姫の仕事は身辺警護です

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傍遣い

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 帝王からの招集を受けて、サラは謁見の間へと向かう。
 そこには各国から送り込まれた姫達が一同に会す。
 現状において、彼女達に上下は存在しない。あるとすれば、国の規模か年齢か、輿入れした古さぐらい。
 誰も正妃では無い以上、誰もがけん制をし合っている。
 サラは彼女達を無視しながら、帝王が現れるのをただ、待った。
 そして、帝王が姿を現す。
 側近による暗殺事件があったばかりなので、帝王も用心をしているのか、傍には誰も置かない。
 「姫共、ご苦労」
 帝王は大仰に姫に挨拶をする。それに応えるように姫達は深々とお辞儀をする。
 「ふむ・・・今回、集まって貰ったのは他でも無い。お前たちの中から傍遣いを召し上げる」
 傍遣いとは何なのか?サラも含めて、殆どの者は聞きなれない言葉だった。
 「傍遣いとは簡単だ。私の傍に常に仕える者の事だ」
 そうそれは姫の仕事ではない。従者の仕事だった。
 夜伽ならまだしも、ただの従者になれと言っているに過ぎない。
 その事に気付いた姫達はオロオロとしている。
 「その役目をサラ姫。お前に任せる」
 名指しされたのはサラだった。
 命じられれば、断る事など出来ない。
 「仰せのままに」
 サラはそう答えて、お辞儀をする。
 「ふむ・・・詳細をお前に聞かせる。他の者はご苦労であった。下がれ」
 帝王にそう言われ、サラを残して、姫達はその場から去って行った。
 残されたサラは蒼褪めながらただ、帝王の言葉を待った。
 「頭を上げろ」
 そう言われて、サラは帝王を見た。
 その時、何故か、帝王はサラの目の前にいた。
 あまりに近い距離。これまでにこんな事は無かった。
 「近っ」
 慌てて、声が出た。
 「ふむ。近いのは当然だろう。お前はこれから余の傍に仕えるのだからな」
 「は、はいっ」
 「それで・・・お前は何が必要だ?」
 「は?」
 「武器だ。素手でも構わないが、相手が武器を持っていれば、肉の盾にしかならんでは困る」
 「はぁ・・・何を言っているのですか?」
 サラは困惑気味に尋ねる。
 「お前は私の護衛をするのだ。その為の傍遣いだ」
 「使用人扱いなのでは?」
 「違うな。雑用なら、そうだろうが。お前は私を決して裏切らない有能な護衛なのだよ」
 「決して裏切らないですか・・・」
 「そうだろ?帝王に何かあれば、お前の国はどうなる?」
 そう言われて、サラは再び蒼褪める。
 「子どもだと思ったが、近くで見るとなかなか綺麗な顔をしているな」
 帝王はサラの顎を掴み、顔を近付けさせる。
 「私の傍に居るには丁度いい。華になるな」
 そう言うと、帝王は踵を返し、玉座に着く。
 「とにかく、明日より、常に余と行動をしろ。必要な物は用意させるから言っておけ」
 そうして、帝王の招集は終わった。

 部屋に戻るとサラにはやる事が山となっている。
 まずは武器だ。確かに素手では暗殺者から帝王を守れない。
 あまり目立つ武器ではいけないと思い、投げる事も可能なナイフを4本。それは左右の太腿に鞘を装着する。
 腰には厚めの肉厚を持った大型ナイフ。
 左右の腕には肉厚の鋼で作った小手。
 腹にも肉厚の鋼で作った胴巻き。
 頭にはティアラ。ただし、肉厚の鋼で作ってあり、額程度しか守れないが、兜の役割を持つ。
 そして、マリが作った魔道具の一つ、守りの首飾り。
 魔法の直接攻撃を無効化してくれる魔道具だ。
 
 翌朝、帝国の従者によって、豪奢なドレス姿となり、サラは帝王の寝室へと向かった。
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