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相方の想い⑤
しおりを挟む「自分が楽になりたいが為に、間宮の気持ちを考えずに、コンビを解消したいだなんて身勝手な事を言ってしまいました」
私は、何て大馬鹿者なのだろう…
いつだって、私は自分の事ばかりだ。
間宮の気持ちなんて、ちっとも考えていなかった。
コンビを組んで6年。
相方であり、親友でもあり、実の親以上に私を理解してくれているであろう存在の間宮。
彼女の気持ちを蔑ろにしていた自分が恥ずかしい。
「間宮に謝んなきゃ……」
そう口にしながら思う。
今の私が出来る相方への最大の罪滅ぼしは、彼女が作ってくれたチャンスを最大限に活かす事なんじゃないかと。
そして
『もっと素直にならないと損するよ?』
間宮との電話で言われた、彼女からの言葉。
この言葉の通り、素直になる事なんじゃないかって。
間宮と忍足さんの報道が誤解と分かり、安心した自分。
いくら私が大馬鹿者でも、それが何を意味しているのかが分からない程、鈍感ではない。
嫌いだ嫌いだって言っていたのは、ただ自分に暗示を掛けていただけ。
二度と傷付きたくないから、ずっと臭いものに蓋をするように、自分の本当の気持ちに知らないフリ、気が付かないフリを貫いていただけ。
散々忍足さんの事を突っぱねて拒んでおきながら、彼が他の誰かの方を見たら見たで気に食わない。
自分の我儘さには、呆れてしまう。
今回の報道がキッカケで発生し、胸の中に滞留していたへどろの正体。
それが、ただの醜い嫉妬だったと、ここへ来て漸く受け入れられた。
自分の気持ちを認めるまでに、かなりの時差を要した事に、笑いが込み上げてくる。
「馬鹿、みたいだ……」
譫言みたく呟いた私に「……素良?」と優しく反応してくれた忍足さん。
その声が、体と心に浸透する。
まるで、高熱時のポカリみたいに、スーっと心地好く染み込んでいく。
「………ちょっとすみません」
一言断りを入れ、忍足さんの腕からすり抜けた。
それから、高速でティッシュを数枚引き抜き、涙と鼻水で濡れた顔をキレイにする。
グシャッと丸めたティッシュを拳の中に収めたまま、背を向けていた忍足さんと向かい合えるように体の向きを変えた。
脚を正座の形に整え、背筋まで伸ばす私を黒いフレームの眼鏡の奥から不思議そうに眺めている忍足さん。
彼の視線に、一旦は怯み、目を逸らしたものの……
大切な相方、間宮の顔が浮かんだら、腹が据わった。
「お、忍足 慧史さん………」
緊張で声が震える。
ついでに、肩も腕も。
歯もカチカチ言わせたぐらいにして。
「わ、私は………貴方が好きです…」
相方から自分に素直になる勇気を貰った今の私は、最強なんだと信じたい。
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