むっちゃんとお星様の涙

江上蒼羽

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むっちゃんとお星様の涙【2】

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むっちゃんが住む街は、沢山のお店があります。



コンビニや夜遅くまでやっているスーパー。


カラオケ屋さんや、大人がお酒を飲みに行くお店も。



赤やピンクや青、黄色……



いろんな色にキラキラ光る看板もあちこちにあります。



夜になっても街はとても明るく賑やかです。



むっちゃんは、お布団に入る前に、窓の外を眺めます。



お店の電気や看板の光りがキラキラしていて、とてもキレイだからです。



まるで宝石のよう。





「りりちゃん、きれいだねぇ~」


「にゃー」





飼い猫のりりと街の夜景を見ていたむっちゃんは、ある事に気が付きました。



お空には、真ん丸お月様が浮かんでいます。



なのに、周りに居る筈のお星様が見当たりません。



ひとっつも。




次の日、またその次の日も、むっちゃんはりりとお空を見上げました。



けれども、お星様は現れません。




「どうしておほしさまはいないのかなぁ?」


「にゃー…」





むっちゃんは、お星様のいない寂しいお空を見上げながら、悲しそうに溜め息を吐きました。


と、その時です。



遠いお空がキラリ……と、一度眩しく光りました。



そして、すぐにシューっと、むっちゃんとりりの元に弱々しい光を放ちながら落ちてきました。




「わ……なになになに~?」


「にゃにゃにゃ~?」




目をぱちくりさせるむっちゃんとりりの前に現れたのは、小さなお星様でした。



むっちゃんとりりは、突然現れたお星様にビックリ。



ところが、お星様は、悲しそうにしょんぼり俯いています。





「こ、こんばんは」





むっちゃんは、お星様に声を掛けてみました。



ちょっぴりドキドキです。



お星様は、 お顔を下に向けたまま言います。





「………こんばんは」


「おそらからきたの?」





むっちゃんの質問に、お星様はコクリと頷きました。





「あのね、ぼく、むっちゃん。このにゃんこちゃんは、りりっていうの」





むっちゃんが言うと、りりが隣で「にゃー」とご挨拶。




「あなたのおなまえは?」





むっちゃんが聞くと、お星様は小さな声で答えます。





「ぼく、キララ………星の子なんだ…」





星の子のキララが顔を上げると、その円らなお目々には涙が溜まっています。



今にも零れ落ちそうです。

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