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本編
【第9話】品定め
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「滝さーん、どうしたんです?お知合いで?」
みどりとほんわかムードで話す宗一郎の後ろから、スーツ姿の女性が小走りで近づいてきた。
彼女へ向かい宗一郎が「ああ」と、素っ気ない返事をする。
女性はみどりを上から下へと無遠慮に品定めでもするかのような顔でスーツの女性が見詰める。そして、小馬鹿にした様な顔でクスッと小さく笑うと、彼女は勝ち誇った様な表情になった。
「初めましてぇ。私、滝さんと同じ職場で働いている杉野といいます。どうぞよろしく」
そう言って、杉野があざとく小首を傾げた。
その様子にカチンときたみどりは、一瞬眉間にシワがよったが、すぐに表情を戻し一礼した。
まだ勝ち誇ったような笑い顔をたたえる杉野の顔は、『私の勝ね』と思っているのが分かるくらいに感情がハッキリ出ている。何をどう勝った気でいるのか想像つかないが、どうやら彼女も宗一郎に対して好意を持っていて、長い時間一緒に居られる立場であるという事はみどりにもわかった。
でも、何故彼女に私を紹介はしないのだろう?
私からした方がいいのだろうか?
そうみどりが気にしていると、それを察した宗一郎が、彼女の頭にポンッと手をのせてきた。
触れられた部分から、宗一郎の温もりを感じ、みどりの心が少しだけ和む。ゆっくりと撫でられ、気持ちがいい。少しだけ、体の芯が熱くなるような感覚がわき、口を軽く結んだ。その様子に宗一郎が優しく微笑む。
「アルバイト、頑張ってね。また金曜を楽しみにしているから」と言うと、最後まで杉野にみどりを紹介する事無く、彼は手を振って立ち去ってしまった。
「待って、滝さーんっ」
わざとらしい変な猫撫で声を出しながら杉野がそう言い、宗一郎の後をついて行く。チラッとみどりの方を振り返ったと思うと、彼女はキッと鋭い目でみどりを睨みつけた。
『頭触ってもらったくらいで調子にのらない事ね!』
口に出して言われてはいないが、その視線は確かにみどりへ対してそう語っていた。
一人公園に残された、みどり。ほんの数分の出来事に、少しだけ心が掻き乱されてしまった。
偶然宗一郎に会えた嬉しさと、一緒にいた杉野への困惑。触れられた頭に微かに残る温もりと、彼女の鋭い視線。入り混じった気持ちが重くのしかかる。
(何?あの人…… 。『彼は私のモノよ』って感じがすごかったけど)
同僚である事は彼女の発言から分かってはいるのだが、彼女の態度が癇に障ってしょうがない。滝と付き合っているわけではないので、そう感じてしまうのは彼に対して迷惑な話でしかないのだろうが、それでもみどりは心にもやもやと言葉に表現出来ぬものを感じた。
(…… 私は、紹介すらしてもらえなかった)
その事も気になってしょうがない。
杉野に名乗られた時、自分から名乗るべきだったんだろうか?とも一瞬思ったが、彼女の横柄な態度がみどりにそうさせる気を削いだ。
(まぁ、どうせもう会わないだろうし…… もう考えないようにしよう!)
考えを切り替え、バイト先に向かい歩き出す。
だがこの日は、ふとした瞬間にあの見定めるような目付きと、勝ち誇った顔を思い出してしまい、まともに仕事が出来なかった。
みどりとほんわかムードで話す宗一郎の後ろから、スーツ姿の女性が小走りで近づいてきた。
彼女へ向かい宗一郎が「ああ」と、素っ気ない返事をする。
女性はみどりを上から下へと無遠慮に品定めでもするかのような顔でスーツの女性が見詰める。そして、小馬鹿にした様な顔でクスッと小さく笑うと、彼女は勝ち誇った様な表情になった。
「初めましてぇ。私、滝さんと同じ職場で働いている杉野といいます。どうぞよろしく」
そう言って、杉野があざとく小首を傾げた。
その様子にカチンときたみどりは、一瞬眉間にシワがよったが、すぐに表情を戻し一礼した。
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でも、何故彼女に私を紹介はしないのだろう?
私からした方がいいのだろうか?
そうみどりが気にしていると、それを察した宗一郎が、彼女の頭にポンッと手をのせてきた。
触れられた部分から、宗一郎の温もりを感じ、みどりの心が少しだけ和む。ゆっくりと撫でられ、気持ちがいい。少しだけ、体の芯が熱くなるような感覚がわき、口を軽く結んだ。その様子に宗一郎が優しく微笑む。
「アルバイト、頑張ってね。また金曜を楽しみにしているから」と言うと、最後まで杉野にみどりを紹介する事無く、彼は手を振って立ち去ってしまった。
「待って、滝さーんっ」
わざとらしい変な猫撫で声を出しながら杉野がそう言い、宗一郎の後をついて行く。チラッとみどりの方を振り返ったと思うと、彼女はキッと鋭い目でみどりを睨みつけた。
『頭触ってもらったくらいで調子にのらない事ね!』
口に出して言われてはいないが、その視線は確かにみどりへ対してそう語っていた。
一人公園に残された、みどり。ほんの数分の出来事に、少しだけ心が掻き乱されてしまった。
偶然宗一郎に会えた嬉しさと、一緒にいた杉野への困惑。触れられた頭に微かに残る温もりと、彼女の鋭い視線。入り混じった気持ちが重くのしかかる。
(何?あの人…… 。『彼は私のモノよ』って感じがすごかったけど)
同僚である事は彼女の発言から分かってはいるのだが、彼女の態度が癇に障ってしょうがない。滝と付き合っているわけではないので、そう感じてしまうのは彼に対して迷惑な話でしかないのだろうが、それでもみどりは心にもやもやと言葉に表現出来ぬものを感じた。
(…… 私は、紹介すらしてもらえなかった)
その事も気になってしょうがない。
杉野に名乗られた時、自分から名乗るべきだったんだろうか?とも一瞬思ったが、彼女の横柄な態度がみどりにそうさせる気を削いだ。
(まぁ、どうせもう会わないだろうし…… もう考えないようにしよう!)
考えを切り替え、バイト先に向かい歩き出す。
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