主人公をいじめぬいて最後は殺される悪役王子だった事に気付いた10才の俺。

はるか

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BL大賞エントリー続編(1ヶ月限定)

114 両思いになった後は受けが拐われるのがベタでしょう。14

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    「ライ帰ろう。今、帰ろう。すぐに帰ろう。」

    俺が拐われた経緯や理由などどうでもいい空気を隠しもせず、目の前にガラス細工のような美しい美形がいる事も目に入らないtheぶれない男アレンは俺に壊れた目覚まし時計のように囁き続けた。

   「う、ん?ちょ、ちょっと待ってくれないか。お前、俺を取り返す為に軍隊連れてきたのか?それはちょっとまずかったかもしれない。」

    「どうして?ライを拐った国なんて跡形もなく、木っ端微塵に葬りさるから間違ってないよ?人足りないくらいだよ?」

    まずい、アレンがイカれすぎて幼児返りしてる。

    「あ、まぁ。それは仕方ねぇよな。」

    「だよね。今ほどライが作ってた爆弾の開発を推し進めておけばよかったと思った事はないよ。あれがあれば簡単に潰せたのに。」

    アレンはライが一年以上もいた国なんて滅びてしまえばいい。と爽やかに笑った。

    「うん、そうだよなぁ。……ヒール。」

    イカれたアレンに逆らったらいけない。取り合えず心を癒してからだ。

    「……ライ。説明をしてくれるか?」

    ヒールによって心が癒されたアレンは元に戻った。イカれたアレンも可愛くてぶっ飛んでて好きだけど、今は国と国との話し合いが必要だ。

   「それにしても、この国は極寒なのに建物の中は暖かい。魔法か、技術か。まさかこんなに進んだ文明があるとは思わなかった。」

    「あ、それ俺。拐われて来た時、あんまり寒くてムカついたから発明した。概ね快適に過ごせている。」 

    ――ズン

    アレンの周りの空気が重くなったが、怒りは甘んじて受けよう。

     「あそこの綺麗な奴がへえか。この国で一番偉いやつだ。俺を拐う指示を出したのも奴だが俺は嫌いじゃない、というかぶっちゃけ好きだ。だってあんなに綺麗で綺麗なんだぞ。綺麗なんだから仕方がない。アレンも近くで見たら分かる。取り合えず言葉が通じないから万次郎を連れてこよう。」  

    「ライ、俺の視力は10.0だからここからでも分かる。ライの方が綺麗だ。だからライが奴を好きな理由は却下する。殺していいか?」

    「うーん、駄目だ。取り合えず万次郎の所へ行ってくる。」

    アレンの醜男好きも困ったもんだ、あんな美しいへえかを殺すだなんて。

    「へえか、まつ。(へえか、ちょっと待ってろよ。)」

    人形のように身動き一つしなかったへえかは俺が話しかけるとコクンと頷いた。

    うっわーー。何それ可愛すぎる。コクンだってコクンだぞ。

    俺はポワンとなりながら歯軋りをするアレンにワープで万次郎の元へ飛んで貰った。

    ――あちらの言葉は俺が分かるからこちらの言葉を分かりやすく万次郎に伝えてもらうと交渉は呆気なく終わった。アレンの顔には不本意の文字が書いてあったが、そこは一国の王、利益を無駄にしないよう何とか耐えたようだ。

    今回、俺を拐った責任はあの灰になった胡散臭い親父に被らせた。死人に口無し万事オッケーだ。

    しかし、一国の王の大事な人間を拐い、拐われた場所のエスカルド王国の面子も潰した罪はそれだけで済むわけもなく、二国にこの国の資源を大量に渡すことで方がついた。

    資源。勿論美しい国民などではなく、俺が発見した化石燃料だ。国取り合戦が激化している今、列強国が喉から手が出るほど欲しい化石燃料がこの国には底知れぬほどあった。そしてこの国の化石燃料は二国に大量に渡したからと行って底をつくものではなかった。この場にいるエスカルド国王がご満悦なのも仕方がないだろう。まて何でどうしてお前までと問い詰めると、王妃が俺が拐われた事を自分のせいだと気に病み、寝込んで大変だったらしい。だから早く屍でも何でもいいから見つけて王妃を安心させたかったそうだ。ご馳走さまです。

    ちなみにサダ子は王妃の発明品!?    で、未来を予測する侍女風ボディーガードだった。はい!王妃は転生者決定。それにしてもサダ子をモチーフにするとか強者がすぎるだろう。

