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しおりを挟む「せめて行先を……だから、何度も言っているのに……」
ブツブツ呟き不満を言い続けるニールを余所に、翼竜から見える景色を楽しむスイレン
「大丈夫ですよっ! 王子様、こっちの方角に向かってましたよね? すぐ見つかりますよ! あ、ここで降ろしてもらえますか?」
「どうしてそんなに余裕で居られるんですかっ! ってこんな開けた場所でですか? 空から見たほうが早いですからっ!」
「いえいえ、空は風が強いし翼竜ちゃんの方が目立っちゃうんですよっ!!」
いいからいいからと笑顔でニールに翼竜の着陸を促すと、ヒョイッと飛び降りたスイレンは首にかかった巾着袋を服の中から取り出す。そこから金色の光が漏れ出した
「コハクッ! 隠れんぼしよ! 私達が鬼ね! 王子様を見つけたらニールさんがお菓子くれるって!!!」
キラキラの笑顔で首を縦にブンブン振るコハク
「コハクさんと私の扱い、雑すぎません?」
ニールは呆れた顔で文句を言いつつも、胸元から可愛らしい巾着袋を取り出した
「ニールさんも用意周到ですね。さすが手懐けられ……いえっ! コハクも喜んでますよ! ちなみにあのでっかい御屋敷ってなんですか?」
スイレンが指さす方に、全体的に真っ白で屋根の所々は魔法石と金色の装飾が見えるちっちゃいお城のような屋敷があった。
「あぁ、あれは王妃様が最後にいらっしゃった離宮です。殿下はあそこにはいらっしゃらないと思います。それ以前に、私もスイレンさんも結界で立ち入りできませんからね」
「そうなんですね、リョーカイしましたっ! てなわけで、コハクと私は陸上部隊、ニールさんと翼竜ちゃんは上空部隊ということでっ! 見つけたら、ちゃんと連絡しますからぁ」
「部隊とはまた大層な……あっ……まったく……ほとんど結界で立ち入れないというのに……仕方ない。私達だけで行きましょう」
ニールは翼竜の手綱を引き、今一度上空へと登った
「ふぅっ……翼竜ちゃんが居ると鼻利かないからしょうがないよねぇ」
鞄からゴソゴソと取り出したのはルクの羽。水浴びをした時に落ちたらしい羽をこっそり持ち帰っていたスイレンはコハクに持たせる。
「ねえ……すぅ……この羽の持ち主、たぶんだけど僕のほんとの姿見たら、きっとおそってくるよ?」
「ええ……コハクってそんな簡単にやられちゃう子だったっけ? てか大丈夫よっ! 王子様が手懐けてるんだし?」
「えっ……それだいじょうぶじゃない気がする……すぅ、絆されちゃった?」
「何言ってんの! いや、そうかもね。世話がかかる子ほど可愛いって言うじゃない!!」
「はぁ……早く終わらせて帰るよ。お菓子は貰うけどね」
「コハクもニールさんに絆されてる!」
「はいはい、いくよー。こっち」
「あ゛っ……もうううう」
コハクがスイレンの手を引いて向かう先は先程、立ち入れないと言われた離宮だ
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