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真相判明③
しおりを挟む「森川の話が全部本当なら、忍足くんも随分大胆な行動するよね」
「確かに……森川とLINEしてた携帯はフトシが管理してた訳やから……タイミング次第では、ドッキリ自体が森川にバレる可能性もあった訳やし…」
「まぁね……目的は分からないけど」
私をおいてけぼりに、フトシとカズが話し込む。
「迂闊だったな……」
「その日、俺等、特番の収録で長時間拘束されてたしな。ろくに携帯も構えんかったし」
フトシが「うーん…」と唸りながら腕を組んだ。
「いずれにせよ、俺等に内緒で、忍足くんが独断で動いていたとなると……これは由々しき問題と捉えて良いですよね?室さん」
フトシがスタジオ端の壁に寄り掛かっているに男性に向かって言う。
「どうします?取り敢えず、この場は一旦収録中止っつー事で良いですか?」
室さんと呼ばれた、番組プロデューサーの室田さんが大きく頷く。
「別のコーナーに差し替えて放送するしかないだろうな……森川との事が事実なら、彼の事務所が放送を許さないだろう」
「………ですね。事務所の看板になりつつある俳優のスキャンダルなんか放送されたくないだろうし。下手すりゃ訴えられ兼ねない」
室田さんが渋い表情のまま、溜め息と共に吐き出す。
「女芸人とのキスが笑いに出来ない程、彼は有名になり過ぎた。視聴率は惜しいけど……仕方がない」
忍足さんと芹沢さんの舞台を観に行った日……
ホンコンシューズの二人は、あの日の事について、何一つ知らないと首を振った。
番組サイドも関与を強く否定している。
つまりは、あの日のデートは、完全プライベートなものだったという事になる。
となれば、芹沢さんがドッキリを知らなかった事も、芹沢さんとのスクープを受けての川瀬さんの反応にも納得がいく。
そして、何よりも、忍足さんが人目を避けるように私を呼び出した事や、座長の鷹林さんからの飲みの誘いに戸惑っていたのにも説明がつく。
だとしても、何の為に……?
「悪いけど、今回の出演はキャンセルで」
番組の存続が危ぶまれるような危険な橋を渡りたくないらしい、フトシと室田プロデューサー。
この収録をなかった事とするようだ。
「これで終了って事で」
室田プロデューサーの言葉に、脇で控えていた川瀬さんが前に出てくる。
「キャンセルはキャンセルで構いませんが、忙しいスケジュールの合間を縫って収録に参加した訳ですから、ギャラは支払って頂けますよね?」
「放送出来なくなった以上、払えませんよ」
「全額とはいかなくても、多少なり発生すると思いますが」
「いや、ですがね……」
えげつないギャラ交渉が繰り広げられている中、スタジオ内のスタッフ達が機材の片付け作業を進めていく。
忍足さんとの、車中キス……
演技でなかったというのなら、あれは一体何だったのだろう……?
「すみません、忍足さんの事務所に問い合わせてみたんですが、事務所側は知らないの一点張りで……」
息を切らして戻って来た若手ADが、呼吸を整えながら仕入れた情報を明かす。
「それどころか、所属タレントのオフの事まで把握している筈ないだろって、逆に切れられちゃいまして…」
腑に落ちないといった表情のフトシ。
「二人が観覧した舞台関係者への問い合わせは?」
「はい、してみました。けど、こっちも口が固く………何でも、忍足さんから口止めされているようです。本人とも連絡がつきません」
ADからの報告を受け、カズが「そういえば……」と、声を挙げる。
「忍足くん、番宣でこの局内ウロウロしてたな……この収録前にも見掛けたで」
「じゃあ、まだ局内に……探してきまーー…」
カズの言葉でいち早く動き出したのは、若手のADではなく……
「え……」
「ちょっ……」
………この私だ。
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