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サイドストーリー
チョコレートと誘惑
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「大和さん、チョコの作り方教えてもらっていいですか?」
明日は年に一度のバレンタインデーだ。
今年は結婚後初めてのバレンタインなので、手作りに挑戦してみようと考えた那緒。本で作り方の知識だけはあるが、やはり上手い人に習うのが一番だと思い、恥ずかしながらあげたい本人に那緒はお願いしてみた。
「いいですよ」
快く引き受ける大和。その事に那緒は安堵した。
「但し条件があります」
……快く——とは、いかないみたいだ。
「早く来ないと始めちゃいますよ」
ニコニコと笑う大和。
「え、あっ……でも……」
廊下から台所を覗き込み、那緒はもじもじとしている。
「本当に……この格好で?」
「そういう条件だったでしょう?」
素肌に白いエプロンをつけただけの那緒が、恥ずかしそうにゆっくり室内へと入ってきた。
「その格好は男の浪漫だと語る人もいますからね、一応僕も見てみたいなと思いまして」
ボウルを手に持ち、大和が言う。
那緒の普段使っている物は、前でリボンを結ぶタイプのエプロンなのでお尻や胸は隠れるも、恥ずかしい事に変わりは無い。だが、下着も無しにエプロンを着るなど心許ないにも程がある。
「い、一応って程度ならしなくてもいいんじゃ」
そう言うも声が小さく、彼には聞こえない。
「じゃあ、材料は出しましたから分量を計りながらやりましょうか」
優しい笑顔をされると、那緒はつい大和の悪戯を許してしまう。それを知っていて、したい事を妻に要求し続ける彼は本当にたちが悪い。
「湯煎の温度はここにありますから」
大和の作ってくれたレシピを見ながら作業が進む。
「……ところで、これは誰にプレゼントするんのですか?他の男のならトッピングに小さな釘とかのせてあげますが」
顔は笑ってるが……絶対本気だ。
普段全くお菓子を作らない那緒が、頼んでまで作ろうとしている事からプレゼントである事はバレバレだった様だが、改めて訊かれてしまうとハッキリ言うべきか那緒は少し迷った。
だが隠してもろくな事にはならないと思い、素直に告げる。変に誤魔化して
大和に渡すチョコなのに釘入りにする訳にはいかない。
「大丈夫ですよ、大和さんのだから」
那緒の言葉を受けて大和が感無量になり、自身の服の胸元をぎゅっと掴んだ。
「ありがとう、嬉しいですよ」
大和は甘く蕩けた笑みを浮かべたかと思うと、湯煎して完全に溶けたチョコに指を入れた。
(味見かな?)
那緒はそう思いながらその様子を見ていたのだが、次の瞬間、大和はチョコのついた指をペトっと彼女の頬に付けてきた。
「なっ⁈」
驚き、那緒は声をあげた。
だが大和は笑顔のまま
「1日早くもらいますね」と言いながら、頬をペロッと舐めてきた。日付け的にバレンタインのチョコレート作りであると簡単にわかったみたいだ。
「んぁっ……そ、そんなぁ」
チョコをお玉ですくい、今度はそれをドロッと肩にかけてくる。
「ふぁっ……そんなとこっ」
胸や背中、色々な場所にチョコをたらし舐めてくる。
「ね?エプロンで良かったでしょ?服が駄目にならずに済んだんですから」
そ、そういう事だったのね。
作業していた台に座らされ、足や内股にまで垂らし舐められる。最後には秘部にまで——
「だ、駄目です……ンアァッ」
チョコが全てなくなると、満足そうに大和は微笑み、自身の怒張を蜜で溢れかえる那緒の秘部へと沈めていった。
——チョコが……。
果てた体で、那緒がカラのボウルを見詰める。
「美味しかったですよ。ご馳走でした」
笑顔で言われると……やっぱり何も言えなくなる。
「ホワイトデーは3倍にしてお返ししますね」
「今の3倍もだなんて、そんなにもらったら私死んじゃいます……」
