毒にも薬にもなりたくないっ

新堂茶美

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冷たい風が吹き荒ぶ、見渡す限り灰色の峡谷で2人の男が大きな翼竜の亡骸を前に佇んでいた。

「あの翼竜、野生のやつもびびって近寄らねーぞ、どうすんだよ」

「放っておけ。いつものように事故の瘴気と勘違いした間抜けな国が処理するだろ。……お前、腐敗のポーション持ってただろ」

「げっ……あれ高値で売れるんだが……」

「それなら、お前があれを処理するか? 鱗は1枚1枚剥いで肉と一緒に焼い「わかったよっ、やりゃーいいんだろっ!ちぇっ、街に着いたら酒奢れよ」

「……早くやれ。日が沈む。積荷に潰れた奴は翼竜の口に入れておけ」

「注文多すぎんっ……くぅぅ、へいへいっ、わかりましたよー」


薄汚れたシャツから見える肌色の部分は切り傷だらけで、錆色の髪を両サイドに分けた、逞しく背の高い男性がブツブツと文句を言いながら、背中に背負った大剣を岩陰に立てかけた。

代わりに濃い緑色の中に謎の黒い不純物が蠢いているビンを高価と言いながらもお粗末に片手に揺らしながら、事切れた翼竜に繋がる積荷へと向かう。

大剣の横に腰をおろした、錆色の髪の男性よりも小柄な色白の青年は目線でそのの男性を下がらせてから胸ポケットにある黄金色の石を取り出した。

「……絶対近くにいるはずだ」

肩口で切りそろえられた藍色の髪が渓谷に降りた風に揺れている、がとてつもない腐臭が混ざっている。

それにも関わらず顔色ひとつ変えないその少年は、血に汚れた青年が帰ってくると錆色の髪に水魔術をぶつけ、乾いた布を投げて腰を上げた。

「……何処にいる。さっさと顔を見せろ」

「はっ?……何言ってんだ。つーか、なんでお前の方が疲れた顔してんだよ。仕事したのは俺だろうがっっ」

まるで聞こえていないかのように背中を向けると、遠くに見える街へと続く道を歩き始めた。
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