恋は媚薬が連れてくる

月咲やまな

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本編

【第13話】伝えたい気持ち④

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 宗一郎の後に続いて車の駐車してある場所まで行き、みどりが助手席に乗り込む。毎週末乗っており、もう誘導はいらないので黙ったままシートベルトをして、膝に荷物を載せた。
 いつもだったらすぐに家に向って発車するのだが、今日は宗一郎がハンドルに軽くもたれかかったまま、エンジンもかけない。
 どうしたんだろう?と思いながら、みどりがチラッと宗一郎の方を見ると、何かを考えているような顔をしている。
(…… えっと。これは私のせい、かな?)
 ちょっと心配になり「どうかしましたか?」とみどりが声をかけた。
「ーん?…… 何でもないよ、ごめん」
 ハンドルから体を離し、エンジンをかけ車を発進させる。すっかり通い慣れた道を、宗一郎は慎重に走り始めた。

       ◇

 五分くらい互いに沈黙状態のまま走ったと思う。

 宗一郎とまで険悪になっているはずではないのに、何かしゃべりにくい雰囲気がある。車内の空気が非常に重く、無駄な話なんかで破っていい沈黙でもなさそうな感じでなかなか声をかけにくい。
 そんな室内の空気にちょっと困っていると「ごめんね、重いよね黙ったままでいるのって」と宗一郎がみどりの方をチラッと見て言った。
 走行中だった為、すぐに視線は前に戻ったが、一瞬見えた表情は少し悲しそうにも感じられた。
(宗一郎さんは無関係なのに、何で悲しそうな顔するんだろう?)
 気にはなるが、訊ねて答えてくれるとも思えないので、疑問は自分の胸の中に留める事にした。


 また少し沈黙が続き、みどりの住むマンションが遠くに見えた頃、宗一郎が意を決したかのような声で「みどりさん」と名前を呼んだ。
 ちょっとビックリしながらも、みどりが宗一郎の方を向いて返事をする。
「なんでしょう?」
「これからって、すぐに帰らなくても平気?」
 今まで送ってもらった時にどこかへ寄って帰るという事が一度もなかったので、今日に限って何故?と一瞬戸惑ったが、すぐに誘ってもらえた嬉しさの方が上になり「大丈夫ですよ」と返事をした。
「どこか寄るんですか?」
「みどりさんはさ、高い所は平気?」
「絶叫系は…… ちょっと怖いですが、高所恐怖症ではないですよ」
「そっかそっか、了解。んじゃちょっと付き合ってもらおうかな」
 ニコッと優しく微笑みながらそう言い、みどりの住むマンションから車を走らせ始めたのだった。
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