むっちゃんとお星様の涙

江上蒼羽

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むっちゃんとお星様の涙【3】

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「どうしたの?」





むっちゃんが、涙の理由を聞きました。



すると、キララは口を尖らせながら言います。





「………だって、明るいじゃないか…」





むっちゃんは、首を傾げました。





「あかるい?もうよるだよ」





時計の針は、夜の8時を示しています。



昼間にピカピカ照らしていたお日様はいません。



お家に帰ったお日様に代わってお月様がプカプカ浮かんでいます。



当然、お空は真っ暗。



不思議がるむっちゃんの前で、キララは首を左右振ります。





「ううん………明るいよ」


「あかるい?よるなのに?」





むっちゃんは、訳が分からず「う~ん…」と、頭を抱えてしまいました。





「見てごらん」





キララは、むっちゃんに街の方を見るように言いました。



街は、沢山の明かりが灯り、夜でも明るく賑やかです。


それを見て、キララは力一杯叫びます。





「こんなの………夜じゃないっ!!」





その時、キララの目から、大粒の涙が零れ落ちました。



ポロポロ、ポロポロと。


止まる事なく溢れ出るキララの涙は、むっちゃんの心を悲しくさせました。





「こんなに街が明るいんじゃ、ボクたちがお空から照らしている意味がないじゃないか!」


「キララくん……」


「誰もボクたちの光のダンスなんて見やしない!ボクたちなんかいなくたって誰も悲しまないんだ!」





むっちゃんは、お部屋からティッシュを持ってきて、キララの涙を拭いてあげました。




「そんなことないよ」





キララの涙は、拭いても拭いても止まりません。





「ぼくは、おそらにおほしがないとさびしいな。りりちゃんもいっしょのきもちだよ」





むっちゃんが言うと、りりも「にゃん」と鳴きました。





「ぼく、おほしさまのすてきなダンスがみたいなぁ」




キララは、プイッとそっぽを向きました。





「こんな明るい景色の上でなんか踊らないもん」





そして、そのままお空へと帰ってしまいました。



残されたむっちゃんとりりは、しょんぼり暗い顔。



明るいのは、窓から見える景色だけ。



どうやら、街が眠りを忘れてしまったので、お星様は拗ねてしまったようです。

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