そう言う二人の交わすキスは、甘くとろけるチョコの味だった。
【終わり】
明日は年に一度のバレンタインデーだ。
今年は結婚後初めてのバレンタインなので、手作りに挑戦してみようと考えた那緒。本で作り方の知識だけはあるが、やはり上手い人に習うのが一番だと思い、恥ずかしながらあげたい本人に那緒はお願いしてみた。
「いいですよ」
快く引き受ける大和。その事に那緒は安堵した。
「但し条件があります」
……快く——とは、いかないみたいだ。
「早く来ないと始めちゃいますよ」
ニコニコと笑う大和。
「え、あっ……でも……」
廊下から台所を覗き込み、那緒はもじもじとしている。
「本当に……この格好で?」
「そういう条件だったでしょう?」
素肌に白いエプロンをつけただけの那緒が、恥ずかしそうにゆっくり室内へと入ってきた。
「その格好は男の浪漫だと語る人もいますからね、一応僕も見てみたいなと思いまして」
ボウルを手に持ち、大和が言う。
那緒の普段使っている物は、前でリボンを結ぶタイプのエプロンなのでお尻や胸は隠れるも、恥ずかしい事に変わりは無い。だが、下着も無しにエプロンを着るなど心許ないにも程がある。
「い、一応って程度ならしなくてもいいんじゃ」
そう言うも声が小さく、彼には聞こえない。
「じゃあ、材料は出しましたから分量を計りながらやりましょうか」
優しい笑顔をされると、那緒はつい大和の悪戯を許してしまう。それを知っていて、したい事を妻に要求し続ける彼は本当にたちが悪い。
「湯煎の温度はここにありますから」
大和の作ってくれたレシピを見ながら作業が進む。
「……ところで、これは誰にプレゼントするんのですか?他の男のならトッピングに小さな釘とかのせてあげますが」
顔は笑ってるが……絶対本気だ。
普段全くお菓子を作らない那緒が、頼んでまで作ろうとしている事からプレゼントである事はバレバレだった様だが、改めて訊かれてしまうとハッキリ言うべきか那緒は少し迷った。
だが隠してもろくな事にはならないと思い、素直に告げる。変に誤魔化して
大和に渡すチョコなのに釘入りにする訳にはいかない。
「大丈夫ですよ、大和さんのだから」
那緒の言葉を受けて大和が感無量になり、自身の服の胸元をぎゅっと掴んだ。
「ありがとう、嬉しいですよ」
大和は甘く蕩けた笑みを浮かべたかと思うと、湯煎して完全に溶けたチョコに指を入れた。
(味見かな?)
那緒はそう思いながらその様子を見ていたのだが、次の瞬間、大和はチョコのついた指をペトっと彼女の頬に付けてきた。
「なっ⁈」
驚き、那緒は声をあげた。
だが大和は笑顔のまま
「1日早くもらいますね」と言いながら、頬をペロッと舐めてきた。日付け的にバレンタインのチョコレート作りであると簡単にわかったみたいだ。
「んぁっ……そ、そんなぁ」
チョコをお玉ですくい、今度はそれをドロッと肩にかけてくる。
「ふぁっ……そんなとこっ」
胸や背中、色々な場所にチョコをたらし舐めてくる。
「ね?エプロンで良かったでしょ?服が駄目にならずに済んだんですから」
そ、そういう事だったのね。
作業していた台に座らされ、足や内股にまで垂らし舐められる。最後には秘部にまで——
「だ、駄目です……ンアァッ」
チョコが全てなくなると、満足そうに大和は微笑み、自身の怒張を蜜で溢れかえる那緒の秘部へと沈めていった。
——チョコが……。
果てた体で、那緒がカラのボウルを見詰める。
「美味しかったですよ。ご馳走でした」
笑顔で言われると……やっぱり何も言えなくなる。
「ホワイトデーは3倍にしてお返ししますね」
「今の3倍もだなんて、そんなにもらったら私死んじゃいます……」
そう言う二人の交わすキスは、甘くとろけるチョコの味だった。
【終わり】
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