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【第3章】
【第2話】笑顔(弓ノ持棗・談)
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不意打ちのせいで乱れた気持ちから辛うじて持ち直し、目に付いた敵を片っ端から倒していくうちにとうとう一階層目の端っこにまで到達したみたいだ。でもぱっと見た感じではこの先にもずっと草原やら小さな森なんかがある様な雰囲気なのに半透明の壁が行手を阻んでいる。そっと壁に触れた瞬間だけ前方の空間が水面みたいに少し歪み、『この先は侵入禁止区域です!』という文字メッセージと共に警告音が鳴り響く。
「いつの間にやら結構歩いたんだねぇ、もうダンジョンの端っこか」
「そうなんですね。このダンジョンって、横には案外狭い感じなんですか?」
「いいや。ちょっとした町くらいなら余裕で丸々一個入る分くらいはあるよ。だけど、そもそもダンジョンへの入り口地点がこの階層のど真ん中にある感じじゃないから、丁度一番狭い方角に歩いて来ていたみたいだね」
「あー、成る程。って事は今の地球ってあちこちでっかい穴だらけなんですね」
「そうなるね。虫食い状態ではあるけれど、ちゃんと辻褄合わせて、実害の無い範囲にしてあるよ」
「へぇ」
(んにしても、最短距離で来た感じか。……もしかしてこれが、『妖精の加護』のおかげ、とか?)
確信の持てない事はさておきマップ画面を表示させて二人で確認する。踏破済みの地域だけが表示され、他の部分は大雑把な外輪以外は不明瞭なままだ。これがゲームならばマップを埋める作業したさに反対側も攻めたい所だが、リアルでそれをやるのはかなり面倒そうだな。
「地上にある冒険者の案内所まで戻れば、マップデータはポイント交換で購入とかも出来るよ。購入希望者が一度も行っていない階層の地図までは買えないけどね」
ボクが今丁度何を考えていたのかわかっているかの様にメランが教えてくれる。偶然なのか、経験則からくるただの予測なのか。最悪のパターンは、前にちょっと思ったみたいにマジでボクの心が読めるのか。……どれかはわからんが、なんかもう、どれかはわからん方がいい気がしてきた。
「まぁ、だとしても、めちゃくちゃありがたいですね」
「誰かしらが歩いた事で把握出来たマップデータを案内所の方で統合して、一枚の地図として販売しているって感じだから未踏破エリアや最前線の階層だと販売の対象外だけど、確かにあると便利かもね。鉱石なんかの採取ポイントとかも記載されているから今後の金策にも役立つしね」
「戻ったら早速一階層目のマップデータを買ってみますか。昨日今日とで、ポイントも結構稼げてますもんね」
「そうだね。いつもみたいにマップを全て埋めるのは、リアルだと騎乗でもしないと面倒だし。あ、でも“クー”の希望なら、僕はいくらでも付き合うけどね」
「いやいや、リアルでそれはやめときます。時間の無駄ですし。ってか、この先もっと進んでいったら騎乗可能な生き物とかが手に入ったりとかは——」
ちょっと期待しながら訊いたのだが、「このダンジョンだと、いないねぇ」の一言で希望はあっさり打ち砕かれた。憧れていたんだけどなぁ、友好的なモンスターとかへの騎乗に。
「中東とかに出現した砂漠系のダンジョンでだったら“ラクダ”に乗れたり、ハワイにある火山系のエリアとかでは中型の“ワイバーン”に騎乗出来たりもするんだけども」
「どっちも行けない!」
「だねぇ、あはははは」
遠い、遠過ぎる!この先どんなに頑張っても攻略ガチ勢程には稼げないし、行ける気がしない。富士山周辺にあるらしい高山系のダンジョンですらも金銭面で挑戦するには厳しいのに海外だなんて絶対に無理だ。それでも今度必死に頑張ったと仮定して、同じく海を越えるにしても、せいぜい北海道や沖縄が限界な気がする。
「騎乗経験をしてみたいの?」
「そりゃぁ興味はありますよ。モンスターに乗るとか、めっちゃロマンがあるじゃないですか」
