安げに瞳を揺らして私に問いかけたので、ふふっと笑ってしまった。
「大袈裟ね!1週間に1回はここへ来ているわ」
「!!そうか、ならまた会おう!」
「ええ、じゃあね」
ブンブンと大きく腕を振るライリーに小さく手を振り返し、屋敷へ戻った。
ーーーーーーーーーーーー
(sideライリー)
僕は今日天使に出会った。
え、いる訳ないって?僕もそう思ってたよ。でも、彼女に……レラに会うとその考えはきっと覆される。
王太子教育と称して父である国王の仕事を手伝わされているのだが、もう1ヶ月近くも城に缶詰めなのでいい加減逃げてきたのだ。ああ、分かってるよ。こんなことする奴が王太子なのかってね。息抜きしたらすぐ戻るよ……
平民に見えるような服に着替えてから、王族しか知らない城の抜け道を使って城下に出た。市場はとても賑わっていて、僕の正体に気付く者はいない。
ぶらぶらと取り留めもなく市場を見て回っていると、ある装飾品店の前でイヤリングを見ている少女に目が留まった。
陽の光に当たるとキラキラと輝くプラチナブロンドの髪に、アメジストをそのまま埋め込んだような澄んだ紫色の瞳。気付くと俺はその少女に話し掛けていた……
どうにかして引き留めようと、今町娘たちに人気のカフェに連れ込んだ。『当店自慢の』と冠してあればハズレはないだろう、とケーキセットを適当に頼んだ。
平民だからケーキをあまり食べられないのだろうと思っていたが、話を聞くうちに彼女は子爵令嬢だということがわかり、なにかワケありだと直感した。
ーーーーーなるほど、父の後妻母娘にコキ使われているといった感じか。反りが合わなくて家庭内冷戦、というのはよく小耳に挟むが、ここまで酷いのは初めてだ。
「君はそんな扱いを受けて、悲しくないのかい?」
単純な疑問だった。でも彼女は
「確かに悲しいわ。だけど、私の亡くなった本当の母が言っていたの。どんなに辛いことがあっても笑顔を忘れない、ってね」
と微笑みながら言った。
僕は、その笑顔が本当に綺麗だと思った。
帰り際、週に1度は市場に来るとの情報を得たので、つい舞い上がって手を振って見送ってしまった。小さく手を振り返したレラはとても可愛いかった。
帰城して父に「何があったんだ?」と言われるくらいニヤニヤしながら執務をしていると、ある重大なミスに気がついたーーーーーーレラのラストネームを聞いていなかったのだ。
次に会った時聞けば良いか、と自分に言い聞かせたが、その後レラに会うことはなかった。
ニコッと笑った美青年ーーーもといライリーは、デートと称してオシャレなカフェに私を連れ込み、ケーキを勧めた。
どうやら彼も人を口車に乗せるのが上手いようで、私はすっかり身の上話を暴露してしまった。
(※レラは純粋培養です。チョロイです)
どれを頼めば良いのか分からない、と言うと、ライリーは適当に紅茶とケーキのセットを頼んだ。チラッと見えたメニュー表の価格はジャガイモいくつ分かな……と現実逃避している間に、小綺麗なウェイトレスが食事を運んできた。
「う、うわぁぁ!」
運ばれてきたのは生クリームたっぷりのショートケーキ。ベリー系の実がふんだんにあしらわれている。紅茶はアールグレイで、いつもダージリンばかり飲んでいる私には新鮮な味だった。
ケーキを一口食べると、口の中でふわっと甘みが広がり、とても幸せな気持ちになった。
ふとライリーの方を見ると、こちらをニコニコと見つめているだけで、ケーキを食べていない……というか、頼んでいない。アイスティーだけのようだ。(寒いのに!)
