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第1章
05 ヒール
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本のページをパラリとめくっては――。
「ヒール。」
食事を取る時も――。
「ヒール。」
うん、腐っても城の料理長。料理は絶品だな。胃袋が無限大だからいくらでも入ってしまいそうだが、心はいい大人の俺は毎日自重している。ノウモア成人病。
湯船に浸かっているときも――。
「ヒー」
「お兄様、僕も一緒に入ってもいいですか?」
いいも何も真っ裸じゃないか。追い出すなんて可哀想な事出来るか。
「お兄様、さっき何か「ヒー」っておっしゃってました?」
穢れのない純粋な瞳に見つめられ俺はスーっと視線を逸らした。
「いや?……ああ、「ヒー熱いなぁ。」と言おうとしていたかもなぁ。」
俺がヒールを懸命に練習している事はアレンには秘密だ。兄の沽券に関わるからな。
寝る前も――
「ヒール、ヒール、ヒール……」
ダンスの練習中も――
「ヒール。」
ターンして――
「ヒール。」
先生の足を踏んづけて――
「ヒール。」
先生は涙目のままだから失敗。
一向に出来るようになる気がしない。
火打ち石だって、手にマメが出来ながらも火をつける事が出来るようになったというのに――
『――才能ないのぅ。』
じじぃの言葉が頭をよぎる。
いかん、心はいい大人なのに泣きそうだ。
「……さま。……お兄様?」
気が付くと大きな赤い瞳が俺を心配そうに見つめていた。
「ああ、悪い。えと、――今日はあなたの好きな肉じゃがよ。沢山食べてね。だったか?」
「はい、でもお兄様の元気がないように見えます。何かあったのですか?お兄様が元気がないと僕も悲しくなってしまいます。」
ウルウルと赤い瞳を潤ませながら俺を見つめるアレンを俺は不思議に思った。
「俺はお前に酷い事をしてきただろう?どうして俺を心配するんだ?」
アレンはブンブンと頭を振った。
「お兄様は僕が生まれた時、悲しみと不安と絶望でに押し潰されて泣いていたら、抱き締めて下さいました。ずっと側にいると指切りまでしてくれて、僕はその時、やっと救われたんです。」
――だから僕はお兄様が1番なんです。
潤んだ瞳で妖しく微笑む5才児を見て、何故だろう?俺は末恐ろしくなった。
「……そ、そうか。」
生まれた時って、勇者の記憶力半端ねぇなぁ。
「――うーん。肉じゃがも捨てがたいけど、先ずはハニーをたくさん食べたいなぁ。」
そう言うとアレンは俺を押し倒し見下ろすとペロリと自分の唇を舐めた。
「あ?ああ、ままごとの続き……たくさん食べたいって……んっ……」
首に吸い付かれて思わず顔に血が昇る。
「……ハニー、真っ赤になって可愛いね。……茹で豚みたいで美味しそう。」
ダーリンアレンはそう言うと徐に俺の服を脱がせにかかった。
ぬぉーーー!おままごとって卑猥だ。女子ってこんな事してたのかっ。
俺は必死に服を死守しながら「ハニー焦らしてるの?」とか「ほら、可愛い蕾が美味しそうに僕を誘ってるよ。」とかの言葉攻めに堪えに耐えた。
あー、もう恥ずかしい。子育てって大変だな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ヒール、ヒール、ヒール……」
その日はいつものように窓からアレンが修行しているのを見ながらヒールを唱えていた。
もうすぐ6才になるアレンは細い体ながらも自分よりも大きな剣を無駄な動きもなく振るっている。
俺とアレンではレベルが違いすぎて一緒に練習は出来ないから、いつも俺はここからこっそりアレンの練習風景を眺めていた。
その時――
先生と剣を交えていたアレンがいきなりしゃがみこみ目を押さえた。
血が出てる――
俺の大好きな宝石のように美しい赤い瞳が――
「ヒール。」
思わずヒールを唱えていた。
俺の体から青白い光が湧き出てくるとその光は一直線にアレンへ向かって行った。
次の瞬間、怪我の治ったアレンは立ちあがりこちらを見たが俺は咄嗟に窓から離れ膝をついた。
ドドドドドド……
心臓の音がうるさいから胸を押さえる。
