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甘い余熱と余韻①
しおりを挟むとても不思議な気持ちだ……と、見慣れない天井をぼんやり眺めながら思った。
「………大丈夫?」
心配そうに私の顔を覗き込んでくる忍足さん。
「だ、大丈夫です……」
まともに目線を合わせられず、彼の緩く開いた口元を見ながら答えた。
「素良」
忍足さんの腕が背中に回され、そのまま彼の方へと引き寄せられる。
まだ余韻冷めやらぬ熱を保持している彼の胸に顔を埋めると、また体が熱を帯びてきた。
火照る体に残る鈍い痛み。
彼に全てを捧げたんだという実感が、体全体に込み上げてくる。
「あ、あの………」
「ん?」
少し顔を上げれば、忍足さんの喉仏が視界に入った。
それを何気なく眺めながら、ボソボソ呟く。
「次は………その……満足させますんで…」
最後まで頑張れると言ったのだけれど…
初めての痛みに戸惑う私に配慮して、途中で断念してくれた忍足さん。
彼の優しさに申し訳無く思いつつも、次こそは……という意気込みはある。
忍足さんが「ぶっ……」と吹き出した。
「それ、俺の台詞だよ」
笑いながら言った彼。
同時に、背中に回されていた腕に力が入る。
「開発し甲斐がありそう」
「か、開発ですか?!」
何やらとんでもない意味合いを含んでいそうな言葉に驚くも、深く考えない事にした。
「ちょっ………すみません…」
急に恥ずかしくなって、忍足さんから体を離す。
「素良?」
忍足さんの腕からすり抜け、布団の中から床に散らばった衣服を手探りでかき集める。
「やっぱり恥ずかしいんで、服を着させて下さい」
いくら布団にくるまっているとはいえ、いつまでも生まれた時のままの格好でいるのは私的に無理。
自信を持てるキレイな体ではないから余計に。
「はは、何を今更……」
「いやいや、今更も何も………見苦しいものをいつまでも晒している訳にはいかないんで」
だるだるの二の腕とか、少し肉付いている腰回りとか……
良く良く見れば分かってしまう繕い部分は、バレない内に隠すに限る。
「全然見苦しくないよ、かわいいけど?」
「いや、そんな事は……」
忍足さんの優しいフォローにきゅんと高鳴る胸。
しかしながら……
「素良の下着が軽く食い込むくらいの肉付き………俺としては堪らなく良いんだけど…」
「え……」
「薄ーく下着の跡残ってるのも、なんか萌えたし」
「………やっぱり服着ます」
一瞬でもきゅんとした自分が愚かしい。
そして、細かい所までチェックしていた忍足さんが憎らしい。
乙女のプライド、ズタズタ。
慌てて服を纏う私に、忍足さんが柔らかく微笑みながら言う。
「そのまんまの素良が好きだよ」
「っ、」
カァッと、頬に熱が差す。
忍足さんの所為で私の気分は浮いたり、沈んだり……
彼は、私を一喜一憂させる天才だと思う。
基本、意地悪だけれども。
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