むっちゃんとお星様の涙

江上蒼羽

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むっちゃんとお星様の涙【5】

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むっちゃんは、お部屋の隅にあるお道具箱の中をガサゴソ……





「……にゃにゃん?」





それを不思議そうに見守るりり。





「みーっけ!」





ニコニコ顔のむっちゃんの手には、黒のクレヨンが握られていました。



むっちゃんは「よぉ~し!」と、気合いを入れて、窓の前に立ちました。



「にゃん?」





りりが小さな声で鳴きました。



むっちゃん、何をするの?と言いたげです。





「きょうは、もうおみせは“へいてん”で~す」





むっちゃんは、突然、黒のクレヨンで窓の景色を塗り潰しました。



ぐるぐる、くるくる。





「みーんな、でんきをけしてネンネだよ」




むっちゃんのクレヨンが半分になると、街の明かりがなくなり、辺り一面真っ暗になりました。



街の明かりがない分、今日はいつもよりお月様が明るく見えます。



むっちゃんは、お空に向かって叫びました。





「おーい!キララくーん!ダンスみせてー!」





りりも一緒にお願いします。





「にゃにゃ~ん」




むっちゃんとりりのお願いが届いたのでしょうか?



遠くのお空でキラリと光りました。





「あ、おほしさま!」





また遠くのお空でキラリ。



あっちのお空でもキラリ。



こっちのお空でもキラリ。



向こうのお空でもキラリ。



次から次へと、お星様が現れます。


やがて、むっちゃんが作った特別なお空のステージにお星様が沢山集まりました。



その中の一つ…



星の子のキララが言います。





「よぉーし、みんなー!ボクたちのとっておきのダンスを見せるぞー!」





キララの合図で、素敵なショーが始まりました。




「うわぁ~…」


「にゃ~…」





シューシュー流れたり、キラキラ光ったり………



お月様の周りで、沢山のお星様が楽しそうに踊っています。





「きれいだね、りりちゃん」


「にゃん~」
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