「……出来た。」
そうして俺は練習を初めて1年目にしてやっとヒールが出来るようになった。
「ヒール。」
食事を取る時も――。
「ヒール。」
うん、腐っても城の料理長。料理は絶品だな。胃袋が無限大だからいくらでも入ってしまいそうだが、心はいい大人の俺は毎日自重している。ノウモア成人病。
湯船に浸かっているときも――。
「ヒー」
「お兄様、僕も一緒に入ってもいいですか?」
いいも何も真っ裸じゃないか。追い出すなんて可哀想な事出来るか。
「お兄様、さっき何か「ヒー」っておっしゃってました?」
穢れのない純粋な瞳に見つめられ俺はスーっと視線を逸らした。
「いや?……ああ、「ヒー熱いなぁ。」と言おうとしていたかもなぁ。」
俺がヒールを懸命に練習している事はアレンには秘密だ。兄の沽券に関わるからな。
寝る前も――
「ヒール、ヒール、ヒール……」
ダンスの練習中も――
「ヒール。」
ターンして――
「ヒール。」
先生の足を踏んづけて――
「ヒール。」
先生は涙目のままだから失敗。
一向に出来るようになる気がしない。
火打ち石だって、手にマメが出来ながらも火をつける事が出来るようになったというのに――
『――才能ないのぅ。』
じじぃの言葉が頭をよぎる。
いかん、心はいい大人なのに泣きそうだ。
「……さま。……お兄様?」
気が付くと大きな赤い瞳が俺を心配そうに見つめていた。
「ああ、悪い。えと、――今日はあなたの好きな肉じゃがよ。沢山食べてね。だったか?」
「はい、でもお兄様の元気がないように見えます。何かあったのですか?お兄様が元気がないと僕も悲しくなってしまいます。」
ウルウルと赤い瞳を潤ませながら俺を見つめるアレンを俺は不思議に思った。
「俺はお前に酷い事をしてきただろう?どうして俺を心配するんだ?」
アレンはブンブンと頭を振った。
「お兄様は僕が生まれた時、悲しみと不安と絶望でに押し潰されて泣いていたら、抱き締めて下さいました。ずっと側にいると指切りまでしてくれて、僕はその時、やっと救われたんです。」
――だから僕はお兄様が1番なんです。
潤んだ瞳で妖しく微笑む5才児を見て、何故だろう?俺は末恐ろしくなった。
「……そ、そうか。」
生まれた時って、勇者の記憶力半端ねぇなぁ。
「――うーん。肉じゃがも捨てがたいけど、先ずはハニーをたくさん食べたいなぁ。」
そう言うとアレンは俺を押し倒し見下ろすとペロリと自分の唇を舐めた。
「あ?ああ、ままごとの続き……たくさん食べたいって……んっ……」
首に吸い付かれて思わず顔に血が昇る。
「……ハニー、真っ赤になって可愛いね。……茹で豚みたいで美味しそう。」
ダーリンアレンはそう言うと徐に俺の服を脱がせにかかった。
ぬぉーーー!おままごとって卑猥だ。女子ってこんな事してたのかっ。
俺は必死に服を死守しながら「ハニー焦らしてるの?」とか「ほら、可愛い蕾が美味しそうに僕を誘ってるよ。」とかの言葉攻めに堪えに耐えた。
あー、もう恥ずかしい。子育てって大変だな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ヒール、ヒール、ヒール……」
その日はいつものように窓からアレンが修行しているのを見ながらヒールを唱えていた。
もうすぐ6才になるアレンは細い体ながらも自分よりも大きな剣を無駄な動きもなく振るっている。
俺とアレンではレベルが違いすぎて一緒に練習は出来ないから、いつも俺はここからこっそりアレンの練習風景を眺めていた。
その時――
先生と剣を交えていたアレンがいきなりしゃがみこみ目を押さえた。
血が出てる――
俺の大好きな宝石のように美しい赤い瞳が――
「ヒール。」
思わずヒールを唱えていた。
俺の体から青白い光が湧き出てくるとその光は一直線にアレンへ向かって行った。
次の瞬間、怪我の治ったアレンは立ちあがりこちらを見たが俺は咄嗟に窓から離れ膝をついた。
ドドドドドド……
心臓の音がうるさいから胸を押さえる。
「……出来た。」
そうして俺は練習を初めて1年目にしてやっとヒールが出来るようになった。
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