「ライリーは、ケーキ食べないの?」
「え?いや、そんな気分じゃないというか…………毎日食べてたら飽きるよ」
最後の方はボソッと言ったので聞こえなかったが、すらりとした体型のライリーを見て、「もっと太くならなきゃ!」とケーキを大きめに切り分けて、彼に差し出した。
「はい、あーん」
「ぅええ!?ちょ、レラ!?」
「ほら、早く!」
ライリーは顔を赤らめながら、しぶしぶ私の手からケーキを食べた。
「ね、美味しいでしょ?」
ニコッと微笑みかけると、彼は深くため息をついた。
「……ったく、そんなこと僕以外にするなよ?」
「??今ライリーにしたのが初めてだったわ」
「!!ーーーそうか」
なんだかライリーはニヤニヤしてる。
ちょっと気持ち悪いな、と心の中で悪態をつきながら、残りのケーキを胃に収めた。
お話しながら日用品の買い物を済ませ、そろそろ屋敷に戻らねばという時間になった。
「ライリー、私もう帰らなきゃ」
「そっか……また会えるかな」
ライリーは不安げに瞳を揺らして私に問いかけたので、ふふっと笑ってしまった。
「大袈裟ね!1週間に1回はここへ来ているわ」
「!!そうか、ならまた会おう!」
「ええ、じゃあね」
ブンブンと大きく腕を振るライリーに小さく手を振り返し、屋敷へ戻った。
ーーーーーーーーーーーー
(sideライリー)
僕は今日天使に出会った。
え、いる訳ないって?僕もそう思ってたよ。でも、彼女に……レラに会うとその考えはきっと覆される。
王太子教育と称して父である国王の仕事を手伝わされているのだが、もう1ヶ月近くも城に缶詰めなのでいい加減逃げてきたのだ。ああ、分かってるよ。こんなことする奴が王太子なのかってね。息抜きしたらすぐ戻るよ……
平民に見えるような服に着替えてから、王族しか知らない城の抜け道を使って城下に出た。市場はとても賑わっていて、僕の正体に気付く者はいない。
ぶらぶらと取り留めもなく市場を見て回っていると、ある装飾品店の前でイヤリングを見ている少女に目が留まった。
陽の光に当たるとキラキラと輝くプラチナブロンドの髪に、アメジストをそのまま埋め込んだような澄んだ紫色の瞳。気付くと俺はその少女に話し掛けていた……
どうにかして引き留めようと、今町娘たちに人気のカフェに連れ込んだ。『当店自慢の』と冠してあればハズレはないだろう、とケーキセットを適当に頼んだ。
平民だからケーキをあまり食べられないのだろうと思っていたが、話を聞くうちに彼女は子爵令嬢だということがわかり、なにかワケありだと直感した。
ーーーーーなるほど、父の後妻母娘にコキ使われているといった感じか。反りが合わなくて家庭内冷戦、というのはよく小耳に挟むが、ここまで酷いのは初めてだ。
「君はそんな扱いを受けて、悲しくないのかい?」
単純な疑問だった。でも彼女は
「確かに悲しいわ。だけど、私の亡くなった本当の母が言っていたの。どんなに辛いことがあっても笑顔を忘れない、ってね」
と微笑みながら言った。
僕は、その笑顔が本当に綺麗だと思った。
帰り際、週に1度は市場に来るとの情報を得たので、つい舞い上がって手を振って見送ってしまった。小さく手を振り返したレラはとても可愛いかった。
帰城して父に「何があったんだ?」と言われるくらいニヤニヤしながら執務をしていると、ある重大なミスに気がついたーーーーーーレラのラストネームを聞いていなかったのだ。
次に会った時聞けば良いか、と自分に言い聞かせたが、その後レラに会うことはなかった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
Emerald
藍沢咲良
恋愛
教師という仕事に嫌気が差した結城美咲(ゆうき みさき)は、叔母の住む自然豊かな郊外で時々アルバイトをして生活していた。
叔母の勧めで再び教員業に戻ってみようと人材バンクに登録すると、すぐに話が来る。
自分にとっては完全に新しい場所。
しかし仕事は一度投げ出した教員業。嫌だと言っても他に出来る仕事は無い。
仕方無しに仕事復帰をする美咲。仕事帰りにカフェに寄るとそこには…。
〜main cast〜
結城美咲(Yuki Misaki)
黒瀬 悠(Kurose Haruka)
※作中の地名、団体名は架空のものです。
※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載されています。
※素敵な表紙をポリン先生に描いて頂きました。
ポリン先生の作品はこちら↓
https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911
https://www.comico.jp/challenge/comic/33031
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
盲目王子の専属侍女―― 一歩先を導く侍女と追放王子の逆転劇
チャーコ
恋愛
盲目になり、王宮から追放された第一王子ルチアーノ。
それでも彼は、美貌と誇りを失っていなかった。
彼に仕えることになったのは「手を引かない」「先回りしない」ことを選ぶ、子爵令嬢である侍女見習いだった。
ただ一歩先を示すだけ。 彼女の声と歩調は、いつの間にか王子の世界の中心になっていく。
これは、無自覚に年下王子を振り回す令嬢――専属侍女と、執着を深めていく王子が、恋と自立と逆転を積み重ねていく物語である。
※本作は複数の視覚障害当事者および関係者の体験や意見を参考にしつつ、フィクションとして執筆しています。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
※表紙絵は貴様二太郎さんに描いていただきました。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる