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本編
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西暦XXXX年、人類はそれまでの人口爆発から一転、人口激減の問題に苦しむことになる。そこで人類は、男女という2つの性に加えて、α・β・Ωの性を持つようになった。
αとは一般に何かしら顕著に優れた人物が多い性別である。例えば、容姿、成績、運動能力などに表れる。
βとは従来の男女の区別とさほど変わらない人物が多い性別である。
Ωとは一般に子を為せる性別である。男であっても、相手がαならば妊娠できる。また、発情と呼ばれる期間があり、その間Ωからは非常に強力なフェロモンが溢れ出て、理性を保てないαやβに襲われることもしばしば。望まぬ子を妊娠する問題も起こっている。
総人口のうちβが8割、αが1割強、Ωが1割弱という割合である。
そして、αとΩは「運命の番」という契約を結ぶことができる。
つがいは会った瞬間に分かると言われており、発情状態でαがΩの項を噛むことで契約が成立する。ちなみに、つがい持ちのΩは発情してもつがいのα以外にフェロモンが影響しなくなる。
……このくらいでオメガバースの説明は切り上げましょうか。
さて、私永冨雅が通う私立永冨学園は、普通科・工業科・商業科・芸術科・調理科を持つ国内最大規模の高校です。私は普通科に今年入学しました。
苗字でお気づきかと思いますが、理事長は私の祖父でございます。遠い昔永冨財閥として勢力を伸ばした後、学校教育に力を入れようとシフトチェンジして、現在このように学校経営をしているのだそうです。
さて、社長子息・令嬢や重役子息・令嬢などの皆様が集められた普通科1組に私も編成されたのですが……α率がとても高いのです。40人中5人がαで、残りは全てβ。
かくいう私もαの1人なのですが。
4月中旬の今日は部活動見学ということで、午後全て校内を自由に歩き回ることができるのです。
……それにしても、取り巻きの多いこと。
周りには同じクラスの女子5~6人がいて、一緒に体育館へ移動している。
「雅さん、体育館は1号館から5号館までありますのね!どこから参ります?」
「えぇそうね……こちらへ戻って来るのに都合が良いように回ってはどうかしら?」
「さすが雅さんですわ!そうしましょう!!」
……先程からこのように、あからさまにご機嫌をとられているのです。
小さくため息をつき、前を向いた。
広大な敷地内を見て回るのに半日で足りるだろうか、とぼんやり考えているうちに体育館の1つに着いた。
中ではバスケ部が見学用の練習をしているようで、制服(多分1年生)を着たまま練習に参加している人もいる。
ーーーーーしばらく練習を見ているが、私の周りの女子はキャッキャウフフと見学を楽しむ一方、私は曖昧に相槌をうって聞き流している。何しろ退屈だ。
バスケ部の皆様も「あれって永冨理事長の……?」とヒソヒソし始めたので、居心地が一層悪くなる。
学園理事長こと私の祖父は「私の孫娘も普通科1組に入学しましてなぁはっはっは」とじじバカを入学式で披露してくださったので好奇の目が集まっているのです。
今度おじい様にお会いした時はパンケーキをおねだりしようと思います。
「皆様、少し外の空気を吸ってきても良いかしら?」
空気感に耐えられなくなった私は取り巻きの皆様に申し出た。
「あら、大丈夫ですか?気づかなくてすみません……付き添いますわ」
「いいえ、大丈夫ですよ。ぜひ皆様はそのまま楽しんでいて。おじい様のおかげで入学前に何度か校内を見て回ったことがありますの。」
まぁ、嘘ですけれど。
「もし私が戻って来なかったとしても、皆様だけで見て回って構いませんよ。おじい様が午後呼び出すかもしれないと言っていましたので」
これも真っ赤な嘘ですけれど。
「まぁ、そうなのですね。わかりましたわ、お大事に」
取り巻きとバスケ部の先輩方からの好奇な目から逃れ、体育館の外に出た私は、校内MAPを広げた。
もちろん、校内を見て回るのは今日が初めてですから。
静かなところ…………芸術科棟なんかどうかしら。
そう考えた私は、敷地の一番端にある棟へ向かった。
αとは一般に何かしら顕著に優れた人物が多い性別である。例えば、容姿、成績、運動能力などに表れる。
βとは従来の男女の区別とさほど変わらない人物が多い性別である。
Ωとは一般に子を為せる性別である。男であっても、相手がαならば妊娠できる。また、発情と呼ばれる期間があり、その間Ωからは非常に強力なフェロモンが溢れ出て、理性を保てないαやβに襲われることもしばしば。望まぬ子を妊娠する問題も起こっている。
総人口のうちβが8割、αが1割強、Ωが1割弱という割合である。
そして、αとΩは「運命の番」という契約を結ぶことができる。
つがいは会った瞬間に分かると言われており、発情状態でαがΩの項を噛むことで契約が成立する。ちなみに、つがい持ちのΩは発情してもつがいのα以外にフェロモンが影響しなくなる。
……このくらいでオメガバースの説明は切り上げましょうか。
さて、私永冨雅が通う私立永冨学園は、普通科・工業科・商業科・芸術科・調理科を持つ国内最大規模の高校です。私は普通科に今年入学しました。
苗字でお気づきかと思いますが、理事長は私の祖父でございます。遠い昔永冨財閥として勢力を伸ばした後、学校教育に力を入れようとシフトチェンジして、現在このように学校経営をしているのだそうです。
さて、社長子息・令嬢や重役子息・令嬢などの皆様が集められた普通科1組に私も編成されたのですが……α率がとても高いのです。40人中5人がαで、残りは全てβ。
かくいう私もαの1人なのですが。
4月中旬の今日は部活動見学ということで、午後全て校内を自由に歩き回ることができるのです。
……それにしても、取り巻きの多いこと。
周りには同じクラスの女子5~6人がいて、一緒に体育館へ移動している。
「雅さん、体育館は1号館から5号館までありますのね!どこから参ります?」
「えぇそうね……こちらへ戻って来るのに都合が良いように回ってはどうかしら?」
「さすが雅さんですわ!そうしましょう!!」
……先程からこのように、あからさまにご機嫌をとられているのです。
小さくため息をつき、前を向いた。
広大な敷地内を見て回るのに半日で足りるだろうか、とぼんやり考えているうちに体育館の1つに着いた。
中ではバスケ部が見学用の練習をしているようで、制服(多分1年生)を着たまま練習に参加している人もいる。
ーーーーーしばらく練習を見ているが、私の周りの女子はキャッキャウフフと見学を楽しむ一方、私は曖昧に相槌をうって聞き流している。何しろ退屈だ。
バスケ部の皆様も「あれって永冨理事長の……?」とヒソヒソし始めたので、居心地が一層悪くなる。
学園理事長こと私の祖父は「私の孫娘も普通科1組に入学しましてなぁはっはっは」とじじバカを入学式で披露してくださったので好奇の目が集まっているのです。
今度おじい様にお会いした時はパンケーキをおねだりしようと思います。
「皆様、少し外の空気を吸ってきても良いかしら?」
空気感に耐えられなくなった私は取り巻きの皆様に申し出た。
「あら、大丈夫ですか?気づかなくてすみません……付き添いますわ」
「いいえ、大丈夫ですよ。ぜひ皆様はそのまま楽しんでいて。おじい様のおかげで入学前に何度か校内を見て回ったことがありますの。」
まぁ、嘘ですけれど。
「もし私が戻って来なかったとしても、皆様だけで見て回って構いませんよ。おじい様が午後呼び出すかもしれないと言っていましたので」
これも真っ赤な嘘ですけれど。
「まぁ、そうなのですね。わかりましたわ、お大事に」
取り巻きとバスケ部の先輩方からの好奇な目から逃れ、体育館の外に出た私は、校内MAPを広げた。
もちろん、校内を見て回るのは今日が初めてですから。
静かなところ…………芸術科棟なんかどうかしら。
そう考えた私は、敷地の一番端にある棟へ向かった。
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