腐っても女子、ですから

江上蒼羽

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まんぼうライダーは不滅です④

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甘ったるい二人を見ていた所為で、私も早く甘さに浸りたくなった。


「ぶつかり稽古が待ってるんで」


ニッコリ笑って言うと、私以外の三人は不思議そうに目をパチパチさせた。


「え………間宮、お相撲でも習い始めたの?」


中でも一番キョトンとしていた相方がぶつけてきた疑問に対し「まぁね」とテキトーに返す。


「それじゃ、私はこれにて失礼。森川……おめでとう、体大事にしてね」

「間宮………ありがとう…」


柔らかく微笑む森川に満足し、今度は忍足さんへと視線を向ける。


「忍足さん、私の大切な相方をよろしくお願いしますね。泣かせたりしたら承知しないから」


森川の時とは違う、やや強めの口調。

挑発したつもりはないけれど、若干それに近い物言いになってしまった。

これまた忍足さんは「当然だよ」と私に向かって挑発的に微笑む。


「間宮さんこそ、芹沢の事よろしく頼むね。アイツ、明るい元気キャラ気取ってるけど、案外弱いから……」


芹沢さんの友人として「しっかり支えてあげて欲しい」と頭を下げる忍足さんに、私は彼の言葉をそっくりそのままお返しする。


「当然でしょ?鋼の支柱で四方八方から支えまくるから」


忍足さんは、私の答えに吹き出しながら「それは頼もしい」と称えた。




「それじゃ、お幸せに~」


軽い挨拶を残して相方の部屋を出た。

それからすぐに向かうのは、ほんの数時間前まで一緒に居たあの人の元。

相方の幸せを見せつけられた所為で、会いたい気持ちに拍車が掛かった。

私もあんな風に好きな人に包まれたい、満たされたい……って。

だからか知らないけれど、歩く速度がいつもの倍。

なのに、そんな時に限って……





「…………寝てんじゃん…」


ベッドの上で気持ち良さそうに熟睡中の芹沢氏。

部屋の時計を見れば深夜2時だから仕方がないといっちゃ仕方がない。

日中、私に連れ回されて疲れたんだと思う。

それにしたって…


「布団くらい掛けなよ。電気もつけっぱだし…」


肌掛け一枚も掛けずに横たわっているから困ったもの。


「風邪引くよ」


手の掛かる大きな子供だな……と思いながら布団を掛けてやると、芹沢さんが薄く目を開ける。


「……あぁ………おつ~…」


私の事を認識したらしい芹沢さんは、気怠そうに腕を持ち上げた。


「疲れたっしょ?一緒に寝るべ」

「………」


おいでおいで……と手招きする芹沢さん。


「………スカート皺になっちゃうし…」


私が渋ると、芹沢さんは部屋の隅で山を作っている洗濯済みらしき衣類を指差し「ジャージ」と一言。


「あぁ……貸してくれるの?じゃあ、遠慮なく…」


とは言いつつ、何か違うくない?と首を捻る。

まぁ、でも折角だし………等と、ブツブツ呟きながら、ブカブカのジャージに履き替え、ついでにこれまたブカブカのTシャツを拝借。


「じゃあ………失礼しまーす…」


部屋の明かりを消し、遠慮がちに狭いシングルベッドにお呼ばれされると、至近距離にはお眠な芹沢さんの顔。


「……キレイな目鼻立ちしてるよねぇ」


眠りに落ちる寸前の芹沢さんに言うと、彼は「ん?」とまた薄く目を開く。


「忍足さんより断然格好良いと思うんだけどなー…」


個人的な感想だから、賛否はあるかもしれないけれど、私としては断然芹沢派。


「まぁ今は塩顔ブームだし仕方ないけど、芹沢さんより忍足さんのが人気ってのが腑に落ちないんだよなぁ…」


目の前の人物の顔を繁々と眺めながら独り言を言っていると、芹沢さんが笑いを含ませて「何言ってんの」と。


「てか、何でおっしーが出てくんの?」


芹沢さんは、仰向け状態から私側に体を向ける。

それに合わせて私も仰向けから彼の方に体を向けた。


「さっき忍足さんに会ってきたから」

「………へ?どゆこと?」
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