吸血鬼のいる街

北岡元

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ゼッターのラッキー・ストライク

真相を暴け!

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 10日前のシャッター街での出来事から、吸血鬼退治部の面々はパトロールに燃えていた。真相の追求。彼らは日々それをモットーに、街の隅から隅までをくまなく走り回った。目標は、とにかく吸血鬼ともう一度コンタクトをとること。コペルはシャッター街周辺を調べ尽くした。星子と武情は駅前で黒ずくめの通行人を調べ上げた。彼方は西側に広がる住宅地を調査した。しかし、吸血鬼らしい通行人や住人は、未だに見つけることが出来ずにいた。
 とりあえず今分かっていることというのは、吸血鬼のリーダーが触れたものを銀にする能力であるということ。彼らの目的は楽園を作り上げること。彼らは5人の生き残りがまだ潜んでいること。そして、中には話し合いで決めようという意気のものもいる? ということである。それ以上の真相へと近づくことは出来ずにいた。楽園とは何か? 銀化の被害者の行方は? 吸血鬼はこの街のどこに? 肝心な部分は何も分からなかった。
「今日もハズレみたいだな……」
 コペルが部室に戻ると、既に他の3人は戻っていた。今日も誰1人事件に巻き込まれていない。嬉しいのか、もどかしいのか。
「まあ、根気強く続けるべきだろう」
 ガタイのいい刈り上げ七三の彼方は、黒板に西側、0と書き足した。
「どうしようもないわね……」
 星子は赤髪をかきあげて、机にべったりと張り付いた。
「俺はこいつの尻拭い役じゃねえぞ」
 真ん中分けの長ラン男、武情は大きくため息をついて、椅子に深く腰掛けた。
「ちょっと、どーゆうことよ」
 星子は首だけ動かして、武情を睨みつけた。
「お前がうずうずしてうろちょろ動いてるんで、まともに人間をカウント出来ねえんだよ」
「あら、ごめんなさいね。どー見たって黒ずくめの通行人なんていないもんだからさっさと次行きたいくなっちゃって」
「いたらどうなる」
「そんな事実はないわ。私が見落としたっていう事実はね」
「そうだな。お前を燃やせばそんな事実はなくなる」
 星子と武情がバチバチやってる間、コペルと彼方は窓から、傾く夕陽を眺めていた。残りの1人にして部長たる男、龍一は1人で南側の山道や森林を担当している。彼は5機のドローンを駆使して広範囲を調べ上げているようだが、ドローンが太陽光エネルギーによって稼働していることや、起伏や障害物の多いエリアのためか、やはり皆と同じくすぐに捜索を断念して戻ってこなければならなかった。
「もうそろそろ戻ってくるはずだが……」
「そうだな。陽が暮れる」
 2人が渋く決まってる所に、一際大きな扉のピシャリ! が響き、本日もお疲れ様な部長が帰ってきた。
「龍一、どうだった?」
 コペルがそう聞くと、龍一は黒板に大きく0と書き、
「全然駄目だ」
とだけ呟いた。しかし、龍一は「だが、」と続けた。
「やつらが誰かを俺たちに仕向けたっていうことが分かった」
 ほお、と興味を持ったのは武情だった。
「何故それが分かる?」
「いつものようにドローンで飛び回っていたんだが、森エリアで、昨日まで特に倒れていなかった木々が不自然に倒れているのを見かけた。近づくと争った痕跡は無かったからな。吸血鬼か、もしくはやつらが雇った能力者だ」
 コペルと彼方は共に笑みを見せた。武情は新しい戦いを前に明らかに殺気立っていた。星子は……、今回はどうでも良さそうである。
「とりあえず、明日は土曜日なんで昼から2人と3人で動く。コペル、彼方、星子は街の東側、俺と武情は街の西側だ」
 帰り道、コペルは新しい戦いのことで頭がいっぱいだった。次はどんな敵が、どんな戦いが……。だが、コペルは確信していた。こちらは5人、全員が強力な能力の持ち主である。誰がかかってきても、どんな能力をもっていようとも、吸血鬼退治部が返り討ちにしてやる!
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