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「さぁついたよ?青春舞台の大道中の大道! 屋上で~す!」
「「おおー」!」
七夏弥が青い扉を開けると、そこはアスファルトと緑のフェンス。それに青い空そらが広がった、とても爽快感溢れる場所だった。
俺と白蓮は、おもわず歓喜の声をあげてしまった。
でも、それは当たり前といえば当たり前なのかもしれない。このご時世、小中高と、どの学校も屋上に行くのを禁止している。それはゲーム内でも前世でもそうで、俺は初めて屋上という所に来た。
「あ、やっと来ましたか。はぁー。あなた達が来るまでに、今日の仕事が終わってしまいましたよ?」
後ろから声がしたので、驚いて振り向くと、そこには虎國がいた。
肩を回しながら目を抑えているので、どうやらそうとう集中していたらしい。
「わぁ~!もしかして僕達のもやってくれてたり~?」
「‥‥‥はぁー。ええ、終わらせてありますよ」
「わぁ~い!虎ちゃん大好き~!」
「わぁ!抱きつかないでください!」
七夏弥が虎國に抱きつこうとしたら、虎國はそれを避けて、七夏弥の側から離れた。
そして、俺たちの方を見て目を見開いたが、それは本当に一瞬で、すぐに表情が元に戻った。
ちくしょう。表情筋が動くなんて、羨ましいぞ。
「どうして鷹雅は、稜驊君を姫抱っこしているんだい?それに‥‥そっちの子は?」
俺は虎國の言葉で、まだ姫抱っこをされていることを思い出した。
「いや、すっかり忘れてました。村﨑先輩、下ろしてください」
「‥‥‥ん」
鷹雅は、ここまで来てもう俺が逃げることはないと判断したのか、すんなりとおろしてくれ‥なかった。
「‥‥え?なんで私に渡したんですか?」
「喜三久先輩と同意見です」
俺はただ、鷹雅の腕から虎國の腕へと移動しただけで、まだ地面へと足を下ろしていなかった。
俺と虎國の質問に、鷹雅は「違うのか?」とでも言うように、首をかしげてこちらを見る。
いやいや。こっちが聞いてるんですけど。
「‥‥とにかく、稜驊君?おろしますよ?」
「あ、はい。そうして頂くと大変嬉しいです」
虎國は一応、俺に声をかけてから俺を下ろしてくれた。
俺は何年かぶりに地面にたてたような感じがして、精一杯腕や腰を伸ばして、深呼吸をした。
「で、そちらの方は?」
虎國が白蓮を見て、そう聞いてきた。
「あ、こいつは俺の従兄弟の白蓮です。逃げゴホン!帰ろうゴホンゴホン!‥‥えっと、こちらに来ようとした時に、白蓮との先約があったことを思い出したんですけど、やっぱり先輩達の約束を優先させた方がいいと思い、一緒に来てもらいました」
俺の口からスラスラと嘘の言葉が出てきて、白蓮と鷹雅は驚き、七夏弥は楽しそうにニコニコと笑っていた。
虎國は、だいたいの事情を把握したのか、「分かりました」と一言いった。
パンッ!
急に手を叩く音がして驚いた。
俺は音のした方を向いた。すると、七夏弥が弁当を持って、こちらを見ていた。
「さ!ご飯にしよ?もう僕お腹ペコペコだよ~」
どうやら、俺達は今からご飯を食べるらしい。
先輩達は日当たりのいい場所で、弁当を開き始めた。
でも、あいにく俺と白蓮は弁当を持ってきてない。よし!これを口実に帰ろう。
「あのー、俺達ご飯持ってきてなーー」
「ーーほら!二人の分のご飯もあるからさ!座って座って♪」
そう言って、どこから出したのか弁当を2つ持っている七夏弥。
‥‥‥準備がよすぎるぞ。おい。
俺と白蓮は、大人しく先輩達と一緒に座った。
順番は俺から言うと、俺・鷹雅・虎國・七夏弥・白蓮・俺という円形だ。
「いただきます」
俺達はご飯を食べ始めた。
用意された弁当は、中身が全て違う具材だった。
一口食べてみたが、これが結構美味かったりしたもんだから、俺はいつもより味わって食べることにした。
そういえば、ゲームのイベントでこういうのあったな~。確か、白蓮が屋上で攻略対象と弁当を食べることになったが、あいにく白蓮が弁当を忘れてしまったので、七夏弥がかわりの弁当2つ出して、そのどっちがいいか、白蓮に選ばして渡した。
でも、その弁当は右は修也で、左が京馬の分のご飯で、後から合流した2人が、自分の弁当を食べている白蓮を見て、「それは俺の弁当」とかなんとか言ったせいで、白蓮が、
修也の弁当を選んだ場合は、修也にあーんで食べさせて好感度アップ。
京馬の弁当を選んだ場合は、京馬と一緒に買い出しに行って、そこでのハプニングで好感度アップ。
という、イベントがあったはずだ。
‥‥‥そういえば、この弁当どことなくそのイベントに出てきた弁当に似てるような~‥‥‥‥‥‥あ、これって。
「よう!来たぜ!って」
「遅れた。ごめんって」
俺が気づいた時には、『時すでに遅し』というやつだった。
「「俺の弁当!!」」
遅れて合流した修也と京馬の声が、屋上に響いた。
「‥‥‥フラグ回収しちまったよおい」ボソッ
