むっちゃんと不思議なクレヨン

江上蒼羽

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むっちゃんと不思議なクレヨン【5】

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意地悪な風に飛ばされたむっちゃんとりり。


今度は真っ暗な場所にやって来ました。




「なんにもみえないねぇ……こわいねぇ…」


「みゃう……」




暗い所が怖いむっちゃんは、今にも泣き出してしまいそうです。


そこへ、小さな明かりを持ったお姉さんが駆け寄ってきました。




「あらあら、どうしたの?」


「くらくてこわいよぉ」




お姉さんはむっちゃんのほっぺたをそっと撫でながら言います。




「この街が真っ暗なのは、今が夜だからだよ」




むっちゃんは、お姉さんの優しい声に、怖い気持ちがなくなりました。


お空を見上げたむっちゃんは、夜のお空にある筈のものがない事に気が付きました。




「よるなのに、おつきさまとおほしさまがいないねぇ…」


「え……おつき、さま?おほしさま…?」




お姉さんは、不思議そうに首を傾げます。


むっちゃんは、ポッケから黄色のクレヨンを取り出し、握り締めました。




「おねえちゃん、みててね」




真っ暗なお空に向かって手を伸ばしたむっちゃんは、幼稚園で教わったきらきら星を歌いながらお手々を動かします。




むっちゃんがきらきら星を歌い終わる頃、お空にお月様と沢山のお星様が浮かび上がりました。




「わぁ………」




驚いたお姉さんが、持っていた小さな明かりを落としました。


お空にゆったりと浮かぶお月様と、きらりと瞬くお星様。


二つの柔らかな光が、辺りを明るく照らしてくれています。




「何て明るい光なんだろう……」




お空を見上げるお姉さんの横顔は、とても嬉しそうです。


お姉さんの嬉しそうな姿に、むっちゃんも嬉しくなりました。


むっちゃんの嬉しそうな姿に、りりも嬉しそうに「みゃう」と鳴きました。


と、そこへ、またまた……


今度は、飛びっきり大きな風がビュワワッと吹きました。




「わぁ~またぁ~」


「にゃあぁぁ~」

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