毒にも薬にもなりたくないっ

新堂茶美

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54.

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閉じられていた瞼に眩しい光が突き刺さる。

「……うっ」

瞼を開き、目線だけで辺りを確認しようとするが、ぼやけていて何も見えない。

上体を起こそうとすると、腹部にツキリと痛みが走った。その場所に手を滑らせる。
ツルツルとしているがその肌から自分の手が這っている感覚が伝わる。

ガバリと起き上がるミケラウス。



───ガタンッ

「殿下ッ!!」

ニールがベッドの横まで駆け寄ると、へなへなと崩れ落ちた。
毎朝あいつが座っていた椅子がニールが驚き、ぶつかった拍子に倒れていた。

光に慣れた目で腹部を見ると、鱗が胸下から脇腹までを覆っている。埋まらない傷を覆っていた魔石など無かったかのように。

「……あいつは」

「引き止めたのですが用事がある、と……」

「あいつは世界樹みたいだな……」

「そうですね。ふふっ……私も同じことを初めて会った時に言いました。本当に凄いですよ」

「面目丸つぶれだな……」

「これを……」

ニールの手にはスイレンに渡したはずのネックレスがあった。

「いらない……ということか」

「いえ、色をよく見てください。お顔を真っ赤にされて……ふふっ、殿下の初めてを奪ってしまったお詫びに……と、可愛らしいですね」

ニールがミケラウスの手の上にネックレスを置く。


「そういえばあの時にほぼ使ったはずだ……」

その薄く青い魔法石を光に照らすと、黄金色の小さな粒が混ざって見える。

「引きこもり癖のある王子様には必要ですっ!だそうですよ。結界内部を治癒し解呪してくれるそうです」

「ハハッ、あいつには……敵わないなっ……」




その後、城に自室まで作り朝も昼も夜も離れなくなったニールに申し訳なくなりながらもうんざりしつつ、小さなことも報告を交わし、笑い合う声が執務室に響いた。ペルシュは自国では罪人の前でしか魔術を使っておらず、契約をした者も全て他国に送られたり、存在すら消されていたために今まで公に捕まえることが出来なかったそうだが、ミケラウスを脅し傷付けたことでペルシュが全てを自白した。
王妃は関与した全てからペルシュの名を消していたそうだ。それを聞いたペルシュは顔色を無くし、「約束を破ってしまった、私のせいだ」と言うだけで廃人のようになってしまった。本当ならその罪に処刑されるはずだったが、アヴェレイア王に温情を申し出たミケラウスによって修道院でその一生を暮らすことになった。








城を出てビルガメシアの辺境で項垂れている2人。

「ねええええええ、家遠すぎじゃない? おじさん迎えにきてよっ!!ここからどうやって帰るのよっ!!!!」

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