乙女ゲームの悪役令嬢は生れかわる

レラン

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ヒステリック

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「ずっと思ってた‥‥ずっとおかしいと思ってたのよ!でも認めたくなかったのに!!なんで‥‥‥なんでなのよ!!」

 アンジェがずっと立ったまま叫んでいる。
 攻略対象達は、どうにか宥めようといろいろ声をかけているが、効果がない。私が入ったらもっとアンジェがヒステリックになりそうだから、私は紅茶を飲みながら待つことにした。
 ヤレガは、アンジェのこういう姿を見るのは初めてのようで、最初は驚きの顔を見せていたが、すぐにアンジェを宥めようと試みていたが、攻略対象達に押し出されてしまって、今は私の隣に立っている。

「‥‥‥アンジェ様‥強烈ですね」
「‥‥はい。私も見るのは初めてですので、驚きました」

 私の言葉に、ヤレガは落ち着いた声で返してくれた。
 やっぱり、王国騎士団団長なだけある。ちゃんと対応が出来ている。

「ディーオ・アンジェロ!」
「?はい」

 アンジェが急に私に話しかけて?‥‥いや、叫びかけてきた。

「あなたの‥‥そう!そうよ!あなたの守護獣は元は私の物なのよ!この盗人!どうやって人の守護獣をたらしこんだのよ!!」

 ‥‥‥‥は?

「何を言ってらっしゃるのか、私にはわかりません」
「あぁ!可哀想な。本当の守護対象は私なのに‥こんな悪令嬢にどんな魔法を使われているのか分からないけど、すぐに助けてあげるわ!だって、あなたの本当の守護対象は、私なんだもの!それにーーー」

 その後も、つらつらと言葉を発するアンジェ。
 ‥‥本当に何言ってるの?こいつ。私の話聞く気もないじゃん。
 スィーニュも迷惑そうな顔して、こっちを見て『この女何言ってんだ?』と顔で語ってきた。
 わかってる。でも、私にこたえを求めないでほしい。私だってわかんないんだもん。

「‥‥ルルン。もうそろそろ帰ろっか」
「はい」
「ヤレガ様もタイミングを見て戻っていいと思いますよ?」

 ヤレガは小さく頷いた。
 私はヒステリックになっているアンジェを放っておいて、自分のテントに帰ることにした。

「ま、待ってくれ!」

 背を向けている私達を呼び止めたのは、アインハイトだった。
 私は立ち止まって、振り向いた。
 アインハイトは、とても必死な顔をしていた。その顔は、多分女性なら誰でも頬を赤らめてしまうと思う顔だった。でも、私は1度酷い目にあっている。だから、そんな反応はしなかった。

「なんでしょうか。アインハイト
「っ!‥‥‥もう‥アインハイトとは呼んでくれないんだね」

 アインハイトは、悲しそうな顔を見せた。
 待て待て待て待て!私は1度としてアインハイトを「アインハイト」と呼び捨てにしたことは無い!心の中では呼び捨てにしているが、言葉に出して呼び捨てにしたことはない!しかも、私達は婚約を解消した仲だ。もし前のように「アインハイト様」呼びをしたら、常識がなってないと言われかねない。だから、「アインハイト王太子様」呼びだ。長いが、そこは我慢するしかない。

「‥‥あの‥アインハイト王太子様。私達は婚約を解消した仲です。もう前のように呼べないのは、アインハイト王太子様も承知の上でしょう」

 私の言葉にアインハイトは「それは‥‥」と言っている。
 なんなんだよ本当に。だんだんうざく感じてきたぞ?

「‥‥何も無いなら私は帰ります」

 私は今度こそテントに帰って行った。
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