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おまけエピソード[相方間宮編④]
しおりを挟む「それじゃ、また」
「間宮、今日はありがとう。また明日ね」
食事を終えると、森川は忍足さんと共に彼のマンションへと向かった。
「森川、まったね~!」
愛想良く手を振りながら二人の背中を見送るも、虚しさと寂しさが込み上げてきて、テンションが急下降していく。
「あーあ……相方、王子様に連れ去られちゃった…」
「あっはは……間宮ちゃんってば、おっしーに妬いてんの?」
小さく溜め息を吐く私の肩を叩く芹沢さん。
「はい、相方を取られたようで寂しくて……最近、付き合ってた人と別れちゃったから余計かな…」
言うつもりなかったけど、うっかり口を滑らせてしまった本音に、芹沢さんの眉が下がった。
………のは一瞬で、すぐに彼はニカッと歯を見せる。
「間宮ちゃん……良かったら、これから飲み直さない?」
思わぬ提案に驚いたものの…
「いいですね、それ」
二つ返事で了承した。
川瀬さんに知られたら「軽率な行動は慎みなさい!」なんて、厳しく叱られるんだろうけど、今はそんな事はどうでもいい。
心にぽっかりと空いた空洞を一時的にでもいいから埋めたいというか…
モヤつく気分を紛らわせたいというか…
とにかく、このまま一人で過ごすのは嫌だった。
さっきまで賑かだったから余計に。
「芹沢さんは、特定の人作らないんですか?」
芹沢さん御用達の店に着いて、二度目の乾杯を済ませてから、何気なく聞いてみる。
「モテそうなのに、彼女いないって……あ!実は、私が大好きなパターンですか?だとしたら、すっごいよだれ物」
芹沢さんが同性が好きなタイプだとしたら、かなり美味しい。
でも、彼は「いんや」と首を左右に振る。
「これといって、興味のそそるコと出会えなかったんだよね」
残念な返答にガッカリ。
「因みに、どういうのがお好みです?」
芹沢さんは、どこか宙を見ながら「そうだなぁ」と呟いた後、すぐに柔らかく微笑む。
「友達を大切にするコって、好感持てる。間宮ちゃんみたいな」
「え………あはは、まーた、面白い冗談を」
明らかなサービストークだと分かっていても、悪い気はしない。
「まぁ、俺の事はさて置き……間宮ちゃんは、何で彼氏と別れちゃったの?」
「っ、」
触れられたくない話題を振られ、忽ち胸が痛くなる。
「順調そうだったのに」
グラスを煽ると、強めのアルコールが喉を焼く。
「まぁ……憧れは憧れに留めておいた方がいいって事です。付き合いが深くなればなる程、何かが違うなって思い始めて…」
「ふぅん…」
「私の趣味にも理解を示してくれているような振りして、内心馬鹿にしていたみたいですから」
二次元に携わる仕事をしている人だから、私の趣味を理解してくれると思ったのに……
過去にBL作品の声を当てた事もあったみたいなのに…
「気持ち悪い、なんて言われたら……百年の恋も覚めてしまいますよ」
お陰で彼の声含め、大好きなキャラクターも嫌いになった。
「あははっ、終わった事です」
わざと明るく言ってみせ、芹沢さんの笑いを誘おうとしたけど、彼は笑顔を作るどころか無表情。
「やっぱ、二次元がいいです。二次元は裏切らないので。現実の男なんて……」
おかしい……
笑いながら語っている筈なのに、目から何かが落ちてくる。
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