ぐっと拳を握りながら力説すると、ボクの耳元にまでメランが顔を近づけてきた。
「そっかぁ。じゃあ、今度僕に乗せてあげるね」
そっと囁く様な声でメランが言う。配信には拾わせない為の行動だったんだろうけど、口が動く度に柔らかな唇と吐息が軽く耳に触れ、過剰な程に驚いてしまった。
顔を真っ赤に染め、二、三歩程一気に距離を置く。昨日までだったら『“騎乗位プレイ”でもしようか』って話をしていると確信を持って受け止め、無難にスルーしまくった所なのだが、“今日の彼”の発言となるとどういう意味での言葉なのか判断が出来ない。勝手に過剰反応して騒いでも馬鹿みたいだし、かといって今までみたいにスルーするには、触れた唇の感触が刺激的過ぎた。
「向こうの方に行けば、この方角での下層に行く為の階段があるみたいだよ。場所の確認だけでもしておこうか」
指差しながら教えてくれ、また先にメランが歩き出してしまう。慌てて後ろについて行くが、勝手に騒ぎ出した心臓がなかなか落ち着かない。急に動いたせいだと言い聞かせるには残念ながらちょっと無理がありそうだ。
◇
「んー…… 。何かもう、この流れで二階層目に降りてみてもいいかもね」
「あー。確かにそうですね」
下層への階段までの道中でもレベルがまた上がり、敵を倒しても得られる経験値がぐんっと落ちてきた。今まで結構なペースで戦闘を繰り返してはきたが、もうこの先は今までと同じ様に倒しても微々たる上昇しか期待出来ないだろう。
「20レベル台だと二階層目で稼ぐのが妥当って感じなんですか?三十レベル台になったら、今度は三階層目に行くとか?」
「一概にそうとは言えないねぇ。まだこのダンジョンは二十ちょいくらいの階層までしか攻略が進んでいないんだけど、最前線を彷徨いているのは80レベルとか90レベル台の人達とかだったりするし。構成や個々のスキル、装備的に行けそうなら、20レベル台であっても、どんどん下まで潜っちゃう人もいるみたいだよ」
「成る程。先に進む為に重要なのは、当人のレベルよりかは、スキルや装備、あとは攻略法の方って感じですか」
「そそ。だから今の僕らだったらルートの確保さえしちゃえば、三階どころか四階層目でも余裕で行けると思うよ」
「……んでもそれ、“バト”の戦闘力頼りになるんじゃ?」
ボクの銃がその階層でまで通用するとは到底思えない。この“白い咆哮”は転売不可なくらいだから良い武器である事に間違いはないが、あくまでも低レベル帯での話だ。そろそろ次の武器に移行していかないとボクは完全に戦力外になるだろう。それなのにそんな下にまで潜るっても絶対にやっていけないだろ。
「んー。夫を頼るのはいけない事なの?」
アンタはボクの“夫”じゃないし、ボクは本物の“嫁”でもない。なのに、本気でわかっていなさそうなきょとん顔で訊かれると反射的ですらも否定出来ず、「……助け合える関係なのが、『夫夫』の理想じゃないっすか?」と返してしまった。『やっちまったな……』と思いつつ、でもBL営業的にはコレで正解だと自分に言い聞かせる。
「それもそうだね」
ふわりと花でも咲いたみたいな笑顔でメランが言う。目元に仮面をしていようが隠しきれぬ眩しい笑顔で、『堕ちてはいても、やっぱ元は“天使”なだけあるなぁ』と思った。
「いつの間にやら結構歩いたんだねぇ、もうダンジョンの端っこか」
「そうなんですね。このダンジョンって、横には案外狭い感じなんですか?」
「いいや。ちょっとした町くらいなら余裕で丸々一個入る分くらいはあるよ。だけど、そもそもダンジョンへの入り口地点がこの階層のど真ん中にある感じじゃないから、丁度一番狭い方角に歩いて来ていたみたいだね」
「あー、成る程。って事は今の地球ってあちこちでっかい穴だらけなんですね」
「そうなるね。虫食い状態ではあるけれど、ちゃんと辻褄合わせて、実害の無い範囲にしてあるよ」
「へぇ」
(んにしても、最短距離で来た感じか。……もしかしてこれが、『妖精の加護』のおかげ、とか?)
