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狩人の矜持
第3話
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「おい、ラザント。その辺にしておけよ、その人困ってるだろ?」
仲裁に入った男は未だに肩を組んでいる男へ声を掛けた。
「なんだよライアン!邪魔すんなよ!いま口説いている最中なんだからよ!」
「しつこくし過ぎると嫌われるっていつも言ってるだろ?それに、あっちにいる女性がお前のこと気になってるみたいだよ。」
「お、まじかよ!あそこにいる女もこいつには劣るけど美人だな!じゃあそっちの方に行ってくるわ!」
「その女性にもあんまりしつこくし過ぎるなよ。」
「おう!ありがとよ、ライアン!」
そう言って男はようやく離れていった。不快感はまだ残っているが、仲裁に入ってくれた男に礼を言おうと視線を向けた。
「ありがとう、おかげで助かった。」
「どういたしまして。迷惑かけてごめんね。あいつ酔うとタイプのやつに誰彼構わずああやって手当たり次第に声かけるからさ。普段は悪いやつじゃないんだけどね。」
男はそう言いながら隣に腰掛けた。男の容姿を改めて見ると、サラサラとした金髪に碧色の瞳をした甘い顔立ちをしていた。背丈もかなり大きく、身体つきも一見細く見えるが腕などはしっかりと筋肉がついているため着痩せするタイプなのだろう。男は微笑みながらセツナに話しかける。
「俺はライアン。仕事でこの町にしばらく滞在してるんだ。君の名前は?」
「セツナだ。」
「セツナ君か。良い名前だね。この町にはいつから来たの?」
「先ほどこの町に来たばかりだ。」
「そっか。来たばかりであんな風に絡まれて災難だったね。」
「全くだ、あともう少し遅ければあの男の首元に剣を突きつける所だった。おかげでそうならずに済んで良かった。」
そう話すと、男は苦笑いを浮かべた。
「ははは、それは危なかった。あとちょっと遅ければ大騒ぎになるところだったね。」
男と話しているうちに店の主が頼んでいた料理を運んできた。
「すっかり待たせちまったな!その分味には自信があるから楽しんでくれ!」
「ありがとう、いただきます。」
店の主は隣に腰掛けている男に視線を向けて珍しそうに見つめた。
「お、ライアン。珍しいな、新顔に声をかけてるのは。口説いてんのか?」
「く、口説いてないよ!さっきラザントがこの人にしつこく声をかけてて困ってそうだったから助けただけ!」
「なんだぁ。ラザントの奴、また性懲りも無くそんな事しやがって。でもその割にはお前、隣に腰掛けて話してるじゃねえか。」
「それは、ただ世間話をしてただけっていうか、、その、、!!」
「そんな焦るなよ。なんであれお前もラザントみたいに狩人様にしつこく話しかけるなよ。」
店の主がそう言うと他の客の注文対応へと向かい、隣に腰掛けた男と2人になった。
「セツナ君、狩人だったの?全然気づかなかったよ。」
「さっきから他の奴らにもそう言われるが、そんなに物珍しいのか?」
「いや、そういう訳じゃないけど、セツナ君ってすごい綺麗だから狩人には全然見えないっていうか、、」
「狩人に見えなくて悪かったな。」
「そういうこと言いたい訳じゃなくて、えーと、その、うまく伝えられなくてごめんね。」
男はしゅんとして項垂れた。理不尽に怒ってしまった気分になり罪悪感が湧き立つ。
「別に怒ってないし不機嫌にもなってないから安心してくれ。」
「いや、こちらこそごめんね。俺と話してて嫌な気分になったりしてない?」
「嫌になってたらすでに剣を突きつけている。」
そう言うと男の顔が一気に明るくなる。
「それなら良かった!セツナ君とは仲良くなりたいと思ってたから!」
「私はここに長くいる訳ではないから次に会うことはないと思うぞ。」
「そうかもしれないけど、こうやってセツナ君と出会えたのも何かの縁だと思うし!それに、セツナ君とはまた会える気がするからさ!」
嬉しそうに話す男を見てどう答えれば良いか一瞬迷ったが返事だけ返すことにした。
「そうか。」
「あ、もしかして俺の言ったこと信じてないでしょ!俺こういう予感は当たるからね!」
「他人の言葉を鵜呑みにしないと決めているからな。」
「まあ、普通はそう思うよね!そうしたら次会った時はこうやってまた話してくれると嬉しいんだけど、ダメかな?」
男はニコニコしながら私の方を見つめて言ってきた。正直、今後会うかも分からない奴と約束する意味はないと思っているが、口約束なら別に良いだろうと考えた。
「私かお前のどっちかが生きていたらな。」
そう言うと男は一瞬驚いた顔をしたが、すぐにニコニコした顔に戻り嬉しそうにしていた。
「ありがとう!絶対死なないようにするから、セツナ君も絶対に死なないでね!」
