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衝撃的オチ③
しおりを挟む最早、立っている事すら苦痛に感じて仕方がない。
膝がガクッと崩れそうなのを精一杯堪えている状態。
この場に立っている事が奇跡になりそうなくらい、メンタルが肉体にも大きな影響を与え始めている。
プライドはズタズタ。
ブスだの間宮の引き立て役だの、面白くないだの……散々弄られてきた。
飛べと言われたら、高い所からゴムヒモつけて飛び降りた。
食べろと言われれば、見ただけで吐けてしまえそうなくらいグロテスクな下手物料理も口にして来た。
笑いを取る為なら、歯を食い縛った。
今まで、どんなに理不尽な扱いを受けても、仕事だからと割り切ってこれたけれど……
今回のは、本気でキツい。
今、私の涙腺には、いつ流れ出ても良いように大量の涙がスタンバっている。
いっそ、この場で泣き崩れようか?
子供みたいに、泣いて喚こうか?
自棄になって暴れようか?
自分の中で湧き出た感情。
それに、辛うじて残っている理性が働き掛ける。
ここは、感情に任せるべきじゃないと。
私の為に……このオチの為に、多くの人間が動いている。
番組を面白くさせる為に、番組製作者達が必死で作り上げたものを、私のちっぽけなプライドと薄汚い涙で壊す訳にはいかない。
ここは、芸人としての意地を見せるべきだ。
本音を言えば、悔しい、悲しい、いっそ消えてしまいたい、だけれど……
目の前に居るチャラチャラした見た目の先輩芸人のお陰で、私はドン底から再浮上出来た。
最終的にドッキリというオチで終わったものの、売名のお陰で甘い汁を啜れたし、今後も暫くその恩恵は続くと予想も出来る。
下手したら、ドッキリが公になれば、更なる飛躍に繋がる可能性もあるし。
この企画がなければ、私はずっと自称お笑い芸人の一般人のまま。
だから、どんなにタコ殴りにしてやりたい程腹が立っても、フトシには感謝するべきなのだろう。
それと、もう一人……彼にも。
「………忍足さん」
覚束ない足取りで彼の前に立つ。
そして、私より背の高い彼を鋭く睨み上げた。
「とんだクズ男だなぁ、おいっ!!」
腹の底から思いっ切り声を張り上げる。
「乙女心をズタズタにした嘘つき男!この悪党!」
驚く彼の前に、彼の為に用意したチョコの箱を差し出す。
「一箱2500円(税抜き)の本命高級チョコ………たった今、義理チョコへと変わりました!!」
言いながら箱を地面に強く叩き付けた。
「よーく、味わえ!このペテン師めっ!」
我ながら、良いキレっぷりだったと思う。
キレ芸を生業とする芸人も真っ青になるんじゃないかってくらい。
鼻息を荒くする私に、リアクションに迷う忍足さん以外は大ウケ。
幾分心がスッとした私は、ヘラヘラ笑っているフトシに聞く。
「これ………いつ放送ですか?」
「この後、大急ぎで編集して、明後日のバレンタイン当日に放送するよ」
彼からの答えを受けて、今度はスタッフ達に睨みを利かせた。
「私が視聴者に印象良く見えるよう、全力で編集して下さい」
それから、忍足さんを指差してカメラ目線を決める。
「この人が極悪人に見えるよう、上手い事編集しといて下さい!」
ズキズキ痛む心を押さえ付けて、開き直ったように振る舞う自分に、女芸人として100点満点の評価をあげたい。
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