腐っても女子、ですから

江上蒼羽

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この関係性は如何に?②

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コミックをバッグにそっと仕舞う。


「うん、仕事終わって次の仕事までちょっと時間あるから来てみた」

「この後また仕事?うーわ、忙しいね、相変わらず」

「まぁね」


私が畳んだ部屋着を「おっ、畳んでくれたの?サンキュー」と嬉しそうに拾った彼に、こっちも何だか嬉しくなる。


「折角来てくれたけど、冷蔵庫空なんだよね……申し訳ない」

「だと思って、牛丼テイクアウトして来た」

「マジ?さっすが。気が利くね~間宮ちゃん、神だわ」

「でしょ?」


得意気に返しながら、ご飯一緒に食べたかったんだよねぇ……と心の中でそっと呟いた。


「先にシャワーで汗流してきていい?汗だくでさ」

「どーぞどーぞ。お腹空いてるけど待ってる。温かくて美味しそうな牛丼見詰めてじっと待ってるよ」

「ははっ、急ぐよ」




シャワーの水音が聞こえてくる。

ザーッザザーッ……って音が。

私はこの音が好きだ。

この音を聞いているとホッとするから不思議。

あぁ……居るんだなぁって。



『寂しい時………まぁ、主に俺に会いたくなった時とか、俺に慰められたくなった時とか、俺の胸で泣きたくなった時はいつでもおいでよ』


そう言って、私に部屋の合鍵を渡してきた芹沢さん。


『その用途だと、この鍵使う事なさそうなんだけど』


鍵を見詰めて毒づく私に、彼は『その言い草はないでしょー』と笑う。


『ま、とにかくいつでも気軽に出入りしてくれていいから』


子供みたいな笑顔が眩しくて、すぐに視線を逸らしたのを覚えている。

彼が合鍵なんて大事な物を私に渡してきた目的は良く分からないけれど、素直に甘えさせて貰う事にした。

一人ぼっちの家に帰るのが堪らなく辛い時が稀にあるから。

最近はその稀も頻繁になって来ているけれども。



「ゴメンゴメン、お待たせ~」


濡れた髪をタオルで乱暴に拭きながら、部屋着姿の彼がテーブルを挟んで向かい側に座る。


「五分待った」

「マジか。レディーを待たせるなんて野郎失格だ」


ふざけた事を言いながら、二人で同時に牛丼の容器の蓋を開け、同時に両手を合わせる。


「いただきます」
「いただきます」


同時に声まで発した位にして。

このシンクロ率に、同時に吹き出す。

私はこの瞬間も好きだったりする。


「今日の試合どうだった?」


私の質問に彼の動きが止まる。


「うぇ……それ聞いちゃう?」

「うん…………て事は、負けたんだ?」

「あ、はは……ボロ負け。パスが上手く繋がらなくてさぁ…」


彼の趣味はフットサル。

親しい仲間とチームを結成していて、俳優業の合間に練習に出掛けたり、同じアマチュアチームとの試合があったりで結構忙しい。

プレーしている姿を見た事ないから、どれ程の腕前なのかは分かりかねるけれど。


「間宮ちゃんが応援してくれればもっと頑張れたんだけどな」

「してたよ。仕事しながら心の中で」

「マジ?伝わらなかったなぁ」

「それは残念」

「やっぱさ、応援に来て欲しいなぁ。間宮ちゃんが応援席に居るのと居ないのとじゃ気合いの入りが違うと思うんだよね」


人懐っこく笑いながら彼は私の顔を覗き込んでくる。


「行けたらね」

「行けたらねって………それ、来る気ナシっしょ?」

「あるある。行きたいよ。でも仕事だとどうしても………ねぇ?」


フットサルのルールなんて全然知らないけど、芹沢さんの活躍する姿は観たいと思ってる。


「来るならチアガールの格好で頼むよ。ボンボン持って」

「なら行かない」

「じゃ、プラカード持ってバニーガール」

「一生行かない」


冗談と分かっているから辛辣に返せる。

芹沢さんは「厳しいな」と苦笑した。
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