異世界の管理人

ぬまちゃん

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人間界のデビュー、電車に乗る

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「マリアさん、サリーさん、ハデスさん。お待たせしました。それでは最初に街に行きましょう」
「今日は平日なので、そんなに人通りは無いと思います」

男の子は、彼らが遠い異国から来たので、人混みに慣れていないと思った。
それで、突然沢山の人を見て驚かない様に、先ずは人に慣れる様に、平日の街中の案内をする事にしたのである。

バスに乗って、駅に行く。
駅に着くと主任さん達は驚いた。

「なんだ、この人の多さは!それに多くの人間がゲートの様なところをカードをかざして通り抜けて行く。戦いでも始まるのか?」
ハデスさんは駅の改札口でお行くの人が黙々と通り過ぎるのを見て驚いた。

「え?お国には鉄道というものが無いのですか?」
男の子は、驚いてハデスさんに聞いた。


「ううむ、馬車なら利用するが、わたしの街には鉄道という機械は無いのだよ。それは一体何をする機械なのだ?」

「え!そうだったのですか。それは失礼致しました。お国には鉄道がないのですね。確かに、自分が当然だと思っていることも、立場が変われば全然別の事になりますからね」

「例えば、僕たちの国では、子供の頭を撫でるのは、大人が子供に対して行う普通の親愛を表す表現です。しかし、ある国では子供の頭には精霊が載っているので決して触ってわいけないそうです。もしも大人が子供の頭に触れたら、子供の精霊は驚いて逃げてしまい子供は不幸になると言われています」

「同じように、交通系ICカードを使用して電車の改札機を抜けるなんて、驚く事でしょう」

「ああそうですね、最初に電車自体の説明からしましょう」

男の子は話しながら、チラチラと受付の女の子の顔を見ている。彼女も駅の状況が不思議らしく、電工掲示板に映る色々な宣伝を不思議そうに見ていた。

「電車というのは、乗合バスを何台も連結して、バスよりも早く移動する乗り物なのです」
「ただしバスのように停留所はこまめにはありません。大きな町から次の町まで移動するためにみんなが利用しています」

「なるほど、巨大なドラゴンの背中に大きな箱を付けて、ドラゴンが連なって空を飛べば、沢山の人間を効率良く運べると言う考えだな」
主任さんは、つい比喩にドラゴンさんの話を出してしまった。

「まあ、ちょっと比喩が極端でファンタジーかかってますけど、間違ってはいません」
男の子は、ちょっと戸惑いながらも無理やり自分を納得させているようだった。

「具体的には、一つの電車で1000人ぐらいの人間を数百キロメートル離れた場所まで数時間で運べます」

「何という事だ!そんな恐ろしい機械を自由自在に操っているのか?」

「まあ、僕じゃなくて鉄道会社の人たちが運用しているんですけどね」

「なるほど、その移動機械を操る専門家がいるのだな。やはり、特殊な訓練や修行を受けているのだろうな?」

「そうですね、なんか専門の免許が無いと運転出来ないそうですから、研修を行うらしいですよ」

「ううむ、さすがだ。人間達は、自分の弱い部分をそれぞれ特殊な訓練を受けて鍛えているのか」


「え?なんの話ですか?ハデスさん」

「いや、何でも無いですよ」
ハデスさんはすっとぼけた。

「それで、あのカードは何ですか?ゲートにかざすと入場出来るようですが?」
魔女さんが男の子に聞く。

「あれは、お金を払っているのです。バスと同じで電車に乗るにはお金を払う必要があります」

「あれは魔法なのですか?」

「いや、電磁波というこの世に存在する力を使ってゲートとカードの中の機械が交信して、自動的に銀行からお金が払われるのです」

「自然界の力を駆使している訳だから、それは魔法ですね…」
西の魔女が感心して言った。

「確かに人間は非力だから、科学技術を駆使して生活を向上してきました。まあ、それを魔法と言うなら魔法かな…さあ、それでは電車に乗りましょうか」

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