あ、ちなみに俺は右の弁当。白蓮は左の弁当を選んだ。
「「おおー」!」
七夏弥が青い扉を開けると、そこはアスファルトと緑のフェンス。それに青い空そらが広がった、とても爽快感溢れる場所だった。
俺と白蓮は、おもわず歓喜の声をあげてしまった。
でも、それは当たり前といえば当たり前なのかもしれない。このご時世、小中高と、どの学校も屋上に行くのを禁止している。それはゲーム内でも前世でもそうで、俺は初めて屋上という所に来た。
「あ、やっと来ましたか。はぁー。あなた達が来るまでに、今日の仕事が終わってしまいましたよ?」
後ろから声がしたので、驚いて振り向くと、そこには虎國がいた。
肩を回しながら目を抑えているので、どうやらそうとう集中していたらしい。
「わぁ~!もしかして僕達のもやってくれてたり~?」
「‥‥‥はぁー。ええ、終わらせてありますよ」
「わぁ~い!虎ちゃん大好き~!」
「わぁ!抱きつかないでください!」
七夏弥が虎國に抱きつこうとしたら、虎國はそれを避けて、七夏弥の側から離れた。
そして、俺たちの方を見て目を見開いたが、それは本当に一瞬で、すぐに表情が元に戻った。
ちくしょう。表情筋が動くなんて、羨ましいぞ。
「どうして鷹雅は、稜驊君を姫抱っこしているんだい?それに‥‥そっちの子は?」
俺は虎國の言葉で、まだ姫抱っこをされていることを思い出した。
「いや、すっかり忘れてました。村﨑先輩、下ろしてください」
「‥‥‥ん」
鷹雅は、ここまで来てもう俺が逃げることはないと判断したのか、すんなりとおろしてくれ‥なかった。
「‥‥え?なんで私に渡したんですか?」
「喜三久先輩と同意見です」
俺はただ、鷹雅の腕から虎國の腕へと移動しただけで、まだ地面へと足を下ろしていなかった。
俺と虎國の質問に、鷹雅は「違うのか?」とでも言うように、首をかしげてこちらを見る。
いやいや。こっちが聞いてるんですけど。
「‥‥とにかく、稜驊君?おろしますよ?」
「あ、はい。そうして頂くと大変嬉しいです」
虎國は一応、俺に声をかけてから俺を下ろしてくれた。
俺は何年かぶりに地面にたてたような感じがして、精一杯腕や腰を伸ばして、深呼吸をした。
「で、そちらの方は?」
虎國が白蓮を見て、そう聞いてきた。
「あ、こいつは俺の従兄弟の白蓮です。逃げゴホン!帰ろうゴホンゴホン!‥‥えっと、こちらに来ようとした時に、白蓮との先約があったことを思い出したんですけど、やっぱり先輩達の約束を優先させた方がいいと思い、一緒に来てもらいました」
俺の口からスラスラと嘘の言葉が出てきて、白蓮と鷹雅は驚き、七夏弥は楽しそうにニコニコと笑っていた。
虎國は、だいたいの事情を把握したのか、「分かりました」と一言いった。
パンッ!
急に手を叩く音がして驚いた。
俺は音のした方を向いた。すると、七夏弥が弁当を持って、こちらを見ていた。
「さ!ご飯にしよ?もう僕お腹ペコペコだよ~」
どうやら、俺達は今からご飯を食べるらしい。
先輩達は日当たりのいい場所で、弁当を開き始めた。
でも、あいにく俺と白蓮は弁当を持ってきてない。よし!これを口実に帰ろう。
「あのー、俺達ご飯持ってきてなーー」
「ーーほら!二人の分のご飯もあるからさ!座って座って♪」
そう言って、どこから出したのか弁当を2つ持っている七夏弥。
‥‥‥準備がよすぎるぞ。おい。
俺と白蓮は、大人しく先輩達と一緒に座った。
順番は俺から言うと、俺・鷹雅・虎國・七夏弥・白蓮・俺という円形だ。
「いただきます」
俺達はご飯を食べ始めた。
用意された弁当は、中身が全て違う具材だった。
一口食べてみたが、これが結構美味かったりしたもんだから、俺はいつもより味わって食べることにした。
そういえば、ゲームのイベントでこういうのあったな~。確か、白蓮が屋上で攻略対象と弁当を食べることになったが、あいにく白蓮が弁当を忘れてしまったので、七夏弥がかわりの弁当2つ出して、そのどっちがいいか、白蓮に選ばして渡した。
でも、その弁当は右は修也で、左が京馬の分のご飯で、後から合流した2人が、自分の弁当を食べている白蓮を見て、「それは俺の弁当」とかなんとか言ったせいで、白蓮が、
修也の弁当を選んだ場合は、修也にあーんで食べさせて好感度アップ。
京馬の弁当を選んだ場合は、京馬と一緒に買い出しに行って、そこでのハプニングで好感度アップ。
という、イベントがあったはずだ。
‥‥‥そういえば、この弁当どことなくそのイベントに出てきた弁当に似てるような~‥‥‥‥‥‥あ、これって。
「よう!来たぜ!って」
「遅れた。ごめんって」
俺が気づいた時には、『時すでに遅し』というやつだった。
「「俺の弁当!!」」
遅れて合流した修也と京馬の声が、屋上に響いた。
「‥‥‥フラグ回収しちまったよおい」ボソッ
あ、ちなみに俺は右の弁当。白蓮は左の弁当を選んだ。
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