異世界ひっそり生活←希望

紫蓮

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はじまり

おさなごの思い切りと郷愁の神の願い①

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ねぇ

ねぇってば



子供特有の高めの声が聴こえる

ゆっさ、ゆっさ、と肩を揺らす手らしき物も小さな感触


ん?感触??

意識を無くす瞬間を私は確かに覚えております。


全身が酷く痛み、失血の凄さに身体が急速に冷える感覚


そして、悪態紛れに中指を立ててしまう失態


中指、そう言えば握られる感覚があった
でもその時はもう、そう‥私は



ピクリと指を動かしかけると、未だに指を掴むおさなごの指の感覚があるのです。
死の世界か?いや夢でも見てたのかしら?

どちらでも構いません。
やぶれかぶれでございます。

意を決して目を開けようとしたその時でした。

ぐにぃぃぃ!!


「痛っったぁぁぁぁ?!」


ぐわっと見開いた私の視線の先には、握られる私の中指を甲の方へぐいぐいと、不機嫌さを隠さず、頬をパンパンに膨らませた見た目5歳児がしゃがみ込んでおりました。


涙目の私と5歳児の視線が絡みます。


にったぁっと笑いながら5歳児は告げたのでございます。


「おはよう、そしていらっしゃい!異世界のおねえさん」


ああ、見た目以上に天使の微笑みですが、瞳は達観し人生を生きてきた成人を感じさせるのです。

私が目覚めたのを確認すると、
「ごめんね、貴女、なかなか起きないから」

中指をそっと離しかけ
「ぼく失敗しちゃったかと心配したんだよね~」

「!!痛っ!!」
また在らぬ方向へ曲げてきやがるのでございます。


「おき。起きましたので!は、離してくだ」

ぱっと指が解放され激痛が、じわじわと広がるように痛みが痺れに変わっていきました。


「うん、痛覚良し。感覚も良しかな?声もでてるし、顔色も戻ったね」


可愛らしく胸元で腕を組み目視確認されてる様ですが、聴こえて来た言葉に違和感を感じ無い方が可笑しいのです。



何故なら私は


「死んだんでは無かったの?」
「うん!」

即答か!

「君のからはね」
世界軸?世界って、いや異世界って確かに聴いたのだけど、直ぐには納得出来ないでおりました。

(だって、だって、五感はあるし、目の前のこの子供とも言葉が通じてるじゃない、はっ!異世界だとしたら、だらけた引きこもり生活は?いや、まじで無いわ!そうよ、貯金!お局とまで言われ余生迄の潤沢なる資金!!!通貨は使えるのか?異世界だったら一緒な訳無いし。はい、終わった終わりましたよ、私の余生は詰んだ!どないせぇっうんよ!アパートだって解約あー、死んだなら勝手に解約されるか、それに)

「ねぇ」

ひぃ!

止まらぬ思考に被せてくる、抑揚の無い声に背筋が伸びます。
いつのまにか、思考の波に飲まれ土下座スタイルで床らしき物を叩いていた様でございます。

これは逆らってはいけない。本能がアドバイスして下さいます。ありがとう私の本能。

作り笑いで
「なんでございましょう」

「さっきの思考が、なんでしょう?僕、使をするなら、説明もしてあげないよ?」

良いよね?

ゾッとする笑みが見え隠れして背筋にヒヤリとする感覚いたしました。


本能が叫びます!
この人は逆らってはいけない人だと。


「も、「ん?」(被せて来た!)分かりました、いやわかった。これで良いで…いい?」

「うん、合格。じゃ、改めてコレ着てね」


手渡されたのは真っ白なワンピースと下着一式。


はたと自身と衣服を視線が交差し顔に熱が集まるのを感じたのでございます。


私!素っ裸!誰得だよ!!

ああ、こんなおさなごになんて教育上よろしく無いものを等とぶつぶつ呟きながら慌てて身支度いたしました。

ふわりお茶の香りに振り返ると、いつの間にか真っ白なテーブルに二脚の白い椅子が用意され、琥珀色の液体がコポコポとカップに注がれております。

そう、ティーポットが空中に浮いて自らカップに注いでいるのでございます。

そして人差し指を楽しそうに
クルクル  クルクル と回すおさなご


引き寄せられる様に着席し勧められたカップからコクリ、喉を通る暖かさにほぅっと吐息が漏れ全身の力が抜けていく様に感じたのでございます。

お茶のお陰でしょうか?
落ち着いて私はカップを持ちながら、周辺を観察する余裕が出て参りました。

何処まで続いているのか広さが分からない真っ白な部屋は床も天井も壁も、調度品といってもテーブルと座っている椅子、他は見当たらないのですが、見渡す限り真っ白なのでございます。 

(異世界)
しっくりと、ストンと納得でき冷静になってまいりました。

「落ち着いたみたいだね、説明をしても良い?」
無言でコクンと頷く私に小さな手の平が翳されると映像が写し出されております。

「先ずは君の最後から始めるよ」

映し出されたのは最後の場面。

の狂気じみた愉悦の瞳
思わず口を片手で覆ってしまいました。
恐怖で声が漏れそうだったのでございます。

立てた中指をそっと握る幼い子は、間違い無く今に居るおさなごと同一で、小さな口が動いているのです。
聴こえて無かった言葉が聴こえて来たのございます。

「良いよ。僕の世界でやり直し人生ケイヤクをしよう」


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