確信の持てない事はさておきマップ画面を表示させて二人で確認する。踏破済みの地域だけが表示され、他の部分は大雑把な外輪以外は不明瞭なままだ。これがゲームならばマップを埋める作業したさに反対側も攻めたい所だが、リアルでそれをやるのはかなり面倒そうだな。
「地上にある冒険者の案内所まで戻れば、マップデータはポイント交換で購入とかも出来るよ。購入希望者が一度も行っていない階層の地図までは買えないけどね」
ボクが今丁度何を考えていたのかわかっているかの様にメランが教えてくれる。偶然なのか、経験則からくるただの予測なのか。最悪のパターンは、前にちょっと思ったみたいにマジでボクの心が読めるのか。……どれかはわからんが、なんかもう、どれかはわからん方がいい気がしてきた。
「まぁ、だとしても、めちゃくちゃありがたいですね」
「誰かしらが歩いた事で把握出来たマップデータを案内所の方で統合して、一枚の地図として販売しているって感じだから未踏破エリアや最前線の階層だと販売の対象外だけど、確かにあると便利かもね。鉱石なんかの採取ポイントとかも記載されているから今後の金策にも役立つしね」
「戻ったら早速一階層目のマップデータを買ってみますか。昨日今日とで、ポイントも結構稼げてますもんね」
「そうだね。いつもみたいにマップを全て埋めるのは、リアルだと騎乗でもしないと面倒だし。あ、でも“クー”の希望なら、僕はいくらでも付き合うけどね」
「いやいや、リアルでそれはやめときます。時間の無駄ですし。ってか、この先もっと進んでいったら騎乗可能な生き物とかが手に入ったりとかは——」
ちょっと期待しながら訊いたのだが、「このダンジョンだと、いないねぇ」の一言で希望はあっさり打ち砕かれた。憧れていたんだけどなぁ、友好的なモンスターとかへの騎乗に。
「中東とかに出現した砂漠系のダンジョンでだったら“ラクダ”に乗れたり、ハワイにある火山系のエリアとかでは中型の“ワイバーン”に騎乗出来たりもするんだけども」
「どっちも行けない!」
「だねぇ、あはははは」
遠い、遠過ぎる!この先どんなに頑張っても攻略ガチ勢程には稼げないし、行ける気がしない。富士山周辺にあるらしい高山系のダンジョンですらも金銭面で挑戦するには厳しいのに海外だなんて絶対に無理だ。それでも今度必死に頑張ったと仮定して、同じく海を越えるにしても、せいぜい北海道や沖縄が限界な気がする。
「騎乗経験をしてみたいの?」
「そりゃぁ興味はありますよ。モンスターに乗るとか、めっちゃロマンがあるじゃないですか」
ぐっと拳を握りながら力説すると、ボクの耳元にまでメランが顔を近づけてきた。
「そっかぁ。じゃあ、今度僕に乗せてあげるね」
そっと囁く様な声でメランが言う。配信には拾わせない為の行動だったんだろうけど、口が動く度に柔らかな唇と吐息が軽く耳に触れ、過剰な程に驚いてしまった。
顔を真っ赤に染め、二、三歩程一気に距離を置く。昨日までだったら『“騎乗位プレイ”でもしようか』って話をしていると確信を持って受け止め、無難にスルーしまくった所なのだが、“今日の彼”の発言となるとどういう意味での言葉なのか判断が出来ない。勝手に過剰反応して騒いでも馬鹿みたいだし、かといって今までみたいにスルーするには、触れた唇の感触が刺激的過ぎた。
「向こうの方に行けば、この方角での下層に行く為の階段があるみたいだよ。場所の確認だけでもしておこうか」
指差しながら教えてくれ、また先にメランが歩き出してしまう。慌てて後ろについて行くが、勝手に騒ぎ出した心臓がなかなか落ち着かない。急に動いたせいだと言い聞かせるには残念ながらちょっと無理がありそうだ。
◇
「んー…… 。何かもう、この流れで二階層目に降りてみてもいいかもね」
「あー。確かにそうですね」
下層への階段までの道中でもレベルがまた上がり、敵を倒しても得られる経験値がぐんっと落ちてきた。今まで結構なペースで戦闘を繰り返してはきたが、もうこの先は今までと同じ様に倒しても微々たる上昇しか期待出来ないだろう。
「20レベル台だと二階層目で稼ぐのが妥当って感じなんですか?三十レベル台になったら、今度は三階層目に行くとか?」
「一概にそうとは言えないねぇ。まだこのダンジョンは二十ちょいくらいの階層までしか攻略が進んでいないんだけど、最前線を彷徨いているのは80レベルとか90レベル台の人達とかだったりするし。構成や個々のスキル、装備的に行けそうなら、20レベル台であっても、どんどん下まで潜っちゃう人もいるみたいだよ」
「成る程。先に進む為に重要なのは、当人のレベルよりかは、スキルや装備、あとは攻略法の方って感じですか」
「そそ。だから今の僕らだったらルートの確保さえしちゃえば、三階どころか四階層目でも余裕で行けると思うよ」
「……んでもそれ、“バト”の戦闘力頼りになるんじゃ?」
ボクの銃がその階層でまで通用するとは到底思えない。この“白い咆哮”は転売不可なくらいだから良い武器である事に間違いはないが、あくまでも低レベル帯での話だ。そろそろ次の武器に移行していかないとボクは完全に戦力外になるだろう。それなのにそんな下にまで潜るっても絶対にやっていけないだろ。
「んー。夫を頼るのはいけない事なの?」
アンタはボクの“夫”じゃないし、ボクは本物の“嫁”でもない。なのに、本気でわかっていなさそうなきょとん顔で訊かれると反射的ですらも否定出来ず、「……助け合える関係なのが、『夫夫』の理想じゃないっすか?」と返してしまった。『やっちまったな……』と思いつつ、でもBL営業的にはコレで正解だと自分に言い聞かせる。
「それもそうだね」
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