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やってやりますよ

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 あれから、ゆっくりと時間をかけて騎士達と一緒にプロテッツィオーネ王国に帰ってきて、今は門の前で入国手続き中だ。
 本当は騎士達となど一緒ではなく、私とルルンとスィーニュで先に帰りたかった。だって、その方がもっと早く着くもん。
 というか、普通のペースで進んだら、もっと早く到着出来た。今回時間がかかったのは‥‥‥はぁー‥アンジェ主人公が駄々をこねたからだ。

「ーー!ーー!?」

 ほら、聞こえてきた聞こえてきた。アンジェの叫び声は声が甲高くってよく響く。悪い意味で。
 多分スィーニュの事で叫んでいるのだと思う。あの話し合い(?)からアンジェはスィーニュを側におこうとする。迷惑極まりない話だ。

「ーー!ーーーーー!?ーーアンジェロ!!」

 はぁー、来ましたか。
 私は大人しくアンジェの元へと向かう。
 アンジェの元へ着くと、ヒステリックになっているアンジェの周りを、攻略対象達が囲っていた。

「はいはい。なんですか?」
「スィーニュを!スィーニュを返して!スィーニュが私のそばにいないなんておかしの!スィーニュを今すぐ返してよ!どんな魔法を使ったのよ!!この女狐が!」

 ‥‥‥『女狐』ですか。酷い言われようですね。
 私は小さくバレないようにため息をつき、耳に『防音』の魔法をかけてから、スィーニュに念話を送る。

『スィーニュ?今すぐって来れる?』
『‥‥‥またか?俺も我慢の限界というものがあるのだが?』

 スィーニュはとても嫌そうな声で答えてくれた。
 スィーニュはアンジェのヒステリックを抑えるために、ここに来るまでずっと守護界と人間界を行き来している。
 それには力を使い、それと同時にスィーニュは守護界での仕事もある。疲れは溜まる一方で、発散出来ないでイライラしていらっしゃる。

『ごめん。でもさ?今度なんでも一つだけスィーニュのいうこと聞いてあげるからさ!私のできる範囲でだけど』
『‥‥‥嘘ではないな?』
『うん!』
『‥‥‥‥‥すぐに行く』

 よかった。スィーニュはすぐ来てくれるらしい。
 私はアンジェの方をチラッと見る。アンジェは私に向かって何やら叫んでいる。魔法のおかげで聞こえないので、別に気にしないでいれる。周りの攻略対象達は、とても苦しそうにしていて、私の涼しい顔を見て、『どうしてこいつ平然としてられるんだ?』という顔を見せてくる。
 残念でした。私はあんた達にも魔法をかけるつもりないから。

『はぁー、いい加減にして欲しいものだ』
「あ、スィーn「スィーニュ!ああスィーニュ!どこに行ってたの!?あなたは私の守護獣なのよ?もうどこにも行かないで」」

 スィーニュが姿を現した瞬間(人型)、アンジェがまるで恋する乙女のように頬を赤くそめ、スィーニュにかけよった。そのままスィーニュの胸にもたれたたるアンジェ。スィーニュはとても迷惑そうな顔をしたが、私の『我慢して』という視線に気づいてそのまま我慢している。
 私は外に出て、入国手続きの様子を見た。入国手続きは、私達が大人数だから結構時間がかかっている様子で、まだ門の人がワタワタしていた。
 しょうがないもう少しだけ我慢だ。

「‥‥ディ‥ア、アンジェロ嬢」
「‥‥はい。なんでしょうか」

 私がボーッとしていると、アインハルトが話しかけてきた。仮にも一国の王子を無視する訳にもいかないので、私は返事をした。
 振り返ると、アインハルトが捨てられた犬のような顔をしてこちらを見ていた。

「‥‥‥なんでしょうか」

 一向に話出さないアインハルトに痺れを切らした私は、もう一度アインハルトにそう聞いた。
 アインハルトは口を開いて何かを言いかけては、口を閉じるを繰り返す。

「‥‥あ、列が動きましたね」

 そうこうしているうちに、入国の手続きが終わったようで、馬車が動き始めた。
 門を通る時、騎士達は全員敬礼をしていて、いつも私が見る雰囲気とは違っていた。やっぱり、王族とかが乗ってるからかな?
 門を通ると、しばらくは商店はなく、家があるだけだ。城に向かうためには、一旦この列は大通りを通ることになる。
 『魔族に捕らわれた民を救うために駆り出した王族』が乗った馬車が大通りを通るとなると、盛大なパレードになると思う。その前に馬車から降りて、パレードで賑わっている人の間を通って、冒険者ギルドに帰ろう。
 だって、

(このまま城に行ったら事情聴取とかで、絶対に帰れそうにないしね)

 そう計画を立て、私は、タイミングをはかる。
 ちなみに、『魔族に捕らわれた民を救うために駆り出した王族』は、リッターが考えたらしく、私はそれをヤレガから聞いて呆れた。

「‥‥そろそろか。ルルン」
「はい」

 私の合図でルルンは馬車を飛び降りた。そしてすぐに脇道に隠れる。私も周りを警戒しながら、馬車を飛び降り、脇道に隠れる。
 スィーニュはアンジェの所に居たまんまだが、スィーニュは毎回我慢の限界が来たら勝手に『守護界』に帰るので、そこは心配しないでいい。
 王族の馬車の列が、大通りの方に消えていくのを確認してから、脇道から出る。

「さ、ルルン。ギルドに行きましょうか」

 私はマントのフードを深くかぶって、ギルドを見ざした。


 きゃぁぁぁぁあぁあぁあ!!


「‥‥想像通りだわ」

 大通りに出ると、王族の馬車の列に音楽隊も参加して、大名行列になっていた。どこから降ってくるのか、紙吹雪が宙を絶え間なく舞っている。
 私はフードをさらに深く被り直して、人混みの中を進んで行った。
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