「約束は出来ない。」
そうやって料理を食べながら男と話しているうちにいつの間にか夜が更けていった。
仲裁に入った男は未だに肩を組んでいる男へ声を掛けた。
「なんだよライアン!邪魔すんなよ!いま口説いている最中なんだからよ!」
「しつこくし過ぎると嫌われるっていつも言ってるだろ?それに、あっちにいる女性がお前のこと気になってるみたいだよ。」
「お、まじかよ!あそこにいる女もこいつには劣るけど美人だな!じゃあそっちの方に行ってくるわ!」
「その女性にもあんまりしつこくし過ぎるなよ。」
「おう!ありがとよ、ライアン!」
そう言って男はようやく離れていった。不快感はまだ残っているが、仲裁に入ってくれた男に礼を言おうと視線を向けた。
「ありがとう、おかげで助かった。」
「どういたしまして。迷惑かけてごめんね。あいつ酔うとタイプのやつに誰彼構わずああやって手当たり次第に声かけるからさ。普段は悪いやつじゃないんだけどね。」
男はそう言いながら隣に腰掛けた。男の容姿を改めて見ると、サラサラとした金髪に碧色の瞳をした甘い顔立ちをしていた。背丈もかなり大きく、身体つきも一見細く見えるが腕などはしっかりと筋肉がついているため着痩せするタイプなのだろう。男は微笑みながらセツナに話しかける。
「俺はライアン。仕事でこの町にしばらく滞在してるんだ。君の名前は?」
「セツナだ。」
「セツナ君か。良い名前だね。この町にはいつから来たの?」
「先ほどこの町に来たばかりだ。」
「そっか。来たばかりであんな風に絡まれて災難だったね。」
「全くだ、あともう少し遅ければあの男の首元に剣を突きつける所だった。おかげでそうならずに済んで良かった。」
そう話すと、男は苦笑いを浮かべた。
「ははは、それは危なかった。あとちょっと遅ければ大騒ぎになるところだったね。」
男と話しているうちに店の主が頼んでいた料理を運んできた。
「すっかり待たせちまったな!その分味には自信があるから楽しんでくれ!」
「ありがとう、いただきます。」
店の主は隣に腰掛けている男に視線を向けて珍しそうに見つめた。
「お、ライアン。珍しいな、新顔に声をかけてるのは。口説いてんのか?」
「く、口説いてないよ!さっきラザントがこの人にしつこく声をかけてて困ってそうだったから助けただけ!」
「なんだぁ。ラザントの奴、また性懲りも無くそんな事しやがって。でもその割にはお前、隣に腰掛けて話してるじゃねえか。」
「それは、ただ世間話をしてただけっていうか、、その、、!!」
「そんな焦るなよ。なんであれお前もラザントみたいに狩人様にしつこく話しかけるなよ。」
店の主がそう言うと他の客の注文対応へと向かい、隣に腰掛けた男と2人になった。
「セツナ君、狩人だったの?全然気づかなかったよ。」
「さっきから他の奴らにもそう言われるが、そんなに物珍しいのか?」
「いや、そういう訳じゃないけど、セツナ君ってすごい綺麗だから狩人には全然見えないっていうか、、」
「狩人に見えなくて悪かったな。」
「そういうこと言いたい訳じゃなくて、えーと、その、うまく伝えられなくてごめんね。」
男はしゅんとして項垂れた。理不尽に怒ってしまった気分になり罪悪感が湧き立つ。
「別に怒ってないし不機嫌にもなってないから安心してくれ。」
「いや、こちらこそごめんね。俺と話してて嫌な気分になったりしてない?」
「嫌になってたらすでに剣を突きつけている。」
そう言うと男の顔が一気に明るくなる。
「それなら良かった!セツナ君とは仲良くなりたいと思ってたから!」
「私はここに長くいる訳ではないから次に会うことはないと思うぞ。」
「そうかもしれないけど、こうやってセツナ君と出会えたのも何かの縁だと思うし!それに、セツナ君とはまた会える気がするからさ!」
嬉しそうに話す男を見てどう答えれば良いか一瞬迷ったが返事だけ返すことにした。
「そうか。」
「あ、もしかして俺の言ったこと信じてないでしょ!俺こういう予感は当たるからね!」
「他人の言葉を鵜呑みにしないと決めているからな。」
「まあ、普通はそう思うよね!そうしたら次会った時はこうやってまた話してくれると嬉しいんだけど、ダメかな?」
男はニコニコしながら私の方を見つめて言ってきた。正直、今後会うかも分からない奴と約束する意味はないと思っているが、口約束なら別に良いだろうと考えた。
「私かお前のどっちかが生きていたらな。」
そう言うと男は一瞬驚いた顔をしたが、すぐにニコニコした顔に戻り嬉しそうにしていた。
「ありがとう!絶対死なないようにするから、セツナ君も絶対に死なないでね!」
「約束は出来ない。」
そうやって料理を食べながら男と話しているうちにいつの間にか夜が更けていった。
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