    ――話が終ると俺は最後にへえかに訪ねた。このまま鎖国を続けるのかどうかと。へえかは迷いもなく頷いた。

    鎖国。それには問題があった。同族同士の婚姻で出生率の低下とかは完璧エリクサーが解決するだろう。何なら男でも妊娠出来る薬を渡してもいい。問題はアレンが大量の兵を連れてきた事でこの国にはワープでいつでも人が出入り出来るようになってしまった事だった。鎖国を続けるのなら結界をはる必要がある。完璧エリクサーのハウスがあるとはいえ、昼夜を問わず国を覆う結界をはり続ける事はへえかの多大な負担になるだろう。また命を縮めかねない。

    「お前のお陰で優秀な魔術師が沢山いる。大丈夫だ。」

    「へえか、ツクる。まつ。(俺、国を覆う結界をはれる発明をするから待ってろよ。)」

     俺が胸を叩いて任せとけとジェスチャーをすると、へえかは瞳を見開き眩しそうに俺を見つめた。

    「お前には助けられてばかりだったな。ラインハルト、ありがとう。――すまなかったな。」

    へえかの心からの謝罪とお礼に俺の胸は熱くなった。や、そんな今生の別れみたいに。結界をはる発明したらまた来るし。とにもかくにもへえかは顔がいいから感動しちまうんだよ。

   「万次郎は一緒にくるか?」

    野暮だが一応聞いた。

    「ジョン、行くのか?」

    くぅーー。そんな捨て猫のような顔で見つめられたら万次郎……。

   「行きません。私の国はここですから。」

    だよなぁ。俺も分かってて聞いたけどさ。真っ直ぐとへえかを見つめ返す万次郎に、そうか、と顔を綻ばせたへえかの顔を見た奴等は軒並み倒れた。美しい笑顔で人を気絶させるとは流石だへえか。醜い笑顔で人を気絶させる俺とは大違いだな。

    「万次郎、世話になったな。せめてものお礼だ、有り難く貰えよ。そして俺を神と崇めてもいい。」

    俺はニヤリと笑って男でも妊娠出来る薬を渡した。効能を聞いた万次郎は顔を真っ赤にしてたが、どちらが使うのかは二人にしか分からない。

    「じゃあ、また。」

    「……最後に我が儘をきいてくれるか。」

   へえかが綺麗なお顔で綺麗におねだりしてきた。周りの奴等のお前、絶対きいてやれよ。の圧がすげぇ。おい、お前ら俺を助けにきたはずたよな。へえか親衛隊が出来そうな勢いだ。

    「最後にもう一度私を呼んでくれないか。私はお前が私を舌足らずに呼ぶのがとても好ましく愛しかった。出来るならお前が欲しいが、国を滅ぼされる訳にもいかないからそれで我慢しよう。」

    アレンの殺意がその場を支配したが、恥ずかしいから止めろ。こんな醜男の為にへえか相手に嫉妬とかほんとにやめて欲しい。

    「――へえか、またな。」

    この場の居たたまれない空気を変えれるならへえかぐらい何度だって呼んじゃうよ。

    俺が半ばやけくそぎみに放った「へえか」はへえかの心に暖かいホッカイロを与えたらしく、今まで見たこともないような雪解けの笑顔を周りに与えた。

    尊い。俺がこの言葉はこういう時に使うのだと妙に納得しながら振り返ると、さっき辛うじて生き残った奴等全員が昇天していた。さもありなん。

    「……帰ろう、か?」

    俺は唯一生き残ったぶれないアレンを見つめコテンと首を傾げた。

    「……あ、鼻血。」

     「仕方ない。ライがいなかったから仕方ない。どうせ、俺の事を忘れてあんな建物建てるのに夢中になっていたんだろう。ふん、俺がその分ライの事しか考えてなかったら差引ゼロだからな。ザマアミロ。」

    「うん、アレン。ごめんな。お詫びに今度……」

    コショコショと耳元で囁くとアレンは昇天してしまった。ああ、可愛い。可愛い俺のアレン。俺がイヒヒと笑っていると万次郎が途方に暮れたように呟いた。

    「……この人たちたち悪すぎだ。」

    

~両思いになった後は受けが拐われるのがベタでしょう。~             完

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 
最後までお読みくださりありがとうございました。

途中、中断してしまい本当に申し訳ありませんでした。今でも応援してくださる皆様のお陰で再開することが出来ました。今回、気軽な気持ちで初めて中途半端な事をしてしまった事で未熟な自分を知りました。やはり始めたからには最後まで書き上げる事を大前提にこれからは胸に刻んでいきたいと思います。

また私の中でアレンやラインハルト達が動き始め、皆様とお会いできる日を楽しみにしています。

本当にありがとうございました。
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